真珠の好調によりMIKOMOTOは中国での出店を加速

MIKIMOTOは最近、中国の海南島、三亜国際免税城に期間限定ショップをオープンした。

海南島はハワイとほぼ同緯度で美しい海岸線があり「中国のハワイ」とも呼ばれる。その最南端に位置する三亜市は、世界的に有名なホテルブランドがひしめくなど、中国を代表するリゾート地となっている。三亜・海棠湾海沿いの中央に位置する「三亜国際免税城」は延べ床面積29万㎡に及ぶ巨大なショッピングモールで、そのうち約12万㎡を免税店が占めている。

MIKIMOTOはこのショップについて、期間限定のブティックだと述べ、将来的に三亜に常設店を設置するかどうかを明らかにしていない。MIKIMOTOは現在、海南島の北に位置する海口国際免税城にも出店している。このブティックは2022年10月末にオープンしたもので、海南島でのMIKIMOTO初のブティックだ。

海口国際免税城

この海口免税店のMIKIMOTOの価格は中国本土のブティックの定価の80%から85%程度となっており、この価格差は高品質の真珠を求める消費者にとって非常に魅力的なものになっている。MIKIMOTOは中国市場で昨年価格調整を行なっている。2023年10月にMIKIMOTOは日本市場で値上げを実施し、それは25%から36%の範囲で上昇していた。中国市場では輸入税、付加価値税、贅沢品税などを考慮すると、中国大陸での価格は日本のものよりも高くなると考えられる。

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中国のラグジュアリー市場

2023年に海外旅行が回復するにつれて、日本には中国観光客姿が目立つようになった。円安の影響で日本は中国からラグジュアリー商品の購入に旅行に来る観光客の目的地として人気になっている。このような状況の中、海南島に免税店を設置することは、日本ブランドが中国市場へアクセスするには良い選択肢となっていると考えられる。

「2023年中国贅沢品報告」によると、三亜は上海、北京に続き、2023年度国内第3位のラグジュアリー商品消費市場で、年間455億元(約9,100億円)のラグジュアリー商品消費を達成している。三亜は免税店と通常店が共同発展する状況を形成した。また海口は中国都市のラグジュアリー品消費の成長率が最も速い都市となり、2023年の成長率は89%で89億元(178億円)に達しているという。

MIKIMOTOとTASAKI

中国市場で人気のある日本のもう一つの真珠ブランド、TASAKIは三亜国際免税城と海口国際免税城にブティックをオープンしている。海口国際免税城ではMIKIMOTOとTASAKI2つの店舗が隣接している。

現在中国大陸市場では、この2つのブランドは同じ都市の同じショッピングモールに入っていることが多い。しかしMIKIMOTOが各都市のトップクラスのショッピングモールへの出店を堅持しているのに対し、TASAKIが入居するショッピングモールは全てがそうというわけではない。

三亜の出店以前にMIKIMOTOは中国に17店舗を開設しており、そのうち15店舗はプロパー価格のショップだ。その他は1店舗は北京王府中環に開設された期間限定ブティックで、もう1店舗は海口免税店となっている。MIKIMOTOが展開する都市には北京、上海、深圳、南京、天津、成都、杭州、無錫、昆明、西安、瀋陽など11の高級ジュエリー消費重点都市が含まれている。

TASAKIは中華圏に50ほどの店舗があり、そのうち中国大陸には30軒ほどのブティックがある。18の一線都市と二線都市に分布している。

上海はMIKIMOTOとTASAKIが中国大陸で最も多く店舗を展開する都市だ。しかしMIKIMOTOは上海に4つの店舗しか持っておらず、それらは上海恒隆広場、前灘太古里、国金(IFC)センター、国貿匯ONE ITCの4つのトップクラスショッピングモールにある。TASAKIは上海恒隆広場と国金(IFC)センターの2つのトップクラスショッピングモールだけでなく、上海嘉尚センター、第一八佰伴、東方商業ビルなどのセカンドクラスのショッピングモールにも出店している。

MIKIMOTOの出店戦略

MIKIMOTOの中国での店舗戦略はトップクラスのショッピングモールを狙うものだが、店舗展開の速度は決して早くはなかった。MIKIMOTOは2014年9月に天津海信広場に中国大陸8番目となるジュエリーブティックを開設したが、それから10年が経った現在、店舗数は2倍となっている。

これは中国大陸でほぼ毎年平均1店舗未満を出店していることになる。2019年以降、MIKIMOTOは2020年に成都国金センターと瀋陽万象城に開店し、2021年には深圳湾万象城の1店舗だけをオープンした。2022年は免税店を除いてプロパー価格の店舗を開店していない。

しかしこの2年間、中国国内での真珠の消費は爆発的に高くなった。高価な海水真珠も、淡水真珠も同様に人気だ。アコヤ真珠の生産量の下落と中国での巨大な需要に伴い、全世界での真珠市場価格は絶えず上昇している。

MIKIMOTOはこの勢いに乗って開店を加速させるかどうかについて明言していないが、同社は2024年に少なくとも中国大陸に2つの店舗を新設するという。1つはオープンしたばかりの南京国金センター店舗で、もう一つは北京王府中環内だ。また2023年末にMIKIMOTOはトップクラスのショッピングモールである広州太古匯に期間限定ショップを開設した。その店の店員はSNSで「私たちは来年(2024)に常設店舗として正式入居する」と投稿していた。

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