120年の歴史を誇る㈱三協が考えるパッケージ・什器の役割とは

宝飾・時計、文具など「商品の魅力を、最後のひと場面まで」

ジュエリー・アクセサリーの主役は、いうまでもなく商品そのものである。輝きも、意匠も、作り手の技も、すべては商品に宿っている。パッケージや店頭什器は、その商品をお客様にお届けするまでの、いわば脇役だ。パッケージ・ディスプレイの企画製造を手がける㈱三協(東京都荒川区、代表:小澤勝信)は、この脇役の仕事に120年以上向き合い続け、国内の数多くのブランド・メーカーとともに歩んできた。

派手な打ち出しよりも、一社一社との対話を大切にしながら、提案力を積み重ねてきた会社である。その丁寧な対応を求め、立ち上げ間もないブランドから長い歴史を持つメーカーまで、規模の大小を問わず数多くの相談が寄せられている。近年は環境配慮型の素材や小ロットの別注など幅広い要望が寄せられるが、そんな変化にも積極的に取り組んでいる。さらに9月の国際宝飾展「Jewellery & Gem WORLD Hong Kong」へ出展し、販路を広げつつも技術を高めている。そんな世界のスタンダードに触れ続ける同社代表の小澤勝信氏に、パッケージ・什器づくりへの思いを聞いた。

インタビュー 株式会社 三 協 代表取締役社長 小澤 勝信 氏

Q1. 三協のテーマである”ブランド価値の次の次元”に込めた想いを教えてください(以下、小澤代表の回答)。

「私たちが一貫して大切にしているのは、主役はあくまで商品だという考え方です。箱や什器は、その主役を最も引き立てる存在でありたいとの想いで仕事をしてきました。長く手がけてきて実感しているのは、商品を納める箱の佇まいや店頭での見せ方が、ブランドが大切にされている世界観と自然に響き合った時に、お客様によりよく伝わることがあることです。ブランドの魅力を私たちがつくり出すわけではありませんが、ブランドの魅力を決して邪魔せずに、そっと寄り添って支えることができます。派手な演出を加えることもあれば、あえて余白を残し、素材の質感をそのまま活かす方が相応しいこともあります。どちらが良いかは、ブランドごとに違います。私たちは答えを持ち込むのではなく、まずはお客様のご希望をよく理解することから始めます。ロゴの見せ方から、開封のひと呼吸、照明の当たり方など。構想の段階からご一緒できればよりブランドを熟知することができます。ブランドが本当に伝えたいことを深く理解した上で答えを探せれば、その答えに喜んでいただけることを確信しております。その過程こそが、いい仕事に繋がっていくのです。」

Q2. 創業から120年を超えるとうかがいました。長く続けてこられた理由を、どうお考えですか?

「正直なところ、これといった秘訣がある訳ではありません。ただ、ずっと変わらず持ち続けてきたのは、お客様の話を丁寧に聞くという姿勢です。時代によって、求められる素材も、売り場の形も、お客様に喜ばれる見せ方も、少しずつ変わっていきます。私たちはその変化に合わせて、扱う素材や技術を更新し続けてきました。守るべきところは守り、変えるべきところは変える。その積み重ねが、結果として長い歩みになったのだと思います。120年という数字そのものよりも、その間にお付き合いいただいたブランドやメーカーの皆様との信頼が、私たちにとっては何よりの財産です。新しく取引を始めてくださる方にも、この積み重ねによる安心感が、きっとお役に立っていることだと思います。」

Q3. 海外展開を始めていますが、パッケージの立場から海外をどう捉えていますか?

「商品の海外展開は、各ブランドがそれぞれの戦略で進めていかれることです。ただ、パッケージや什器という立場だからこそ見えてくることもあります。日本を訪れる海外のお客様が心を動かされる場面に、ものを丁寧に包む所作や、隅々まで行き届いたしつらえがあるように思うのです。相手を思うおもてなしの心といいますか、日本で古くから大切にされてきた感覚は、パッケージやディスプレイと、根のところで通じていると感じます。そうした日本ならではの感性は、国内で日々磨かれているものであって、あらためて特別に用意するものではなく、すでに持ち味として備わっているものだと思います。実際、同じ商品でも、包み方や置き方が少し変わるだけで受け取られ方が変わる場面には、これまでも幾度となく立ち会ってきました。そうした小さな気づきの積み重ねが、私たちの提案力を支える財産になっています。国内で培ってきたこの感覚こそ、世界のお客様にも届くものだと考えています。逆に、海外の展示会や売り場で私たちが見聞きしたことは、できるかぎり国内のお客様へのご提案にも生かすようにしています。世界で今どんな見せ方や素材が求められているのかを、いち早くお伝えできること。それも、私たちにお声がけいただく一つの価値だと考えています。」

Q4. 環境への配慮についても、関心が高まっていますね。

「はい。とりわけ欧州を中心に、包装材に関する環境への要求は年々高まってきています。当社では、FSC認証紙や再生素材を用いた環境配慮型のパッケージをご提案するとともに、サステナブルな新素材の研究開発にも取り組んでいます。海外を視野に入れていらっしゃるお客様からのご相談にも、こうした知見を生かしてお応えしています。難しいのは、環境への配慮と、ブランドの魅力をより伝えることを、どう両立させるかという点です。素材が変われば、見え方も手触りも変わってきます。どこまで、どう取り入れるかはブランドによって考えが異なり、正解が一つに決まるものではありません。だからこそ、紙質や印刷、加工といった選択肢の中から、いくつかの試作をお持ちして、見比べていただきながら一緒に決めていきます。素材の選定から加工まで一貫して手がけてきた蓄積があるからこそ、お客様それぞれの考えに合った形をご提案できると考えています。」

Q5. 国内のブランド・メーカーに向けて、三協としてどんなお手伝いができそうですか?

「近ごろは、海外へ出向かなくても、日本を訪れるお客様を通じて世界と接する機会が増えています。そうした場面でも、パッケージや什器が力を発揮できると考えています。どう見せ、どう包むかにはブランドごとの考え方がありますから、私たちはその実現を支える立場です。大がかりな設備投資が前提になることは、基本的にはありません。たとえば、限られた売り場の中で商品がより魅力的に見えるような什器の工夫や、お持ち帰りいただく際に心が少し弾むような包みのしつらえなど、できることは小さなところにいくつもあります。いまお持ちの商品を、パッケージや什器の側から確かに引き立てる。そこに、私たちの経験を役立てていただければと思います。」

Q6. 9月の香港展では、どんなものをご覧いただけますか。

「今回は、環境配慮型の素材を使ったパッケージや、小ロットでも対応できる別注の実例を中心に紹介する予定です。実際に手に取って、質感や仕上がりを確かめていただける場にしたいと思っています。海外の来場者の反応をこの目で確かめるとともに、日本のものづくりの丁寧さを、世界の売り場にどう届けられるかを探る機会にもなります。国内のブランド・メーカーの皆さまにも、ぜひお立ち寄りいただければうれしく思います。海外を意識した箱づくりを考えていらっしゃる方には、きっと参考にしていただけるものをお見せできると思います。」

Q7. 実際に相談する場合、三協にはどんなことを頼めるのでしょうか?

「デザインの構想段階から、量産、納品まで、一通りご相談いただけます。『こういう雰囲気にしたい』という漠然としたイメージだけでも構いません。そこからご希望を伺いながら、イメージ図やサンプルをお見せしつつ、具体的な形にしていきます。企画から製造までを社内で担ってきたので、細かなご要望にも小回りよくお応えできます。最初のご相談の段階で費用が発生することもありません。ご相談の入口として多いのが、小ロット・別注への対応です。『この限定コレクションだけ特別な箱を』『展示会用に少量だけ』といったご要望にも、できるかぎり無理のない数量とコストでお応えするようにしています。大きく踏み出す前に、小さく試していただけます。立ち上げ期のブランド様にも、新しい挑戦をされる老舗メーカー様にも、気兼ねなくお使いいただけるかと思います。パッケージと什器は、商品をお客様にお渡しする最後のひと場面にまで関わるものです。さらに、9月の香港展後には、国内で重ねてきたご提案の実例をご覧いただく機会もつくれればと考えています。『こんなことはできますか』という段階からで構いません。まずは一度、お話を聞かせていただければと思います。」

会社概要 

株式会社三協/創業:明治35年(1902年)/設立:昭和37年(1962年)/資本金:4,500万円/代表者:小澤勝信/本社:東京都荒川区東日暮里2-15-10/事業内容:ジュエリー・アクセサリー、時計、筆記具などのパッケージ・店頭ディスプレイの企画・製造/コーポレートサイト:sankyo-e.com

出展情報

 Jewellery & Gem WORLD Hong Kong/会期:2026年9月16日(水)〜20日(日)/会場:香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)5階/ブース番号:CEC-5F-5E211/出展内容:環境配慮型パッケージ、小ロット別注の実例 ほか /FD.P Lab:fdp-lab.com

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