国際ダイヤモンド業界市場 週間レポート 22.08.13[RAPAPORT]

  • 中国経済の減速と米国経済の不確実性が増加している中で、ダイヤモンド市場は慎重な動き。
  • ポリッシュダイヤモンドの価格は下降傾向、市場在庫レベルは依然として高い。
  • IIJS(インド国際ジュエリーショー)はインドの明るいジュエリー市場を反映し、ディワリへの期待へ拍車をかけている。
  • カット業者は生産量レベルを低く調整しており、来週のデビアスサイトでの強い需要を予想している。
  • 大手の生産者は、米ドル以外の支払い手段を用いてロシアのアルロサのダイヤモンド原石を購入していると考えられている。
  • シグネットジュエラーズはEC大手ブルーナイルを3.6億ドルで購入、年度収益ガイダンスを5%、昨年の78億ドルから76億ドルに引き下げた。
  • インドのジュエリー小売企業、タイタンカンパニーの第1四半期の売上高は+169%の12億ドル、利益は9,900万ドルとなった。
  • Sarineの収益は原石の供給による製造と販売の減少の影響を受け、前半の収益は-13%の1300万ドル、利益は-48%の650万ドルとなっている。
ファンシーカット

0.30ctから1.20ctのファンシーカット市場は冷え込んでいる。カットの良いファンシーシェイプの供給不足が価格を支持している。1.20〜3.99ct、F-J、VS-SIが最も需要が高い。オーバルを筆頭に、ラディアント、エメラルド、ペア、クッション、マーキスがそれに続く。消費者が様々なシェイプを求めているので小売店はより幅広いシェイプを取り扱い始めている。ファンシーシェイプダイヤモンドを使用したエンゲージメントリングへの関心が高まっている。大きなサイズのファンシーシェイプに関しては通常よりも高い価格で取引されており、エクセレントカットのファンシーシェイプにはプレミアム価格が設定されている。カットの優れないファンシーシェイプは依然として販売が困難。

アメリカ

ハイエンドカテゴリーが成長しており、取引は安定している。ミドルマーケットはインフレが予算に影響を与えているため弱い。3ctアップの大粒ダイヤモンドへの需要は強い。1ctの需要は落ち着いてきている。ポリッシュダイヤモンドの価格下落はバイヤーに交渉優位性をもたらしており、インドのメーカーはより安い価格を提示するよう圧力をかけられている。メレサイズの需要は低い。業界はシグネットによるブルーナイルの買収に肯定的な評価。

ベルギー

夏季休暇シーズンによる閉鎖のためマーケットは静か。ダイヤモンド取引所はもう1週間閉鎖される。来週8月15日〜19日に開催されるデビアスサイトの前のため、ダイヤモンド原石の取引は低下している。米国や中国からの受注が減少しているため、ポリッシュダイヤモンドのディーラーは不透明性を高めている。

イスラエル

ダイヤモンド取引所は8月8日から21日まで休暇のため閉鎖されている。また多くの取引業者が休暇で不在のため市場活動は限定的。世界的な市場減速の影響で市場は低迷しており、取引業者は第4四半期の休暇シーズンに回復を期待している。

インド

国内市場は上向きになっている。ムンバイで開催されたインド国際ジュエリーショー(IIJS)は、ディワリと結婚式のシーズンに向けてジュエリーの需要が増加していることを示した。ゴールドが地元の売上を牽引している。文化の変化と西洋化の影響により、ダイヤモンドの人気も増加している。タイタンカンパニーは、消費者が同社のブランドであるタニシュク(Tanishq)などにシフトしており力強い成長があると報告している。ダイヤモンド製造業者は中国市場の減速を懸念している、米国市場に関しては現在の低迷にもかかわらず、ホリデーシーズンの売上が安定すると予想している。ダイヤモンド原石の供給が減っており、ポリッシュダイヤモンドの生産レベルが低下している。大手のダイヤモンドカット業者はラボグロウンダイヤモンドの生産に切り替えており、生産能力を使用している。

中国・香港

政府が水際対策を一部緩和、到着者への隔離期間を短縮しており、市場感情が回復しつつある。取引業者は、観光客の増加が今後数か月で売り上げを押し上げると期待している。消費者は最新の景気刺激バウチャーを受け取っているが、ラグジュアリーセグメントへの影響は小さいと考えられている。中国本土の受注は改善しており、0.30~0.80ct、1~2cts、F-H、VS-SI1、3EXへの関心が強い。エンゲージメントリングのセグメントは遅い。

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