2022年9月26日、ジュエリーブランドTASAKIが上海でパールジュエリー展を開催した。展覧会は上海久事国際芸術センターで開催され、「balance of the balance」をテーマに、TASAKIの象徴的なパールジュエリーコレクションである”balance”シリーズに焦点が当てられた。
balanceシリーズは、過去10年間のTASAKIの中心に位置づけられたラインだ。2009年、TASAKIはブランドイメージの刷新を図り、ブランドのクリエイティブディレクターとしてタイ系アメリカ人デザイナー、タクーン・パニクガル(Thakoon Panichgul)を採用した。2010年、タクーンは最初のbalanceシリーズを発表する。これは、細身のゴールドバーに5つの細かいパールを並べて配置したものだ。TASAKIによると、このシリーズでに使用されるパールは非常に品質が高く、その品質のパールは総収穫量の2%にも満たないという。
TASAKIはこれまで14のbalanceシリーズを発売し、さまざまな幾何学的構造を持つ高級パールジュエリーの品質と優雅さを表現している。2021年、balanceシリーズの10周年を記念して、クリエイティブディレクターを退任したタクーン・パニクガルが再びTASAKIと協力、balanceの10周年限定シリーズを2セット発売した。パールとダイヤモンドがちりばめられたホワイトゴールドリングとホワイトゴールドネックレスだ。
上海での展示会では、”balance”10周年記念限定品も出品され、また”the Quintessence of Pearl”のセットも展示された。このシリーズの作品はすべてアコヤ真珠で作られており、この高品質な真珠は毎年養殖場で収穫される真珠のうち1%にも満たないという。
TASAKIが中国市場に進出して長い期間が経つが、今回のような大型規模のイベントは初めてだと言える。高級ジュエリー市場が成長する中国市場において、今まで大規模なイベントを行わなかったTASAKIだが、より広い消費者に対してのアプローチとコミュニケーションを強化しようとしている。
TASAKIは現在中華圏に50ほどの店舗があり、そのうち中国本土では30ほどのブティックがあると言う。2021年末に海南三亜国際免税城に開設した免税店を含めて18のブティックが一線都市と二線都市にある。そのうち上海はTASAKIが最も多くの店舗を展開する都市だ。上海恒隆広場やIFCモールなど上海の9のミドル・ハイクラスショッピングモールに出店している。中国の他の大都市では1か2の店舗を展開しており、北京SKP、成都IFS国金中心、深圳南山万象城など、それぞれの都市で最もランクが高いと言われるショッピングモールに出店している。
カテゴリーとして、パールジュエリーは中国ジュエリー市場全体での占有率は多くない。2021年の中国のパール製品市場規模は約160億元(3,200億円)で、ジュエリー市場全体の2.2%となっている。
ゴールド、ダイヤモンド、エメラルドジュエリーの市場占有率は上位3位となっており、そのうちゴールドジュエリーの市場占有率は60%に近い。中国の消費者は伝統的にジュエリー製品を購入する時、素材の投資価値と価値維持能力を非常に重視する。そのためパールは非希少宝石素材として、中国消費者が高級品に対しての消費活動を行う上での第一選択肢になりにくい。また、中国は世界最大の淡水パール生産国で、世界のすべてのパールの約75%、全世界の淡水パールの約95%を占めている。
この事実はTASAKIにとって中国市場の開拓に大きな課題を与えていると考えられる。高品質パールをセールスポイントとすることで、TASAKIはパールの品質にこだわりを持つ、購買力のある消費者にアピールすることができる。しかし、今後中国市場でのより大きな成長をするためには、中国の多くの消費者の好みに合った商品を展開する必要がある。
TASAKIは近年、高品質パールをセールスポイントとするブランド哲学を強調する一方、ダイヤモンドや他の貴石などの素材を取り入れた製品のバリエーションを強化している。TASAKIが中国市場でブランドを紹介する際、パールとダイヤモンドが同時に言及される。ダイヤモンドへの好みがますます高まっている中国の若い消費者世代にとって、パールとダイヤモンドの組み合わせは一定の独特な魅力を演出している。
事実、TASAKIは2017年にNYのデザイナー、プラバル・グルンを次世代のクリエイティブディレクターに任命し、高級ジュエリーの開発により多くの努力と資源を投入している。2021年に発表されたハイジュエリーシリーズ、Living Natureでは、プラバル・グルンは高品質のパールをメインに、ダイヤモンド、サファイア、ルビーなどの宝石を融合させ、一連の独特なパールジュエリーを作りあげ、ブランドならではのスタイルと美学を体現している。
コメント