8.03カラットの天然ブルーダイヤ、ロンドンで最高約4億円の評価

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英国オークション史上最大のペアシェイプ・ブルーダイヤ

英国ロンドンのオークションハウスElmwood’s(エルムウッズ)が、8.03カラットの天然ブルーダイヤモンドをセンターストーンに用いたリングを、2026年10月1日に開催する「Fine Jewellery」オークションに出品する。

予想落札価格は150万~200万ポンド。米ドル換算では報道各社により約198万~264万ドルとされており、1ドル=155円で計算すると約3億700万円~4億920万円に相当する。

センターストーンは8.03カラットのペア・モディファイド・ブリリアントカットで、GIAによるカラーグレードは「Fancy Light Blue」、クラリティはVS2。周囲をラウンドブリリアントカットのピンクダイヤモンドとホワイトダイヤモンドが取り囲み、リングのショルダー部分にもホワイトダイヤモンドがセットされている。

Elmwood’sによれば、英国のオークションに登場した8カラット超のブルーダイヤモンドとしては史上3例目で、ペアシェイプのブルーダイヤモンドとしては英国オークション史上最大となる。同社はスコットランド・グラスゴーのコレクターから出品されたものとしている。

英国で8カラットを超えたブルーダイヤは過去わずか2例

今回の石以前に英国のオークションに登場した8カラット超のブルーダイヤモンドとして挙げられているのは、1865年にロンドンのChristie’sに出品された70.21カラットの「Idol’s Eye」と、2008年にChristie’s Londonで落札された35.56カラットの「Wittelsbach Diamond」だ。

特にWittelsbach Diamondはブルーダイヤモンドのオークション史を語る上で重要な存在だ。17世紀まで歴史を遡ることができ、スペイン王家、ハプスブルク家、バイエルン王家など欧州の王室を経てきたとされる。

2008年12月のChristie’s Londonでは、35.56カラット、Fancy Deep Grayish Blue、VS2として出品され、1,639万3,250ポンド、当時の換算で2,431万1,190ドルで落札された。1ドル=155円で単純換算すると約37億6,800万円となる。当時はダイヤモンドおよびジュエリーのオークション記録を更新した。購入者はジュエラーのLaurence Graffで、その後リカットされ、31.06カラットの「Wittelsbach-Graff Diamond」となった。

ブルーダイヤ最高額は約90億円の領域へ

ブルーダイヤモンド市場の価格水準は、その後さらに大きく上昇した。

2015年、Sotheby’s Genevaに登場した12.03カラットの「Blue Moon of Josephine」は、Fancy Vivid Blue、Internally Flawlessという極めて高い品質を備え、4,846万8,158ドルで落札された。1ドル=155円では約75億1,300万円であり、1カラット当たり約403万ドルという記録的な価格を付けた。

翌2016年には、Christie’s Genevaで14.62カラットの「Oppenheimer Blue」が5,754万1,779ドルで落札された。円換算では約89億1,900万円である。Fancy Vivid Blue、VVS1のステップカットで、約25分にわたる競りの末に当時のジュエリー世界最高落札額を更新した。

2022年4月にはSotheby’s Hong Kongで15.10カラットの「De Beers Blue」が4億5,092万5,000香港ドル、5,747万1,960ドルで落札された。円換算すると約89億800万円であり、Oppenheimer Blueとほぼ並ぶ水準である。Fancy Vivid Blue、Internally Flawlessで、オークションに登場した同カテゴリーとして当時最大の石であった。

また2017年には、14.54カラットのFancy Vivid Blue、Internally Flawlessのブルーダイヤモンド「Apollo」が約4,208万7,302ドル、約65億2,400万円で落札されている。これはピンクダイヤモンド「Artemis」と対になるイヤリングの片方として出品されたもので、2石を合わせた落札額も大きな話題となった。

2023年には香港で11.28カラットのFancy Vivid Blue、VS2の「Infinite Blue」が約2,580万ドル、約39億9,900万円で落札されており、現在でも大型で高品質なブルーダイヤモンドには数十億円規模の資金が動いている。

今回の4億円評価が歴代最高額より低い理由

今回の8.03カラット石に最高約4億円という評価が付けられている一方、過去の著名なブルーダイヤモンドでは40億~90億円近い価格が付いている。この差を理解するうえで重要なのが、カラット重量だけではなく「色の強さ」だ。

今回の石は「Fancy Light Blue」であるのに対し、Oppenheimer Blue、De Beers Blue、Blue Moon of Josephineなど歴史的な高額落札石の多くは「Fancy Vivid Blue」に分類されている。

カラーダイヤモンドでは、通常の無色ダイヤモンド以上に色相、色の濃さ、彩度などが価格形成に大きく影響する。そのため、同じ天然ブルーダイヤモンドであってもFancy LightとFancy Vividをカラット単価だけで直接比較することはできない。

今回の予想価格を約200万~264万ドルとして計算すると、センターストーン1カラット当たりではおよそ25万~33万ドルとなる。一方、Blue Moon of Josephineは1カラット当たり約403万ドル、Oppenheimer Blueは約394万ドルであり、トップクラスのFancy Vivid Blueとの間には1桁を超える価格差が存在する。

これは今回の石の希少性が低いことを意味するものではない。8カラットを超える天然ブルーダイヤモンド自体が極めて珍しく、さらに英国市場においてペアシェイプとして過去最大という歴史的な位置付けを持つことが、今回の評価を支えているとみられる。

なぜ天然ブルーダイヤは希少なのか

天然ブルーダイヤモンドの多くは、ダイヤモンドの結晶構造中に微量のホウ素を含むType IIbに分類される。ホウ素が光の特定波長を吸収することで特徴的な青色が生じる。GIAの研究では、天然色のブルーダイヤモンドの大多数がType IIbであることが確認されている。

天然ダイヤモンドが形成される過程でホウ素が結晶に取り込まれること自体が極めて稀であり、その中で十分なサイズと美しいブルーカラー、さらに高いクラリティを同時に備えた石は一段と限られる。

だからこそ、大型の天然ブルーダイヤモンドが市場に登場すると、通常の宝石としてだけではなく、国際的なコレクターズアイテムとして評価されるのである。

「最高額」ではなく英国市場での希少性に注目

今回の8.03カラット石は、Oppenheimer BlueやDe Beers Blueのような数十億円規模の世界記録級ダイヤモンドとは価格帯もカラーグレードも異なる。

一方で、英国の公開オークション市場に8カラットを超える天然ブルーダイヤモンドが登場すること自体が極めて珍しく、しかもペアシェイプでは過去最大という点に今回のニュースの意味がある。

2008年のWittelsbach Diamondが約24.3百万ドル、2015年のBlue Moon of Josephineが約48.5百万ドル、2016年のOppenheimer Blueが約57.5百万ドル、2022年のDe Beers Blueも約57.5百万ドルと、過去20年弱の間にブルーダイヤモンドはオークション市場で数々の記録を作ってきた。

10月1日のElmwood’sのオークションで、予想価格の上限である200万ポンド前後まで入札が伸びるのか。それとも希少な大型天然ブルーダイヤモンドへの需要を背景に予想価格を上回るのか。実際の落札結果は、現在の国際的なカラーダイヤモンド市場におけるコレクター需要を測る一つの指標となりそうだ。

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