売上を伸ばし続ける結婚指輪専門店「JKPLANET」が次に見据えた年商100億円

テーマはサステナブルとグローカル

多くの人が初めてジュエリーに触れる最初の機会として注目される「ブライダルジュエリー」は、少子化と若者の経済力の低下によって危ぶまれつつも、2011年10月から銀座に本店を置くJKPLANETが逆境を跳ね除け、さらにコロナ禍の厳しい状況においても、名古屋栄店、銀座2丁目店、埼玉大宮店、大阪梅田店と立て続けに新店舗をオープンさせ、過去最高の売り上げを達成している。さらに、これから年商100億円を目指すと宣言した株式会社インクリース 代表取締役社長の國生大介さんが、多様化する市場と変化の激しい環境、そして未来をどのように捉えているのかを探った

㈱インクリース代表取締役社長の國生大介さん

Q.人口減や若者の収入源により、ブライダルジュエリーの平均単価の下落、二極化、海外ブランドの優勢など市場を捉えるのが厳しい中、國生さんはどのように市場を見ていますか?

國生:「購入単価の二極化は進んでいますが、ブライダルは一生に一度のもの。お客様が欲しいものであれば、しっかり予算をかけてもご購入いただけます。JKPLANETでは、お客様1組の単価は上昇しており、今年は過去最高単価を記録中で、銀座本店がオープンした2011年比では150%以上です。たしかに海外ブランドは強いですが、国内ブランドでもNIWAKAさんや銀座ダイヤモンドシライシさん、アイプリモさんなどブライダルを中心に売上規模が100億円以上に昇る国内ブランドが複数あるので悲観していません。JKPLANETもブランド価値を高め、お客様に選ばれるブランド・ショップになれるよう努力しています」。

Q.価値観の変化は感じますか?

國生:「価値観は多様化しているので、一つの施策だけでうまくいく事はより難しくなっていくと思います。打席に立ち続け、大量に施策を重ねる事が重要でしょう。『大量』がキーワードです(笑)」。

Q.ブライダル需要に心配はないですか?

國生:「日本は急激に少子化が進んでいますが、『結婚』は世界中で行われる普遍のイベントです。それに伴う必需品のブライダルリングは、世界に目を向ければ需要は問題ないです。また、既存の婚姻に捉われない『愛』の証のリングとして考えれば、更にターゲットは拡大可能です。『愛』です。『All You Need Is Love』です」。

2024年3月にオープンした最新店舗 JKPLANET大阪梅田店

Q.全国に11店舗展開し、過去最高の売り上げを叩き出しましたが、その勝因や要因はなんでしょうか?

國生:「コロナ禍の2020年に名古屋栄店、2021年に銀座2店舗目となる銀座2丁目店、2023年は埼玉大宮店、そして今年3月には関西初進出となる大阪梅田店をオープンしました。全11店舗、全て軌道に乗っています。上手くいっている要因は複数ありますが、一番の要因は『集客』です。集客方法は、Google、Instagram、TikTok、YouTube、X(Twitter)です。全てのプラットフォームで毎日、複数回投稿しています。特にInstagramは現在フォロワー数35,000人で、日本全国のブライダルジュエリー専門ブランドとしては2番目に多いフォロワー数を獲得しています(※1番はSORAさん)」。

 JKPLANETでは、Instagramは9年間ほぼ毎日複数投稿している。フィードの投稿数は10,000投稿を超え、ストーリーズを合わせると20,000投稿を超えた。
Googleマップの口コミはオープンしたばかりの大阪梅田店を除けば、全店舗で平均評価4.8以上と驚異的で、100件以上の口コミを獲得している。
 さらに、JKPLANET銀座本店と銀座2丁目店は、映画やドラマロケ地として多数の露出があり、昨年は、山下智久(山P)さん、坂口健太郎さんが来店。山下さん主演のAmazonプライム映画『SEE HEAR LOVE』はアジア各国に配信され、世界中から聖地巡礼でたくさんの海外からの客も来店している。
 『水曜日のダウンタウン』のドキュメンタリーでは、クロちゃんとリチさんが来店し、告白の指輪を実際に購入した。その事が複数のYahooニュース、LINEニュースになりTwitterの投稿がバズり、一投稿が2,000万再生以上された。


 また100万人が登録する人気YouTuberグループ、エスポワールトライブさんも婚約指輪を実際に購入し、YouTubeチャンネルで取り上げられ、想像以上の効果を発揮している。
 なお、このようなメディアに取り上げられる事案でも、広告やPR案件ではなく、一切の支払いは発生しておらず、偶然でもないというところがポイントになる。

首都圏、大阪、名古屋、九州に11店舗展開するJKPLANET

 國生:「SNSやメディア掲載以外の『広告』に関しては、ゼクシィ(ネットのみ)、マイナビウエディング、リングラフなど、信頼できるブライダルプラットフォーム、ポータルサイトに広告掲載しています。ブライダルジュエリービジネスにおいては、オーガニックだけでなく広告も併用していく事が勝ち筋です」。

 このようにJKPLANETの『集客』は一度きりの試みではなく、毎日50種類以上の細かい施策を実施し、トライアンドエラーを繰り返すことで、最適な方法を見出している。そこで重要なのは、「お客さまの心の声や潜在的な欲求を見つけ出すことに専念すること」だと言う。さらに最近はAIを活用し、施策のスピードや回数を格段に増やしているという。チャレンジしていくことが大切で、チャレンジしなければエラーに気づかないのだ。

Q.昨年の8月に、年商100億円を目指すと公言しましたが、これからは何をするのですか?

國生:「これから取り組みたいことは、やはり本業であるブライダルジュエリーを伸ばすことです。テーマは、「サステナブル(持続可能性)」と「グローカル」です。「グローカル」とは、地域の特性を尊重しつつ、地球規模での視点を持ち、行動することを意味します。今後は、一律に大量の店舗を展開するのではなく、世界中からお客様を引き寄せられる強力な店舗を、人が集まる都市とオンライン上に構築していく予定です。また、これまで通りブライダルリングのプラットフォームとして、長年にわたり信頼のおけるジュエリーメーカーやブランドとのパートナーシップによって上質なジュエリーの提供をし続けながら、『ジュエリー』と『ブライダルリング』の素晴らしさを、たくさんの方々にお届けできるように楽しくがんばります」。

 最終的にはジュエリーやブライダルリングを愛すること。好きな上でビジネスを楽しまなければ、その努力は顧客に伝わらないのかもしれない。
 年商100億円になる時を楽しみにしています。國生社長、有難うございました。

JKPLANET公式サイト https://www.jkplanet.jp/

これは、宝飾時計眼鏡の健全な発展を願う業界紙「Quality」の8月15日号に掲載したものです。

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