
2024年のジュエリーオークションにおいて、ピンク、ブルー、レッド、グリーンといった鮮やかな色彩を纏った宝石たちが高額で落札され、市場を魅了した。
これまで長らく、大粒の無色のダイヤモンドがオークションの主役の座に君臨していたが、2024年はサザビーズ、クリスティーズ、フィリップスの三大オークションハウスのいずれにおいても、トップ10に入るロットには、色彩豊かな宝石が名を連ねている。希少価値の高いエメラルドやビルマ産ルビーから、紫がかったピンクからオレンジがかったピンクまで、様々な色合いを見せるファンシーカラーダイヤモンドに至るまで、鮮やかな輝きを放つ宝石たちが、ハイジュエリー愛好家たちの心を鷲掴みにした。
エメラルド:風格漂う緑の王者

三大宝石の一つとして知られるエメラルドは、2024年もその存在感を示した。クリスティーズの目玉となったのは、1960年にカルティエがアガ・ハーン皇太子殿下のために製作した、マーキスシェイプの37カラットのコロンビア産エメラルドをあしらったブローチだ。これは11月のジュネーブで開催された「マグニフィセント・ジュエルズ」オークションにて880万ドルで落札された。一方、フィリップスでは、「アマゾン・クイーン」と名付けられた280.84カラットのコロンビア産エメラルドのペンダントが出品され、5月のジュネーブオークションで30分間の競りの末、310万ドルという高値で落札された。
ファンシーカラーダイヤモンド:色の饗宴

ファンシーカラーダイヤモンドは、2024年のオークション界を席巻した。例えば、クリスティーズでは、12カラットのオーバルの鮮やかなイエローダイヤモンドを特徴とする「オリエンタルサンライズ」イヤリングが、10月の香港での「マグニフィセント・ジュエルズ」で800万ドル弱で落札された。また、4月に行われたサザビーズ香港「マグニフィセント・ジュエルズ」オークションでは、鮮やかな7カラットのイエローイッシュオレンジダイヤモンドのリングが380万ドルで落札。フィリップスでは、2つの希少なファンシーレッドダイヤモンドが出品され、5月のジュネーブオークションでは1.56カラットの「アーガイル・フェニックス」が420万ドル、11月のジュネーブオークションでは1.21カラットの「レッド・ミラクル」が110万ドルで落札された。前者は、既知のものとしては最大のファンシーレッドラウンドブリリアントであり、宝石商ローレンス・グラフによって落札された。
アレキサンドライト:三大宝石に風穴をあける

三大宝石以外では、フィリップスが10月に香港で開催したジュエリーオークションにて、10.85カラットのブラジル産アレキサンドライトをあしらったリングが、98万694ドルで落札され、新鮮な驚きを提供した。
ピンクダイヤモンド:不動の人気を誇る永遠の憧憬

クリスティーズの今年の最高落札ロットは、「エデン・ローズ」と名付けられた10.20カラットのファンシーインテンスピンクダイヤモンドのリングだった。ラウンドブリリアントカットのセンターストーンの周りを10個のペアシェイプダイヤモンドが囲んでおり、そのうち9個はインターナリーフローレスという、まさに奇跡の一品だ。このリングは、昨年の春にニューヨークで開催された「マグニフィセント・ジュエルズ」オークションにて、1,330万ドルで落札された。これに先立ち、フィリップスでも、5月のジュネーブオークションで、6.21カラットのファンシービビッドピンクダイヤモンドが1,200万ドルで落札されるなど、ピンクダイヤモンドの注目度の高さが伺える。また、サザビーズでは、12月にニューヨークで開催されたオークションにて、エメラルドカットの7カラットのファンシーインテンスパープリッシュピンクダイヤモンドが340万ドルで落札されている。ピンクは、新作のジュエリーコレクションや時計においても「旬」なカラーであり、特にピンクサファイアの人気が高まっている。
ビルマ産ルビー:情熱を燃やす真紅の輝き

三大宝石の一つであるビルマ産ルビーも、2024年のオークションで素晴らしい結果を残した。サザビーズでは、11月のニューヨーク「マグニフィセント・ジュエルズ」オークションにて、ダイヤモンドをあしらった10.33カラットのビルマ産ルビーのリングが、550万ドルで落札された。フィリップスでも、11月のジュネーブオークションで17.97カラットのビルマ産ルビーのリングが540万ドル、10月の香港オークションで7.02カラットのビルマ産ルビーが130万ドルで落札されるなど、高額落札が相次いだ。また、10月の香港オークションでは、クッションシェイプにカットされた40個のビルマ産ルビー(合計54.18カラット)を、ペアシェイプダイヤモンドと共にセットしたネックレスが、110万ドルで落札された。クリスティーズでも、10月の香港オークションにて、合計62.46カラットのビルマ産ルビー26個をセットした同様のネックレスが、640万ドルで落札されている。5月の香港オークションでは、ルビー、エメラルド、サファイアを彫刻してあしらったカルティエのトゥッティフルッティネックレスが、870万ドルで落札された。
カシミールサファイア:高貴さを湛える青の輝き

カシミールサファイアとファンシーブルーダイヤモンドを含むブルー系の宝石も、2024年のオークションで力強いパフォーマンスを見せた。クリスティーズで2番目に高額で落札されたのは、5.72カラットのファンシーインテンスブルーダイヤモンドをプラチナリングにあしらったもので、12月のニューヨーク「マグニフィセント・ジュエルズ」オークションにて、880万ドルで落札された。一方、サザビーズでは、5月のジュネーブオークションで、クッションカットの17.29カラットのカシミールサファイアのリングが380万ドルで落札。6月のニューヨークオークションでは、10.31カラットのカシミールサファイアが200万ドルで落札された。
このように、2024年のオークションは、色とりどりの宝石たちが主役となった。
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