紛争ダイヤモンドの定義拡大へ前進、キンバリープロセスで合意に向けた動き

長年にわたり、いわゆる「コンフリクト・ダイヤモンド(紛争ダイヤモンド)」の定義拡大を求めてきた世界ダイヤモンド会議(WDC)は、このたび、関係国間で合意を得られる見込みのある新たな文言を提示した。

現在の定義では、「反政府武装勢力の資金源となるダイヤモンド」のみに限定されており、現代の複雑な問題を反映していないとの批判が根強い。過去には、キンバリープロセス(KP)の加盟国から「組織的かつ広範な暴力」、「強制労働」、「児童労働」、「人権侵害」といった要素を含む新たな定義が提案されてきたが、全加盟国の同意を要する制度上の制約により、定義の変更には至らなかった。

しかし、5月12日から16日にかけてドバイで開催された最新のキンバリープロセス中間会合において、アフリカダイヤモンド生産者協会(ADPA)が新たな定義案を提示した。ADPAは15か国の加盟国と5つのオブザーバー国で構成される団体である。

WDCのフェリエル・ゼロウキ会長は、「ADPAは、これまでの『反政府武装勢力』に限った定義から、国連安全保障理事会(UNSC)の制裁対象である武装組織や個人・団体も含む新たな文言を提示し、我々の呼びかけを実質的な行動へと転換させた。この貢献により、多くの関係者が再び議論の場に戻ることができた」と述べた。

この新たな表現について、多くの加盟国が受け入れ可能との認識を示し、「プロセスを前進させる強い意思が共有されている」とゼロウキ会長は続けた。KP議長であるアフメド・ビン・スレイエムも同様に評価し、「ADPAの提案は、議論を一歩前進させ、明確かつ誤解のない新定義の必要性を浮き彫りにした。まだ全会一致には至っていないが、これは確かな進展である」と語った。

さらに、WDCは今回の会合において、認証制度をより分かりやすく、一貫性を持たせ、実施しやすくするための「中核文書」を最終化し、改革議題のほとんどを完了させたことも明らかにした。また、地域社会の発展を支援するための新たなガイドラインも採択された。

ゼロウキ会長は、「これは意義深い進展である。今回は、KP加盟国の多くが『行動する意思』『定義を近代化する意思』『キンバリープロセスを設立当初のように影響力のあるものに戻す意思』をもって準備を整えてきたと感じている。今やゴールは目前である。ともに歩もう。この勢いを保とう。この取り組みをやり遂げよう」と強調した。

現行定義と拡張案の比較
項目現行定義拡張案(ADPA提案)
該当する加害主体反政府武装勢力のみ反政府武装勢力、国連制裁対象の武装集団・個人・団体
含まれる人権問題の範囲明記なし組織的・広範な暴力、強制労働、児童労働、人権侵害を含む
国際的な合意状況全会一致で成立済多数の加盟国が支持、最終合意には未到達
制度変更の実現可能性極めて困難(全会一致が必要)前進の兆しあり、協議継続中

[キンバリープロセス(KP)]
├── 各国政府(85以上の国と地域)
│ └── 例:アメリカ、EU加盟国、ボツワナ、南アフリカ、ロシア など
├── 業界団体(民間セクター)
│ └── 世界ダイヤモンド会議(WDC)
└── NGO(市民社会)
└── 人権団体、環境保護団体など

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