
LGD業界の国際的な関係者30名以上が参加
2026年9月16日、香港ジュエリーフェアの会期中に、ラボラトリーグロウンダイヤモンド・カウンシル(Laboratory Grown Diamond Council – LGDC)による「LGDC Dinner Reception」が香港で開催された。
当日はラボラトリーグロウンダイヤモンド(LGD)の製造、流通、小売、関連団体などに携わる業界関係者30名以上が参加、LGD業界を代表する企業・団体の関係者が一堂に会し、今後の市場発展や国際的な連携について意見交換を行った。日本からは、一般社団法人日本ラボラトリーグロウンダイヤモンド協会(JLGDA)代表理事の伊藤拓也が参加している。
LGDCが目指すのは、LGD業界のステークホルダーが議論に参加できる場
LGDCは、LGDの製造企業だけでなく、流通、小売、関連サービス、各国・地域の業界団体など、サプライチェーンを構成する幅広いステークホルダーの連携を図る国際的なプラットフォームとして活動している。
その基本的な考え方の一つが、LGDに関する市場ルールや名称、情報開示、業界の将来像について、LGDを実際に取り扱う当事者自身が議論に参加する必要があるというものである。LGDCでは、特定企業や一部地域の利益を代表することよりも、異なる立場の事業者が意見を持ち寄り、LGD市場全体の健全な成長につながる議論の場を形成することを重視している。
今回のディナーレセプションでも、各市場が抱える課題や今後必要となる業界インフラについて幅広い意見交換が行われた。

香港におけるLGDの存在感向上も議題に
香港は長年にわたり、世界有数のジュエリー取引拠点として、中国本土をはじめアジア各国と世界市場を結ぶ重要な役割を担ってきた。一方、LGD市場の急速な拡大に伴い、展示会や業界インフラの中で、LGDをどのように位置付けていくかという議論も始まっている。
今回の会合では、ジュエリーフェアにおけるLGD関連企業の出展機会や展示エリアのあり方についても意見が交わされた。LGD出展企業が増加する中、従来のジュエリー産業の枠組みの中でLGDにどの程度のスペースや露出を与えるべきかは、今後の展示会運営における一つの論点になる可能性がある。
LGDC側では、香港をドバイなど他の国際的な宝飾・ダイヤモンド取引拠点と競合する存在としてのみ捉えるのではなく、それぞれの市場が役割を持ちながらLGDの国際流通を支える体制を構築することが望ましいとの考えも示されている。
各国・地域の業界団体との連携を拡大
LGDCの特徴の一つは、単一の国や企業だけで完結する組織ではなく、各国・地域の既存団体との協力を前提としている点にある。すでに日本のJLGDAをはじめ、香港のHKLGDAやインドなどのLGD関連組織、製造企業、小売企業などとの関係構築が進められている。
LGDCは、自らをLGD業界における「唯一の統一された声」と位置付けるのではなく、それぞれの地域や団体の独立性を維持しながら、国際的な課題について必要に応じて連携するモデルを志向している。実際、9月にはLGDC、JLGDAを含む複数の国・地域の業界団体・関係者が、CIBJOに対してLGDの名称・用語に関する共同意見書を提出している。意見書では、国際的な用語変更を行う際にはLGD業界、消費者、各国の市場関係者などを含めた、より幅広い協議が必要であるとの考えが示された。
これは、今回の会合で語られた「LGDの将来をめぐる議論に、LGDを取り扱うステークホルダー自身が参加すべきである」というLGDCの考え方とも一致する。
日本市場との連携も重要なテーマに
日本のLGD市場は、米国や中国などと比較すれば依然として規模は限定的であるものの、専門ブランドやジュエリー企業による取り扱いは徐々に広がっている。一方、日本では海外市場とは異なる消費者認識、商習慣、表示方法、言語上の問題なども存在する。そのため、国際的なルールや市場動向をそのまま日本へ適用するのではなく、日本市場の実情を国際的な議論へ伝えることも重要になる。
JLGDAの伊藤代表は今回のLGDC Dinner Receptionにも参加し、LGDCとの連携を継続している。最近ではCIBJOをめぐる名称問題でも、JLGDAはLGDCなど海外の複数団体と共同で意見を提出しており、日本市場の立場を国際的な議論へ反映させる動きが具体化している。同氏はLGDCのSteering Committeeにも現在唯一の日本人メンバーとして参加しており、今後も日本市場と国際的なLGD業界との橋渡し役の一つを担うことになる。
組織化が進むLGD業界
LGD市場はここ数年で急速に拡大した一方、その成長速度に比べて国際的な業界組織や共通の議論の場の整備は必ずしも十分ではなかった。特に、名称、消費者への情報開示、持続可能性に関する表示、価格形成、流通、展示会での取り扱いなど、今後市場が成熟するにつれて業界横断的な議論が必要となるテーマは多い。
今回の香港での会合は、LGDCが単なる交流団体ではなく、各国・地域の企業や団体をつなぎながら、こうした課題を議論するプラットフォームとして組織化を進めていることを示す場となった。市場の規模が拡大するにつれて、製造、流通、小売、消費者に近い企業、そして各国の業界団体が同じテーブルで意見を交換する必要性は高まっている。
香港で開催された今回のLGDC Dinner Receptionは、そのための国際的なネットワーク形成が一段階進みつつあることを示す会合となった。



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