Woody Bell
ジュエリー製作、修理、リフォームの工房をジュエリー企業が集まる台東区・東上野に構え、今年の11月で30周年を迎える「Woody Bell」(東上野、鈴木広宣社長)は、特殊な修理を得意とし“断られるジュエリー修理の最後の砦“として評価されるジュエリーの修理工房だ。
そんなWoody Bellが、職人や職人を目指すひとを対象に、好きな時間に工房を使える「貸し工房」を昨年の5月から始め、若手クリエイターの育成にも力を注いでいる。
鈴木社長は「お陰さまで本業の方は順調で、コロナ禍も忙しくしていました。皆さんもご承知のとおり、ジュエリー職人は減っていく一方で、増やす仕組みや学校や専門学校などを卒業したような若手の職人が継続できる環境がないのが問題だと思います。業界として取り組まないといけないはずです。私が開いた貸し工房では大きなことはできないかもしれませんが、自分ができる範囲でガチの職人を育てる、教室を開くのが自分の夢だったんです。工房には、大手に勤める職人さんや彫金教室に通っていた人、これから自分のブランドを本格的に販売していきたい人など需要はあるもんです。これまでにもSNSや動画を使って技術を伝えることを試みたところ、様々な需要や課題も自分なりに発見できましたので、少数の生徒たちではありますが、自分の経験を伝えていくほか、消費者に作品を見てもらうクリスマス会を開催したり、ハンドメイドが集まる販売会に出展させるとか、大手の学校とは違った安心感で、これからもやれることはやっていきたいと思います」と語っている。
この1月に国際展示場で開催された日本最大級のクリエイーの祭典「ハンドメイド・イン・ジャパン」に鈴木社長が出展料を払い、生徒たちに販売の経験をさせた。道具もたくさん導入した貸し工房も決して利益が取れる料金設定ではなく、鈴木社長は「経営者としてはダメな社長です」と話すものの、“今の若手は道具も買えないし、売れるか売れないかは挑戦しみないとわからない。だから出せる金は出す”と職人を育てる情熱に溢れている。
貸し工房を開く前から、ジュエリーブランドのアドバイザーやプロデュースを始めていたのは、若手育成を始めるための準備に過ぎなかった。鈴木社長は最後に「いまはとても満足しています」と笑った。
きっと鈴木社長のような情熱を持った人たちが一つとなった時に、ガチ職人が増え出すことだろう。
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