12月1日、ミキモトは中国市場での小売価格の引上げを実施した。ミキモト上海前灘太古里店の店員は11月30日、中国の業界メディアの電話に対して「購入する場合は今日中に来てください、明日から値上がりします。」と返答した。また同メディアは上海国金センター店も同様に値上げを確認している。
上海前灘太古里店は、「基本的に全ての製品ラインの価格が上昇し、上昇幅は少なくとも20%だ」と述べた。11月の末にはミキモトの中国従業員が小紅書(SNS)でこの値上がりのニュースを投稿していた。具体的な上昇幅は上限は50%にも達するという。
ある投稿によると、今回の値上げで、Jeux de Rubansのプラチナネックレスの価格は74,900元(約1,498,000円)から93,200元(約11,864,000円)へと24.4%の上昇となり、別のJeux de Rubansプラチナネックレスの価格は83,800元(約1,676,000円)から105,000元(約2,100,000円)と25%以上の上昇となるという。
このミキモトの中国市場での値上げは日本本社の定価戦略の調整に従ったものだ。2023年10月、ミキモトは日本の価格を25%から36%まで引き上げた。
またちょうど1年前、ミキモトは一部の商品価格を値上げし、人気ネックレスやイヤリングなどの製品も20%値上げしている。2022年10月の値上げはミキモトにとって6年ぶりで、その値上げの後中国市場を含む他の海外市場の小売価格を次々と値上げしている。
高品質の真珠製品を主製品とするミキモトは中国市場でこの1年で2回値上げしたが、これはアコヤ真珠や貴金属などの主原料の価格上昇が大きく影響したと考えられる。ジュエリー業界メディアであるJCKは2023年10月、業界関係者のコメントを引用して、過去1年間で日本のアコヤ真珠の価格が2倍になったと報道した。この主な原因はアコヤ真珠の生産量が年々低下したことによるものだといい、統計によると日本のアコヤ真珠の生産量は30年間で80%下落しているという。
生産量が下落する中、中国市場では世界の高品質真珠に対する需要が非常に高く、これが真珠の世界市場価格をさらに押し上げるものとなった。AGTAアメリカ宝石取引協会は分析の中で「中国バイヤーのオファーが高く、西洋のバイヤーはそれについて行けない。」と指摘した。
今年9月の香港ジュエリーショーではほとんどの真珠の供給が中国市場に流れ、アジア以外のバイヤーが予算内で真珠を購入することは難しかった。このような苦境に直面したのは西洋の真珠バイヤーだけでなく、日本の真珠バイヤーでさえも苦戦した可能性がある。
ニューヨークのある高品質真珠のバイヤーはJCKに「過去18ヶ月間、中国市場は真珠に関するものをほとんど全て取ってきた。」と語った。現在中国市場からのオファーは非常に高く、高品質な真珠を仕入れることは非常に難しくなっている。
この中国市場による高品質の真珠の買い占めは真珠の価格上昇をさらに押し上げ、一方で真珠の養殖業者と生産者にとっては追い風となっている。同時に、資本力のある真珠小売業者と高級ジュエリーブランドも真珠を調達しており、今まで以上に真珠ジュエリーを宣伝することで消費者のニーズに応えている。
ティファニーは今年10月に上海で開かれたBlue Bookジュエリー展で、VIP客が購入できるよう大量の真珠ジュエリーを展示した。そしてティファニーは今年珍しく、ダイヤモンドや宝石の代わりに大きなバロック真珠を使用して、有名な「バードオンアロック」をデザインした。
JCKによると、西洋の真珠バイヤーは「2023年第4四半期と来年は(我々にとって)非常に挑戦的で、需要は減速していない。」と考えているという。
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