プラチナ・ジュエリーの市場創生と拡大を目的とするグローバル・マーケティング組織、プラチナ・ギルド・インターナショナル(PGI)が、各市場の最新の動向を編纂した「プラチナ・ジュエリー・ビジネス・レビュー(PJBR)2024」を発表しました。プラチナ・ジュエリーの需要を生み出すには、プロダクト・ジャーニーに沿った様々な考察に基づいた計画的な行動が必要であることを明らかにしています。
「消費需要を創出するには、PGIの戦略的パートナーのプラチナ・ジュエリーの販売実績と価値の向上が不可欠です。そのためにPGIは強力で創造的なアイデアや技術、デザインを導入し、消費者の消費行動に繋げることにも取り組んできました。さらに、今年はこれまでと違うカテゴリーや市場にも手を広げています」と、PGIの新CEOティム・シュリックは語りました。
日本:購買機会の創出と市場を支える高い製造技術
日本はプラチナ・ジュエリーの一人当たりの需要が世界で最も高く、主にプラチナ・ジュエリーの購買機会創出の結果として、プラチナに対する認知度はほぼ100%となっています。
PGIは1975年の設立後、プラチナの婚約指輪(ER)と結婚指輪(WB)を、結婚の儀式に欠かせないものとして再び定着させることにまず着手しました。現在では、ERの90%以上、WBの80%以上がプラチナ製となっています。2007年、PGIは「サンクスデイズ・プラチナ」というブランドを立ち上げ、定年退職を迎えた男性が感謝を込めて妻にプラチナ・ジュエリーを贈る夫婦間のアニバーサリー・ギフトという市場を新たに築き、プラチナの地位をさらに高めました。
さらに2020年には、新たな購買機会を創出する「プラチナ・ウーマン」を打ち出しました。「プラチナ・ウーマン」は、自分の人生と成功を築き上げることを熱望しながらも、上の世代の購買力やプラチナとの親和性をまだ持ち合わせていない、働く若い女性のためのブランド・コレクションです。
機会主導型のプラチナの需要創出は、日本の文化の中心である高品質な製造業、特に高い冶金技術と職人技によって支えられてきました。 その結果、プラチナ・ジュエリーのリサイクル率はゴールド比1:9とはるかに低く、次世代に受け継がれるような深い愛着の対象となる傾向にあります。「サンクスデイズ・プラチナ」は、商品が1個売れるごとにプラチナ・ジュエリーが最大で7個売れるという世界的にも最も高いレベルの投資還元比率をもたらし、「プラチナ・ウーマン」は、若い消費者のプラチナ・ジュエリー所有率をブランド創立から4年で20%向上させました。
中国:革新と技術で現在と将来の生産品質を牽引
中国は、経済の減速、人口の高齢化、若者の失業率の高さといった逆風に加え、合金の種類の少なさ、宝飾品の主要パーツの入手の難しさ、ワイヤーやチューブの製造・加工能力の低さ、中国と金との歴史的な結びつきの強さに起因する製造技術革新における金のリードなど、プラチナ産業にとって重大な課題が存在している市場です。
PGIは技術的な課題に取り組むために宝飾業界の技術進歩を促進し、新しい合金、3Dプリンティング、新しい産業用アプリケーションの導入など、金との技術革新のギャップを埋めることで、中国で大きな役割を果たしてきました。PGIはまた、技術の進歩において核となる製造現場における技術的専門知識とサポートを導入し、メーカーの製品や材料の入手を支援し、PGI独自のコンテンツ・プラットフォームであるPlatinumABCを通じて教育、研修、ノウハウを提供しています。
こうしたPGIの支援により、中国のプラチナ・メーカーはダイヤモンド・カット、電気めっき、ゴールドや他の素材との混合製品などの革新的な技術を生み出し、合計28のブランド・コレクションにまたがる265の新作ジュエリーを生み出しました。PGIはまた、他の企業、教育機関、研究機関、加工業者とも協力し、中国におけるプラチナ促進を推進しています。
アメリカ:デザインへの投資でカテゴリー拡大を創出
米国では、購買決定においてデザインが最も重要であり、プラチナに比べてより多くのデザインを容易に入手できることから、歴史的にホワイトゴールドが有利な市場です。PGIは、ブライダル市場にとどまらず、プラチナのターゲットとなる消費者に優れたデザインのジュエリーを提案するために、デザイナー・コミュニティを巻き込むことによってこの課題に対処しました。
ブライダル以外でもデザイン主導のジュエリーをより多く市場に投入するため、米国で最も権威のある展示会とデザイン賞のひとつであるラスベガスのクチュールジュエリー・ショーで「プラチナ・スポットライト・プログラム」を創設しました。これにより、イエローゴールドで受賞したデザイナーもプラチナで代表作を創作するようになり、ゴールドでは得られないプラチナならではの作品で自身のコレクションを拡張するケースも多く見られるようになりました。
さらなる施策として、米国の宝飾市場における女性の自己購入の機運と、ブライダル以外のデザインへのニーズを踏まえて日本PGIと共同で開発したコレクション「プラチナ・ボーン」のデザイン統括も担当しています。PGIは、ファッション性の高いプラチナ地金ジュエリー・コレクションを開発することで、それまでの空白地帯を開拓しました。デザインに集中的に取り組むことで、ノンブライダル・ジュエリーの市場シェアは2019年の32%から2023年には44%に拡大しています。
大規模でダイナミックな宝飾品市場であるインドにおいて、プラチナが若い消費者に選ばれています。プラチナが宝飾品市場で最も急成長しているニッチ分野である一方、宝飾品小売業の80%は依然として金が占めています。
PGIは、ゴールドジュエリーを主体とした一般的な小売店の売り場を機会と捉え、小売店が自発的にプラチナに触れる機会を増やすため、プラチナが若いトレンドセッターの間で人気があることや利益率の高さを活かし、小売業がプラチナの利点に注目できるようにすることに取り組みました。その一例として、ローズゴールドをアクセントにしたプラチナ・ジュエリーのデザインを考案するなど、最も消費者が多く集まるゴールドジュエリー売り場の中にプラチナコーナーを新設しました。
コンバージョンとアップセルの機会を見極め、消費者の購入ジャーニーの最後の一歩で確実にプラチナを優勢にするこの店頭施策は、インドにおけるプラチナ・ジュエリー消費総量の30%を占めるに至りました。この「プラチナ+ゴールド」のコンビ製品は厳格な販売研修プログラムを履修した約8万人(その内2万人が2023年に履修)の販売員に支えられ現在1,200近くの売り場に展開しており、加えてPGIの強力な補充モデルにより本施策の商品補充が72時間以内に完了するようになっています。
PGIの各施策のもと、プラチナ・ジュエリーは1975年以来、約9000万オンスの増分需要を創出してきました。PGIのティム・シュリックCEOは「PGIは、主要市場独自の機会を特定してそれぞれにのニーズに沿う取り組みを実行することによって、以前には存在しなかったプラチナ・ジュエリーの需要を創出し、将来への強固な基盤を築きました」と述べています。
「プラチナ・ジュエリー・ビジネス・レビュー」について:
「プラチナ・ジュエリー・ビジネス・レビュー(PJBR)」は、PGI が活動拠点を置く主要 4 か国(⽇本、中国、イ ンド、アメリカ)を対象に、独⽴調査機関による宝飾⽤プラチナ需要、⼩売販売、業界トレンドの調査結果を、PGI が年次報告書として編纂したものです。この調査は、⾃動⾞触媒に次いで世界第⼆位の消費量を誇るプラチナ宝飾⽤ 需要の実績を明らかにするものであり、上記 4 か国で製造業者および⼩売業者を対象に実施されました。
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