中国市場から見るダイヤモンド消費市場推移

若者が恋愛に興味を持たなくなると「永遠の愛の象徴であるダイヤモンド」は売れなくなる。

かつては高価で入手できなかったダイヤモンドも、中国国内では7月に比べて4カラットのダイヤモンドの価格は13.5%下落し、5カラットの価格は7.7%下落した。

多くの中国のネット民は、結婚でダイヤモンドを購入する友人が少なくなり、より投資価値のある金のジュエリーを購入している、また天然ダイヤモンドの代わりにラボグロウンダイヤモンドを購入する人が増えていると述べている。

この消費者の小さなトレンドが、業界の変化における大きなトレンドになっている。

中国国内では路面やショッピングモールのダイヤモンドジュエリー専門店の数が減少している。ブライダルジュエリーブランドである「DR」は2023 年に合計184店舗を閉鎖し、またかつてブライダルジュエリーブランドのリーダー的存在であって「IDo」は多くの都市から撤退し、その総市場価値は97%以上減少した。

GJEPCの報告書は、世界第2位のダイヤモンド市場である中国で2024年には天然ダイヤモンドの需要が約50%減少すると指摘している。

時代が変われば、またダイヤモンドの売上が向上する可能性はあるだろうか?

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天然ダイヤモンドは減少、ラボグロウンダイヤモンドは価格が低下

経済不況によりダイヤモンドの価格は低下している。

天然ダイヤモンドはもはや手の届かないジュエリーではない。周六福や老鳳祥など有名ブランドのオンラインストアを見ると、消費者は数百元から千元ちょっと(1~2万円)で販売されているダイヤモンドのネックレスやリングを見つけることができるだろう。

一方で、中国のラボグロウンダイヤモンド生産の中心地である河南省のラボグロウンダイヤモンド原石の価格は、この1年間で90%近く低下した。そして大量の安価なラボグロウンダイヤモンドが市場に殺到し、価格はさらに下がっている。中国国内の一部地域ではラボグロウンダイヤモンドの価格は天然ダイヤモンドの約1/20まで下がっている。

実際のところ、天然ダイヤモンドが非常に高価である理由は主に、業界大手企業による生産と価格の人為的な制御によるものだ。天然ダイヤモンドの供給は、埋蔵量と現在の生産量の両方の観点から常に需要を上回っている。

一方で、ラボグロウンダイヤモンドメーカーは生産能力を拡大し続けており、市場への供給がさらに増加し​​ている。

デビアスの財務報告書によると、2024年上半期の全体的な売上高は前年同期と比較して21%減少したという。

天然ダイヤモンドが希少であるという一般的認識はもはや過去のものになり、加えて人工的に成長させたラボグロウンダイヤモンドが市場に大量に出ているため、この二重の圧力により天然ダイヤモンド価格の上昇は困難になっている。

ダイヤモンドの価値はどこへいくか

ダイヤモンドは長い間、絆や永遠の愛の象徴とみなされてきた。ある意味、この感情的な価値こそがダイヤモンドの本当の「投資価値」だ。

周大福が発表した「2023年宝飾品消費動向調査報告書」によると、消費者の58%がダイヤモンドは愛の誓いを表していると信じているという。

しかし今の時代においてこの愛の感情に訴えかけるダイヤモンドマーケティングの効果には不確実性がある。なぜなら今の世代の消費者にとって、人生における愛の比重が徐々に減少しているからだ。

中国最大のQ&Aサイトである知乎が発表した「2023年若者の恋愛展望レポート」は、若者の恋愛願望が弱く、恋愛意欲スコアはわずか5点にとどまると指摘した。中国民政省のデータはこれをさらに裏付けており、2024年上半期の婚姻登録数は前年比49万8,000組と大幅に減少した。

婚姻数が減少するとダイヤモンド指輪の需要は自然に減少し、当然売上も減少する。

現代の結婚したいと考えている人たちも、人生は他人のためではなく自分のためのものであることを理解しており、ダイヤモンドなどの物質的な消費をより合理的に考えており、単に虚栄心や体面を追求することは少なくなっている。

では、ダイヤモンドカテゴリーの将来はどこにあるのだろうか?

結婚や恋愛の象徴といったダイヤモンドに対する過度な価値期待を除けば、「自分を喜ばせる」というのは実現可能な方向性だ。ベイン&カンパニーのデータによると、中国の消費者の46%が「自分を喜ばせる」ためにジュエリーを購入することを選択している。

そのためここ数年、周大生、DR、豫園ジュエリーなどのブランドはその傾向に対応するため、マーケティングに「個性」や「自己表現」などの概念を追加している。しかしその道のりは簡単ではなく、長く険しい。ダイヤモンドに関する消費者の概念長年培われてきたものであり、その概念を短期間で払拭するのは難しいからだ。

外観と価値の維持

不安定な経済環境において、消費者はジュエリーを選ぶ際に価値維持と費用対効果をますます考慮するようになっている。

以前は「リトルラッキージュエリー」(美しい意味が付加されたユニークなデザインで、快適で多用途、そして手頃な価格のジュエリー)が市場で人気だった。

また、昨年は真珠のジュエリーを身に着けた著名人のデモンストレーション効果やライブ配信の推進により、中国市場では真珠ジュエリー市場が空前のブームとなった。市場規模は約350億元(7千億円)に達し、前年比約46%増加した。しかし今年、真珠市場のブームは落ち着き始めており、真珠の価格は下落し、売り上げは減少し、販売業者は在庫の滞りなどの問題に直面している。

結局のところ、ジュエリーの外観的な満足は幻想だが、ジュエリーの価値の保存によってもたらされる安心感は本物だ。

中国市場における天然ダイヤモンド市場の低迷は、一方のゴールド市場の急成長とは対照的だ。これは、消費者が道徳的または感情的な価値よりもジュエリーの機能性を重視する傾向があることを示している。

また昨年以来、色石市場は上昇を続けており、価格は数千元から数万元まで上昇している。特にルビーやサファイアなどの人気カテゴリーでは価格が2倍にまでなっている。消費者はこれら宝石のデザインを好むだけでなく、特に希少で高品質な宝石の投資特性も評価している。

これらゴールドや色石、またリトルラッキージュエリーのサンプルケースはダイヤモンド業界の参考が含まれているかもしれない。

カラットが大きく品質の高い希少な高価な天然ダイヤモンドはゴールドや希少な色石と同様に価値を保持する可能性が高く、また景気変動に大きく影響される可能性が少ない。

ラボグロウンダイヤモンドに関しては、リトルラッキージュエリーのケースに類似しているかもしれない。最も重要なのは、優れたデザインであり外観が良く、そして若者の個々のニーズを満たすことだ。

つまり、消費者はかつてのマーケティングで築かれたダイヤモンドの価値をもはや盲目的に信じてはいない。ダイヤモンドの価値下がるとダイヤモンド自体の魅力が損なわれてしまうのだ。

ダイヤモンド業界は、愛の象徴から新たな市場での位置付けを見つける必要がある。

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