ジュエリー市場の健全な成長を目指し、需要の創造、消費者からの信頼向上、人材の持続的育成の3つの重点施策を説明
*これはThe Watch & Jewelry Today 1月15日号に掲載したものです
日本宝飾記者会は、日本国内のジュエリー市場の健全な発展の重要な役割を担う日本ジュエリー協会の活動をもっと関係者に理解してもらい、宝飾業界の活性化に繋がることを願い会長インタビューを記者会合同で掲載する。

長堀会長は役割相関図を示しながら詳細に説明。地道な活動の必要性を感じてもらい、各々で協力できる活動を見つけてもらいたい。
ジュエリー市場の持続的な
成長に必要な3つの手段
我々日本ジュエリー協会(JJA)の存在意義は、ジュエリー市場全体の成長と健全な発展に貢献することが一つの目的だと思っています。
ジュエリー市場全体はコロナ禍が明けて以降、市場規模は1兆円を超えて成長しているように見えますが、その半分以上は海外ブランドが占めます。我々の会員企業は主に日本の会社ですから、その観点に立って考えると国内のジュエリー市場の成長スピードはそれほど速くないと考えられ危機感も感じています。
やはりここ2年ぐらい金価格が高騰し、それによってその統計数値そのものが、かさ上げされている面もあり実態とは少し違うかなと思っています。
そういった背景の上で、ジュエリー市場を持続的に成長させるための手段が三つあると考えます。
図1の青で囲っている部分が手段ですが、①需要の創造、②消費者からの信頼性向上、③人材の持続的育成です。
①需要の創造
JJAが行っている需要の創造に関する活動には、最近発表したダイヤモンドエンゲージリングのキャッチコピー「カタチにしたっていいじゃない、愛だって。」があります。1980~90年代はダイヤモンドエンゲージリングの取得率が80%~90%ありました。最近のデータでは45%~50%前後となっています。それに加えて婚姻組数も年々減少しており、かつては80万組弱あった婚姻組数は2024年には50万組弱に激減しています。さらに販売点数は大幅に減ってしまうので、ここは、もう一回チャレンジとしてダイヤモンドエンゲージリングのプロモーション活動を積極的に行い、購買意欲を喚起し需要を創造することが大切であると考えました。
同様に日本真珠振興会と共同して販促活動を行う「二十歳の真珠(はたちのパール)」を7年ほど続けています。こちらは1990年代には小売店がパールフェアを行い、卒業式・入学式に合わせパールがものすごく売れました。しかし最近は売上も数量も低下傾向にあります。

最後は、今年9月の香港の展示会で実施したジャパンブランドの発信です。これは元々日本の作り手、日本人の技術力にフォーカスして世界にアピールした方がいいのではないかというところから始まりました。職人の世界は中小零細が多いので、海外に行く資金力も多くありません。そのために初回は間口を広げて、日本企業が監修していればジャパンブランドと認定して香港ショーに出展しました。
一回目なので、良かった点も反省点もあり、3年間ぐらい実施して効果測定をしなければなりません。
ただ相対的に今回感じたことは、やはり日本企業は、全体的に慎重なことです。〝石橋を叩いても渡らない〟みたいなところがあり、我々も精力的に色々な企業にアプローチをかけましたが、ちょっとまだ早いとの消極的な答えが多かったです。
実際に経済的な事情もあって、香港フェア一回の出展費や旅費などを掛けて出展する意味があるのかどうかを皆さん悩まれた印象もあります。
しかし、各社それぞれ良い技術や商品をお持ちなので、できれば積極的にプロモーションをするなり海外に進出した方が良いと思います。
初回ということもあり、ある程度お尻を叩きましたけれども、本来我々が理想としているのは、三十代、四十代のこれからの業界を背負っていけるような事業者が、このジャパンブランドの仕組みを活用してくれると良いと思っています。
②消費者からの信頼性向上
消費者からの信頼向上については、表示規定についてのガイドブックを作り、業界内外で認知してもらうことです。
そしてJJAの活動の柱であるジュエリーコーディネーター(JC)資格制度です。2025年9月の一級から三級の資格者数は7,674名で、1年前から77名増加しました。
資格者がジュエリーの正しい知識を持って販売活動をすることで、消費者からの信頼が生まれると考えておりますので、継続的に力を入れて推し進めていかなくてはいけない事業であると思います。
ただし、ジュエリー業界の川上から川下までの領域の中には、職人がいて、メーカーがいて、バイヤーがいて、卸がいて、小売店がいて全ての人がJC資格を必要としているわけではないこともあり、客観的に考えてジュエリーというか日本の産業自体の縮小トレンドが続いているということもあるので、JCを増やすことは簡単ではありませんが、JC資格の魅力を伝え続け、地道に増加を図る努力が必要であると思います。
③人材の持続的育成
人材の持続的育成に関しては、JC資格取得者の増強以外では、技能者育成に対するサポート、2年に1度開催されるジュエリーデザインアワードの活性化といったものです。また今後課題になりそうなのは、我々の業界だけではありませんが、事業承継ができるかどうかです。図1の事業継承対策の(未)とあるのは、現在のところ未着手であるという意味です。
また、モノつくりの部分で職人が不足していることは周知の事実でありますが、この理由は若い人たちにとってジュエリー業界が憧れの職業になっていないことが挙げられます。これについては地場産業である山梨県や台東区が現在一生懸命取り組んでいます。先日も技能五輪全国大会が愛知県でありました。これについても応募者をもっと増やさなければいけないのですが、二十三歳までの技能検定二級取得者でないと出場できないなどのハードルも高いです。こういった制度的な問題については、ジュエリー議員連盟があるので、そこを通して昨年から厚労省などの中央省庁に助成金をもう少し増やして欲しいというお願いをしています。中国や韓国と比べると、日本の助成金の額が多くなく、世界で戦っていくためには、行政の支援も必要であると思います。
ジュエリー業界が憧れの職業になるというのは、将来性とかやりがいが関係していると思いますが、先日山梨県の学校の担当者と話をした際に、学生の九割が女性でみなさん職人を目指しているという話を聞きました。今後女性の職人もどんどん増えていくと良いと思います。
また私どもは東京商工会議所台東支部と一緒になって、台東区の小学校や中学校でジュエリー製作体験を行っています。皆さん嬉々としてやっているので、こういった地道な活動を行っていくことも大切です。
業界での人材の持続的な育成には、待遇面の改善も必要だと考えています。例えば職人で言えば、技能検定の一級を持っていれば資格手当が加算されることがあります。販売員でもJC資格取得者であれば資格手当を付与する企業が増えてきています。
一方で一般的にジュエリーの販売店における給与水準になると小売業全般が総じて低いと思います。そこも課題で、人が集まらない、離職率も高い状況にあると言えます。ジュエリーというと高付加価値の商材で給料も高そうなイメージがあるので、何とか改善していきたいと思います。

業界の健全な発展に貢献
最後になりますが、ジュエリー業界はリアルの店舗からだんだんとネット販売にも拡がり、新品のジュエリーから中古のジュエリーまで商材が拡がっています。
また昨今の金地金価格の高騰によって良い面、難しい面の両面がありますが、商品の企画も難しくなってきているのが現状です。
日本ジュエリー協会としては、今後も変化に対応しながら業界の健全な発展に貢献していきたいと考えています。
―有難うございました。
日本ジュエリー協会 https://jja.ne.jp/


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