女王に相応しい、ロイヤルコレクションの宝石 – [RAPAPORT]

世界中がエリザベス女王2世の死を悼む中、新しく発行された本は、英国ロイヤルコレクションの輝くダイヤモンドジュエリーに敬意を表している。このレビュー記事は、女王が逝去される前に、Rapaport Magazine2022年9月号に掲載されたものだ。

王冠やティアラ、ブローチやネックレスなどの数々。何世紀にもわたって英国の君主を飾ってきた最も有名なダイヤモンドジュエリーのいくつかは、『Diamonds: The Queen’s Collection』という本に登場する。 絵画から紙幣までの様々な挿絵が、これらの宝石が正真正銘、英国王室の人々を飾ってきていることを示している。作品の詳細な説明とそのバックストーリー(宝石がどこで調達されたのか、誰が入手したのか、何年にもわたってどのような変更が施された可能性があるのか)は、これらの作品の美しさを際立たせるクローズアップと対になっている。

世代を超えて着用されるジュエリー

この本は、エリザベス女王2世の即位60年を記念して発行された2012年の書籍『Diamonds: A Jubilee Celebration』の更新版となっている。とりわけ、新版の著者であるキャロライン・ド・ギトー(ロイヤル・コレクション・トラストの女王の芸術作品の副調査官)は、君主のプライベートコレクションから多くの新しい作品を追加している。1つは、1913年のクイーン・メアリーズ・ラバーズ・ノット・ティアラで、エリザベス女王2世が1953年に受け継いだものだ。もう1つは、エリザベス女王2世が1947年の結婚式の日に着用し、1973年と2020年のそれぞれの結婚式で、娘のアン王女と孫娘のベアトリス王女の両方を飾った、クイーン・メアリー・フリンジ・ティアラだ。エリザベス女王2世の母親が所有していたエリザベス女王のハローティアラも掲載されている。ケンブリッジ公爵夫人ケイト・ミドルトンが2011年にウィリアム王子と結婚した際に着用している。

ロイヤルコレクショントラストの広報担当者によると、ロイヤルコレクションと女王のパーソナルジュエリーの中で注目に値する作品の多くは、200年以上に渡って王室のそれぞれの世代によって着用されてきた。これらの作品は、例として本にも登場するおなじみのロンドン塔のクラウンジュエルとは異なる。その大部分が1661年のチャールズ2世の戴冠式のために作られた作品で構成されており、クラウンジュエルは「後に君主制の歴史の決定的な瞬間に追加された。」と広報担当者は述べている。「そのデザインは12世紀にまで遡る伝統を反映しており、そして国家行事で公式の儀式的役割を果たしている。」

宝石のパワー

その強さと希少性で知られるダイヤモンドは、初期の歴史においては保護と純潔の象徴でもあった。この本の序文で指摘されているように、ダイヤモンドは君主の威厳と権力を確立する上で長い間象徴的な役割を果たしてきている。ヨーロッパの王族と同様、英国の王と女王はダイヤモンドが象徴するものを受け入れ、貴重なダイヤモンドを集め、ジュエリーに身に着けていた。

本書に掲載されている最初の作品は、1870年のヴィクトリア女王のスモール・ダイヤモンド・クラウンで、1897年のダイヤモンドジュビリーの公式肖像画を含め、女王が治世の後半に身に着けていたものだ。

最後の章では、1,333個のブリリアントカットダイヤモンドがセットされた、ダイヤモンド・ダイアデム(冠の一種)に焦点を当てている。これは1821年のジョージ4世の戴冠式のために作られたもので、エリザベス女王2世は1953年6月に自身の戴冠式のためウェストミンスター寺院に向かう途中で着用していた。また彼女の治世の最初の年以来、彼女は国会議事堂への往復の際にもこのダイアデムを身に着けている。

この最初と最後の2つの宝飾品の間にあるページには、3世紀にわたるティアラ、王冠、その他のジュエリーのきらびやかな品揃えが掲載されている。この本は、伝説のカリナンダイヤモンド(これまでに発見された中で最大の大きさの重量を誇るダイヤモンド原石からカットされたダイヤモンド)についてもいくつかの章を割いており、その発見、9つの主要な番号付きのポリッシュダイヤモンドへの加工、現在もそれらのダイヤモンドを含む宝飾の作成までを網羅している。

この本に掲載する作品を選ぶ際、著者は芸術作品としての価値だけでなく、歴史的意義とダイヤモンドの美しさに重点を置いたと述べている。

煌びやかなディスプレイ

エリザベス女王2世のプラチナジュビリー(即位70周年)を記念する2つの展示では、英国のロイヤル ジュエリーのいくつかの作品が展示されている。

ロンドンのバッキンガム宮殿では、「プラチナ ジュビリー: 女王の即位」展の一環として、女王の公式肖像画24点とともに、ジュエリー13点が10月2日まで展示されている。これらの作品のうちの5点は、この本、『Diamonds: The Queen’s Collection』にも登場する。ダイヤモンド・ダイアデム、ガールズ・オブ・グレート・ブリテン・アンド・アイルランド・ティアラ、デリー・ダーバー・ネックレス、サウスアフリカ・ネックレスとブレスレットだ。最後のネックレスは、エリザベス王女の21歳の誕生日に南アフリカ政府から贈られたもので、元々は21個のブリリアントカットのダイヤモンドで構成されていた。このネックレスを1952年に短くし、取り外した6つのダイヤモンドはお揃いのブレスレットとして作成された。

別の展覧会「プラチナジュビリー: 女王の戴冠式」は9月26日までウィンザー城で開催されている。このショーケースには、本にも登場する戴冠式のネックレスとイヤリングを含むジュエリーが展示されている。1858年にヴィクトリア女王のために制作された、28個のダイヤモンドを含むこのネックレスは、1902年のアレクサンドラ女王、1911年のメアリー女王、1937年のエリザベス女王の戴冠式で3人の女王を飾っている。

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