誰もが安心して宝石を持てる環境を目指し、基本価値を算出した書籍

地金の高騰により、ジュエリーにも目が向けられている。身に着けて楽しんだり、受け継がれて地金価格以上の価値ある大切なものであったり、想い出だったりと、いろんなカタチの価値がある中で、一つの答えを出した書籍が3月26日から発売された。
それは、諏訪恭一氏が監修した宝石箱に眠る指輪が、日本の歴史を物語る—「日本人の指輪100年」である。
宝石とは、人々が身に着けて楽しみ、人から人へ受け継がれ、価値を持ち続けるものを前提とした時、一体どのような宝石が受け継がれ、宝石の価値とは何なのかを具体的にしたのが、同書である。
同書では、宝石の中でも最も身近で使用頻度の高い指輪にフォーカスし、あらゆる年代の指輪を集めた。その指輪がどのような歴史的背景で作られたものなのかを日本の歴史とともに考察し、宝石と地金および仕立ての良し悪しを考慮した基本価値を算出している。
「自分の持っている指輪の価値が分かる」というのは、歴史を紐解いた背景から割り出されたものと仕立ての良し悪しを考慮した基本価値としての目安のことである。
指輪を製作年代順に並べることで見えてくる歴史がある。貧しい時代であったからこそ磨かれた日本の職人技や合成石の普及、婚約指輪として立爪のダイヤモンドリングが一世を風靡した時代、地金と宝石が贅沢に使われるようになった華やかなバブル期、そして昔の宝石が還流されるようになった現代。日本人が好んできた指輪の変遷を辿ることで、日本の歴史背景までもが読み取れるという。
原稿を執筆したのは、諏訪氏が主催している「宝石を手に取る会」の参加者25名で、宝石の専門家から宝石学の入門者まで様々。専門的な知識のほか、指輪から受けた印象・感想といった一般的な視点もあり、学びと共感がともに得られる内容となっている。
っまた、合成石とはどういったものなのか、模造石の見分け方や張り合わせ石の構造など、これまであまり語られることのなかった人工生産物についてのコラムを掲載しているほか、65年前のゴム型を用いて日本の伝統技巧「千本透かし」の再現や歴史的に貴重な資料を掲載するなど、充実した内容になっている。
▼「日本人の指輪100年」=仕様:A5判/256頁、定価:3,850円、発行:㈱世界文化社。


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