世界的なダイヤモンド企業デビアスとインド宝石ジュエリー輸出促進協議会(GJEPC)は、インドにおける天然ダイヤモンドジュエリーの調達、マーケティング、販売を簡素化するための戦略的協業を発表した。2025年1月7日、ムンバイで開催されたインド国際宝飾展(IIJS)にて明らかになったこの取り組みは、10,500社を超えるGJEPC会員企業が参画する大規模なものとなる。
両者は、この協業を通じて、インドの宝飾小売業者向けに「従来の枠を超えたツール」を提供する新たな団体「インド天然ダイヤモンド小売業者同盟(INDRA)」を設立する。INDRAは、人工知能(AI)を活用したカスタマイズされた小売業者向けキャンペーン、多言語によるマーケティング資料、そして現地語による詳細な天然ダイヤモンドジュエリーのトレーニングなど、革新的な取り組みを提供していく予定だ。GJEPC会員企業は、2025年1月末よりINDRAへの参加が可能となる。
デビアスは、2024年8月にも、インドで500店舗近くを展開する大手宝飾小売業者であるTanishqと、消費者の教育、関心の喚起、信頼の向上を目的とした長期的な戦略的協業を発表している。今回のGJEPCとの協業も、インド市場における天然ダイヤモンドの需要拡大に向けた、デビアスの積極的な姿勢を示すものと言えるだろう。
世界第2位の巨大市場における課題: 天然ダイヤモンド普及率の低さ
インドは現在、世界第2位のダイヤモンドおよび宝飾品市場としての地位を確立している。デビアスによると、インドのダイヤモンド市場は2030年までに40%以上の成長が見込まれている。しかし、現在のインドにおけるダイヤモンドの購入率は、米国のような成熟した市場と比較して、依然として低い水準にとどまっている。
デビアスブランドのCEOであるサンドリーヌ・コンセイラーは次のように述べている。「現在、インドの宝飾小売業界における天然ダイヤモンドの普及率は約10%にとどまっており、米国のような成熟した宝飾市場と比べて大きく遅れをとっています。今回のGJEPCとの協業を通じて、ブライダルジュエリー、日常使いのジュエリー、エントリーレベルのジュエリーなど、あらゆる種類の天然ダイヤモンドジュエリーに対する消費者の需要を高め、この成長機会を最大限に活用していきます。」
GJEPCの会長であるヴィプル・シャーは、「今回の取り組みは、関係者への教育、小売業者のエンパワーメント、そして消費者需要の促進という共通のビジョンを反映したものであり、天然ダイヤモンドの時代を超越した価値を改めて強調するものとなります。」と述べている。
INDRA: インドの宝飾業界に変革をもたらすか?
INDRAの活動は、多岐にわたる。主な活動内容は以下の通りである。
- AIを活用したマーケティング支援: AIを活用し、各小売業者に最適化されたマーケティングキャンペーンを実施。ターゲット層へのリーチを最大化し、購買意欲の向上を図る。
- 多言語対応のマーケティング資料の提供: インドの多様な言語に対応するため、パンフレット、ポスター、オンラインコンテンツなど、様々なマーケティング資料を多言語で提供。小売業者の販促活動を強力にサポートする。
- 現地語による専門的なトレーニング: 経験豊富な専門家による、天然ダイヤモンドに関する詳細なトレーニングを、ヒンディー語、タミル語など、様々な現地語で実施。小売スタッフの知識向上を図り、顧客満足度の向上につなげる。
これらの取り組みを通じて、INDRAは、インドの宝飾小売業者に対して、天然ダイヤモンドに関する知識、販売スキル、そして最新のマーケティングツールを提供することで、競争力を強化し、成長を支援することを目指している。
協業の成果に期待
デビアスとGJEPCの協業は、巨大な成長ポテンシャルを秘めたインド市場において、天然ダイヤモンドの普及を加速させるための重要な一歩と言えるだろう。INDRAの活動を通じて、インドの宝飾業界全体が活性化し、天然ダイヤモンドの需要拡大と、ひいては業界全体の成長につながることが期待される。
今後、INDRAが、インドの宝飾小売業者にどのような影響を与え、市場にどのような変化をもたらすのか、注目が集まっている。
コメント