金価格が記録的な高値に上昇する中、プラチナ・ギルド・インターナショナル(PGI)はこれをプラチナにとって「大きなチャンス」と捉えていると同グループの新CEO、ティム・シュリックは述べた。
今月PGIのCEOに就任したシュリックは、「プラチナは現在最適な時期だと考えている」と語る。
長年にわたり、金はプラチナよりも価値が低いと考えられてきた。しかし、過去10年間でこの2つの素材は逆転を経験している。現時点では、金の価格はプラチナの2倍以上になっている。しかしシュリックは、その事実が消費者の価値観に影響を与えていないと言う。
(価値の逆転に関して)「我々は心配していた」とシュリックは述べた。そして「我々は調査を行い、消費者に『プラチナがここ最近、金の価格を下回っている』ことについて尋ねました。我々にとって嬉しい驚きだったのは、これは調査したすべての地域に共通したことでしたが、これらの金属素材の階層構造が強く根付いているということです。」と説明した。
また「消費者に『プラチナが金を下回る価格で取引されていると知ったとしても、それでも(プラチナに)高い価格を支払う意思はありますか?』と尋ねると、かなりの割合で『はい、もちろん。プラチナのほうがより良い金属だからです。』との答えが返ってきました。」と続けた。
業界アナリストやマーケティング担当者は、現在のプラチナの価格安は産業分野の問題だと考えている。しかしシュリックは、大手プラチナ鉱山会社はプラチナ需要の約30%を占める宝飾品分野への投資を続けるだろうと考えている。
「現時点でのビジネス環境がどれほど厳しいかに関係なく、すべてのプラチナ生産者は(ジュエリー)市場の発展に強いコミットメントを持っています。」と彼は言う。「私たちが多くの分析をした結果、ジュエリー分野への投資をやめても需要が明日突然減少することはないが、2、3年後には減少することがわかりました。 (プラチナ)業界は、ジュエリーが中長期的な優先事項であり、それなしでは成り立たないことをよく認識しています。」と述べた。
最大のプラチナジュエリー市場である中国の問題を考慮し、PGIは近い将来米国でのマーケティングを拡大する計画だ。
「中国市場は依然として二桁台前半の落ち込みが続いています。しかし、インドの需要は二桁増加すると見ています。 日本では若干の増加が見られます。 米国の小売は横ばいから若干のプラスとなっています。2021年の売上高が非常に高く、これは非常に良い兆候です。中国の衰退が続けば、米国が最大の市場になるでしょう。」と同氏は述べた。
PGIはまた、キャンペーンを「よりグローバル」なものにしたいと考えていると彼は言う。「私たちは常に主要市場に足を踏み入れていきます。しかし、それは私たちが今いる場所の外に目を向けることができないという意味ではありません。 私たちは現在湾岸地域で(試験的に実施)しており、小売業者と協力してインドのブランドの一部を展開して非常にうまくいっています。私たちは、将来のプラチナの夢の市場となる可能性のある東南アジアのような場所にも注目しています。 私たちは、他の市場への投資をやめることなく、これらの市場でより積極的に活動する方法を見つけたいと考えています。」と述べた。
全体として、PGI は「価値の増加」を推進し続けるとシュリックは説明する。
「私にとって、マーケティングとは単に立派な看板を立てること以上のものです。 当社は、営業スタッフのトレーニングやメーカーへの実際の金属の扱い方の指導にも積極的に取り組んでいます。私たちの本業は、存在しない需要を生み出すことで、それが私たちの使命です。米国における当社の製品である Platinum Born に関して言うと、これは自己購入製品です。これはプラチナとしては比較的小さいカテゴリーであり、パイを拡大するには、このような機会やカテゴリーに参加する必要があると感じています。」と述べた。
確かに、一般消費者にとって金属素材の階級構造の意識は強く根付いているもので、その意識が覆ることは難しいだろう。(例えば多くのクレジットカードや会員プログラムではプラチナをゴールドよりも上位のステータスとして設定しており、プラチナが金よりも上のステータスであるという認識を一般消費者に対して形成している。)また白金属の外観的美しさは一定の消費者に対しては魅力的な要素となっている。この事実は現在の市場においてプラチナジュエリーへの優位性を与える可能性がある。
また一方中国市場においては歴史的、文化的に金への「信仰」が根付いており、また資産価値的な側面もあることから、元々は年配層に、最近では若年層にも非常に人気が高い。プラチナの価値を中国市場でどう認知させていくかが今後の課題になるだろう。
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