ショーメが2024年パリ五輪のメダルをデザイン

今年2024年に開催されるオリンピック、パラリンピックが近づき、メダルのデザインが公開された。このメダルのデザインは、LVMHグループに属するフランスのジュエラー、CHAUMET（ショーメ）が手がけたものだ。

ショーメは、歴史上初めて五輪メダルのデザインを手がけたジュエラーとなった。

LVMHグループのスポンサーシップ
LVMH内でのショーメのポジション
パリ五輪メダルデザイン
メダルの仕様

LVMHグループのスポンサーシップ

フランス、パリにはカルティエやヴァンクリーフ＆アーペルなど世界的に有名な多くのジュエリーメゾンが存在するが、ショーメはその親会社であるLVMHグループと五輪の提携によりこの名誉を得た。

LVMHグループは2023年7月に2024年パリ五輪のスポンサー資格を獲得している。同グループと競技大会組織委員会が結んだ協力に基づき、LVMHグループ傘下の複数ブランドがパリオリンピックとパラリンピックの多方面で競技サービスとスポンサー活動に参加する。

例えば、このグループ傘下のMoët Hennessy（モエヘネシー）はパリオリンピックとパラリンピックの接待用にワインとスパークリングワインを提供する。またグループ傘下の高級ファッションブランドであるルイ・ヴィトン、ディオール、ベルルッティ１年間、ブランドのデザインを多面的に展示する。

メダルデザインはグループの最も重要なスポンサー事項の一つとなっており、LVMHグループはショーメのデザインでこの仕事を完成させた。LVMHグループ傘下には他にも知名度の高いハイジュエリーブランド、ブルガリとティファニーがあるが、ブルガリはイタリア、ティファニーはアメリカブランドであり、今回パリで開催される大会のメダルデザインとしてはショーメが適していると判断された。

LVMHグループはメディア声明で「象徴的で何世紀にもわたって受け継がれたパリの宝石商としてショーメは、その精巧な技術を使用してこれらの特別なメダルを創造し、選手たちの長年の献身を奨励する。」と述べた。

LVMH内でのショーメのポジション

「ニューヨーク・タイムズ」2023年の報道によると、LVMHグループCEO兼取締役会長のベルナール・アルノーは2024パリ五輪チームとの協力が「全世界にフランスを広めるのに役立つ」と考えている。しかしそれに加えて、今回の五輪のスポンサー兼メダルデザイナーとして、ナポレオンの最初の妻であった皇后ジョゼフィーヌの王冠をデザインしたショーメにとってこれは素晴らしい宣伝効果をもたらす。

LVMHグループの2023年度業績報告によると、傘下のウォッチ、ジュエリー部門は年間利益が前年同期比７%増の21.62億ユーロに増加しており、その大部分をティファニーとブルガリが担っている。2024年1月の証券市場アナリスト向けの電話会議で、ベルナール・アルノーは「2023年のティファニーの経営利益は買収完了（2021年1月）前の３倍だった」と言及した。同時に、彼は世界トップのジュエリーブランドはカルティエとヴァンクリーフ＆アーペルを除けば、他の２つはティファニーとブルガリだと述べた。

LVMHグループはそれぞれのブランドの具体的な財務データを公表していないが、傘下の業務パフォーマンスが優れていると言及されるのは常にブルガリとティファニーだ。ショーメの財務業績については滅多に言及されることはない。

同グループ内においても高級ジュエリー市場においても、ショーメはまだ発展段階にある。前述の電話会議でベルナール・アルノーは傘下のジュエリーブランドのラグジュアリー市場における競争について「規模を拡大したり、他の傘下のブランドを（グローバル）トップ４に加えることができるか、待つつもりだ。」と述べた。

アジアはショーメの世界最大のマーケットであり、これは本拠地であるフランスがあるヨーロッパ市場を上回っている。これはそのブランドがアジア市場に早く導入されたことと関連がある。ショーメが日本に入ってから40年以上経っており、中国香港でも約20年が経過している。2016年の「ニューヨーク・タイムズ」の報道によると、ショーメは1990年代に米国市場を拡大しようとしたが、結局失敗に終わっており、そのため多くの米国人が海外でショーメの商品を購入した。

パリ五輪メダルデザイン

今回ショーメがパリ五輪のためにデザインしたメダルは、オリンピック用とパラリンピック用の２種類あり、そのどちらにも共通しているのは、オリンピックのロゴやパラリンピックのロゴが刻印された六角形の鉄の盾が中央に配置されていることだ。

この鉄の盾はパリのシンボルであるエッフェル塔の鉄を使用しており、2023年に始まった改修工事の際に回収されたものだ。この盾はジュエリーセッティングの技法である爪留めでメダルにセットされており、六角形の頂点に爪が来るように配置されている。また盾はファセットカットで描いた光線で囲まれており、パリの別名として知られる「光の都」を表現している。メダルの反対側の面には、勝利の女神のニケやギリシャのパルテノン神殿が描かれている。