米国の宝石研究機関であるGIA(米国宝石学協会)は、2025年までにすべてのレポートをデジタル化することを発表している。ジュエリー業界の小売業者は、このGIAの方向性、つまりダイヤモンドのアイデンティティに対する信頼性を高める高度なテクノロジーを推進する方向性についてポジティブな反応を示している。
このGIAによるデジタル進化は、3つの要素で構成されている。
完全デジタルレポート
このデジタル進化は、GIAで最も高い需要を誇るGIA Diamond Dossier®を2023年1月からデジタル化することによってスタートする。この新しいデジタルフォーマットのダイヤモンドレポート(鑑定書)は、従来と同様の信頼性の高いダイヤモンド情報を、これまで以上に安全で便利な形式で提供する。全てのGIAレポートは、GIA.eduのレポートチェック、及び新しいGIAアプリからアクセスすることが可能になる。
新しいGIAアプリ
前述したこの完全に新しいアプリは、GIAのデジタル進化を推進するものだ。4Cに関する動画や記事、POSツール、レポートの保存や検索などを提供し、GIAのダイヤモンドに関する知見とリソースを全てを1箇所に統合させる。また、新しいGIA Match ID™ 刻印マッチングサービスを強化し、ダイヤモンドデータのセキュリティを大幅に向上させる。
GIA Match ID™
この革新的な機器は、新しいGIAアプリとシームレスにペアリングするように設計されている。ダイヤモンドの刻印画像をキャプチャし、独自開発された人工知能(AI)技術によってダイヤモンドがGIAクラウドの個別のGIAレポートにリンクする。
GIAシニアバイスプレジデント兼最高執行責任者であるプリテッシュ・ペタルは「GIAは、業界をリードする研究、製品開発、グレーディングの専門知識を独自に組み合わせ、AIとクラウド技術の力を最大限に活用しています。この比類のない組み合わせは、世界中の宝石やジュエリー業界で大切なお客様により良いサービスを提供する我々の能力を強化します。」と述べる。
すべてのGIAレポートをデジタル化することで、毎年20トンの紙資源と、18.5トンのプラスチック資源を節約し、輸送の際の炭素排出量を削減できるという。このデジタル進化は、GIAが情熱的に研究し、グレーディングする宝石を算出するこの地球そのものを保護するものだと説明している。
小売業者および卸売業者からのフィードバック
ジュエリー業界の専門家たちはこの進化に対して熱意を持って肯定的に反応しており、このデジタルレポートが時間とリソースを節約するのに役立つことを受け入れている。彼らは、もはや何百ものGIAの紙のレポートを管理し、追跡する必要がなくなる。ダイヤモンドとは別に保管し、管理する必要のある紙のレポートは業界の多くの人々にとって長い間課題であり、悩みの種だった。ダイヤモンド自体が販売されたり、店舗間で移動した際に紙のレポートが別の場所に取り残される可能性があり、そのようなケースでは混乱が発生し、また管理に問題が発生する可能性がある。また、紙のレポートが破損や汚損、または紛失した場合、新しいレポートを再発行する必要もある。これらの管理や再発行には、コストだけではなくタイムロスも発生する。この新しいGIAアプリを使用すると、業者と消費者がすべてのレポートを1箇所にまとめて管理することができる。指で操作するだけでレポートに名前を付けて、保存し、ビジネスパートナーや友人に送信することもできる。またApple Walletに保存し、QRコードでスキャンすることもできるという。
ジュエリー業界全体の信頼性を保護するというGIAの使命に支えられたこのイニシアチブは、ダイヤモンドのアイデンティティの保護手段を増やすことで、取引をサポートし、消費者保護を強化する。これによって、ジュエリー業社と消費者の両方がこれまでにないダイヤモンド体験を手にし、いつでもどこでも安全なダイヤモンドデータにアクセスし、よりシームレスにビジネスを行うことを可能にする。
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