多角的な広い情報に合わせたビジネスの構築が必要不可欠

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 日本の都市鉱山から出てくる宝石人気はまだまだ止まる気配は見られない。安くて質が高いと言われており、海外に特に人気だ。なぜ日本国内にも広がらないのかは不思議でならないが、日本の業者は国内ではなく海外に販路を求め始めている。

 8月に開催されたジャパンジュエリーフェア(JJF)では、それに合わせ、アリババグループタオバオライブ海外ジュエリー業界担当者による「変わりゆく中国市場におけるジャパンジュエリーにとっての新たなビジネスチャンスとは?」をテーマにした講演や、中日宝飾協会とJGRL日本宝石研究所に加え、ライバーの経営企業の3社による「中国ジュエリー市場の未来及び識別機関が担う役割」と題したセミナーがJJFの会期中に実施され、どちらも興味深い内容の意見が聞かれた。

 どちらからも中国市場のポテンシャルは高く、今後も宝飾品が売れる可能性は高いとしている。

 ただ、中国のスタイルやトレンド、ターゲット層の変化が速いので、その辺を捉えることが重要としている。

 中日宝飾協会の理事長SHO TOYOKI氏は、中国で日本のジュエリーは人気が高く、まだこれからも売れる可能性は高いが、ターゲット層が変わってきていることを指摘する。

 これまでは1級都市を中心には流通が行われていたというが、現在は2級都市に移行したとみている。例えば1級都市では100万円が平均単価とすれば、2級都市では50万円が平均単価になるとの違いはあるとするが、購買力は高いとしている。さらに、年齢層は45歳の女性が中心で、子どもは平均して中学生くらいだという。クラスで言えば部長以上だそうだ。

 ただ購入側もバカではなく、いつまでも言われたままの価値では購入していない。中国では資産価値と付加価値が存在している。その中で成長するにつれて、明確な価値基準を求め始めている。日本の鑑別基準もバラバラであり、不安の原因になっているという。

 SHOさんたちは、日本から中国にジュエリーを販売するスタイルの企業であり日本企業と同じ目線で商売を行っている。

 そんなSHOさんたちは、独自の基準を設け、情報を出すべきだと考えている。

 例えば中国政府も輸入量や金額を見て、その後のルールを決めることがあり、それによって中国企業も売れるものを判断していく。つまり日本からの情報がなければ、中国企業によるモノを買わされることになる。中国の淡水真珠が良いとされれば、日本のあこや真珠を求める人に影響が出ることもなくはないという考えである。また、近いうちに何らかの規制が出されるかもしれないとも述べている。

 SHOさんたちも自分たちだけでは変えることは難しいと考えているので、日本企業と協力してマーケットを作っていきたいとしている。

 彼らのセミナーを聞いていても、決して自分たちのビジネスの宣伝をしているわけではなく、知る限りの情報も出しているので、一つの情報として交流を図ってみてもいいだろう。

一般社団法人中日宝飾協会https://www.cjajapan.com/

JGL日本宝石研究所https://japangemlaboratory.jp/

*これはThe Watch & Jewelry Today(9月1日号)に掲載したものです。

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