シグネットがブルーナイルを3.6億ドルで買収

北米最大のジュエリー企業であるシグネット ジュエラーズは、2022年8月9日、オンラインジュエリー販売業社およびブランドであるブルーナイル(Blue Nile)を3.6億ドルの現金で購入する契約に署名したと発表した。

ダイヤモンドジュエリーの世界最大の小売業者でもあるシグネットは、「ブライダル製品を拡大し、手頃なラグジュアリーブランドのポートフォリオを成長させるための取り組みを加速する」ための戦略的買収であると述べた。

ブルーナイルは現在、65万点以上のダイヤモンドを販売し、これまでに270万人以上の顧客にサービスを提供してきたと述べている。

この買収は、シグネットが昨年秋に25店舗展開しているダイヤモンドダイレクトチェーンを4.9億ドルで購入してから1年足らずの買収になり、シグネットの2番目の大きな買収となる。ブルーナイルの買収によって、現在78億ドルの年間売上高のシグネットは、90億ドルの目標に近づくと見られる。

ブルーナイルは1999年にシアトルで設立され、2004年に株式公開された。その後2016年にベインキャピタル・プライベート・エクイティとボウ・ストリートLLCによって5億ドルで購入され、非公開になっている。先月、再上場する計画を発表しており、その評価額は8.73億ドルだった。

ブルーナイルのCEOであるショーン・ケルは「シグネットに加わることで、当社のプレミアムブランドとファインジュエリーの提供を何百万人もの新規顧客に拡大すると同時に、当社の主要なEコマースビジネスに新たな機能をもたらし、ブルーナイルのさらなる成長機会を促進するでしょう。」と声明で述べた。

一方、シグネットは企業文化が合わない場合に多くのケースで買収が失敗する可能性があることを認識しており、それを回避するためのフィット感の評価に「かなりの時間を費やした」と述べている。

シグネットのCEO、バージニア C. ドロソスは「ブルーナイルは、オンラインによるエンゲージメントリングとファインジュエリーの分野におけるパイオニア、またイノベーターであり、顧客にユニークで非常に魅力的なショッピング体験を提供しています。」と述べている。

「ブルーナイルには、視点、経験、人種、民族、性別の多様性についての魔法のレシピがあり、それは私たちにとっても彼らにとっても戦略的利益です。当社は、多様な経験の価値と、それを集約させることでビジネスを前進させるという新しい思考の価値について非常によく似た哲学を持っています。」と彼女は続けた。特に、シグネットはダイヤモンド販売におけるブルーナイルの実績から学べることが多くある可能性が高い。

ブルーナイルは、インターネットでのダイヤモンドジュエリー販売に優れているだけでなく、在庫を持たないショールームモデルを完成させた。

現在、約20のブルーナイルのショールームが運営されており、消費者にとって適切なエンゲージメントリングやその他のダイヤモンドジュエリーを購入するという困難な購買経験の中で、ブルーナイルのアドバイザーが消費者をサポートするための物理的な場所となっている。ブルーナイルのアドバイザーは、同社の膨大なダイヤモンド在庫から適切な商品を見つけ出し、自分のジュエリーをカスタムデザインし、オンラインで注文する際のサポートを提供する。

ブルーナイルは、同社のショールームを通した注文は、Webサイトのみの注文と比較して、成約率と注文サイズを大幅に増加させていると報告している。さらに、ショールームが設置されているエリアでの売上は80%増加しているとも報告した。

オンラインによるジュエリー小売を拡大することは、パンデミックが実店舗によるジュエリー販売モデルにダメージを与えて依頼シグネットの優先事項だった。パンデミック直前の2020年度、シグネットのEコマースの売上高は、同社の売上全体61億ドルの12.2%を占めており、これは10%増加したが、一方で実店舗の売上は0.7%減少した。2022年度のEコマースの売上高は15億ドルに達し、総収益の20%近くに達している。これは2020年度の2倍以上の規模だ。

「コネクテッドコマース機能と差別化されたブランドの品揃え、マーケティングへの投資により、全てのカテゴリーとブランドでジュエリー業界の成長を上回りました。」とドロソスは同社の2022年度の業績発表の際に述べている。

ブルーナイルの買収は、シグネットにとって貴重な洞察、専門知識、およびリソースをもたらし、同社のコネクテッドコマース機能を完全に実現するという取り組みを継続するものとなる。また、シグネットは、進化するオムニチャネルショッピング環境に対応した、若い世代の、より裕福で、民族的に多様性を持つ顧客ベースにアクセスできるようになる。

2017年にシグネットに入社したドロソスは、「輝きへの道」と題する 3 年間の変革計画を策定した。このベンチマークを達成した同社は、2021年3月に「インスパイアリング ブリリアンス」と名付けられたさらに野心的な次の変革計画のフェーズを開始している。この「インスパイアリング ブリリアンス」の特徴は、同社の大きなブランドの拡大と差別化、サービス収益の拡大、手頃なラグジュアリーセグメントとバリューセグメントの構築、デジタルEコマースの加速となっている。

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