英国ブランド「Astrea London(アストレア ロンドン)」がフェアモントウィンザーパークホテル内にラボグロウンダイヤモンドブティックのオープン準備を進めている。これは9月末に米国のファッション誌V-Magazineが報じたものだ。
最新の情報から、プロフェッショナルジュエラーやメディアはこの報道に対して前向きな姿勢を示しているようだ。共同創設者のナタリー・モリソンのLinkedInによると、アストレアロンドンは2023年10月頃に設立された。同社は高級ジュエリーカテゴリーに位置しており、「業界最高の品質基準を備えたラボグロウンダイヤモンド製品」を提供すると述べている。
これは、設立者である2人のパートナーの職業的背景に関連している可能性がある。ナタリーはアセット管理業界で長い経歴を持ち、ヘイヒルウェルスマネジメントを設立し、クーツアンドカンパニーバンクでシニアパートナーを務め、フランスと南アフリカなどで5つの家族経営の葡萄園を管理してきた。
これらの職歴から彼女の個人的な社会的階級の位置付けが明確であり、それがアストレアロンドンブランドの位置付けに関係していると考えられる。
ナタリーのパートナーであり友人であるクレア・フェリーニの重要性は公式サイトの紹介文を見る限りナタリーよりも高いと考えられる。クレアは以前、インベスティックインベストメントマネジメントで投資管理業界に勤めていたが、後にウーマンinインベストメントヨーロッパのWISE委員会メンバーに招待されている。
25年前にクレアの祖母が彼女にラボグロウンダイヤモンドのペンダントを贈ったとのことだが、これはその当時としては非常に「先進的な」製品であり、これがクレアのこの素材や技術へのきっかけになった。1年前、クレアはラボ グロウンダイヤモンド市場の急速な拡大を見て、友人のナタリーと意気投合し、アストレアロンドンを設立した。
アストレアロンドンというブランドはまだ小さいが、店舗のロケーションもその製品もそのポジショニングを非常に明確に示している。
「エシカル」「環境保護」といったラボグロウンダイヤモンドでは一般的な宣伝内容に加え、メディア報道では「業界最高品質基準の製品」というキーワードが強調されている。
アストレアロンドンのWebサイトでは、ほぼすべてのラボグロウンダイヤモンドは D-Fカラー、VS1以上のクラリティとなっており、0.25カラット以上のルースにはGIAまたはIGIの証明書が付いている(またアストレアは独自の証明書も提供している)。ラボグロウンダイヤモンドの技術開発の観点から、これらの品質は将来的に「世界標準」となる可能性がある。
アストレアの小売価格に関しては、2カラット DカラーVVS1のラボグロウンダイヤモンドの価格は約5,000ドルであり、メディアはこれが同じグレードの天然ダイヤモンドの価格の約10分の1であると考えている。もちろん、卸売業界の観点から小売ブランドの価格を議論することは不公平なアプローチではあるが、小売価格の観点からすると、アストレアロンドンとデビアスのライトボックスなどの間には大きな違いがある。(ライトボックスの小売価格は同グレードのルースで1800ドル)
アストレアロンドンの注目するべき点は次の2つにある。
1つは、このブランドのブティックがイギリスとフランスの高級ホテル内にあるということだ。アストレアロンドンの出現は、「伝統的なラグジュアリー国」である英国の一部の若者の考えを代表しているかもしれないし、ラボグロウンダイヤモンドが業界や市場に与える影響がジュエリー業界の想像を超えていることも意味しているのかもしれない。
別のメディアは「高級ホテルに入る世界初のラボグロウンダイヤモンドブランド」と表現しており、わずか20平方メートルノブティックとはいえ、この立地とポジショニングが社会的に大きな影響を与えていることがわかる。そのような場所がラボグロウンダイヤモンドのブランドに適しているかどうか、また将来の売上でこの立地の高額な賃料を賄えるかどうかは現時点ではわからないが、この行動には意味がある。
2つ目は、あえて高級ジュエリー市場に挑戦しインパクトを与えているという点だ。既存のラボグロウンダイヤモンド企業、取扱企業、またその他メディアによって意図的または非意図的に推進され、ラボグロウンダイヤモンドは現在「低価格」と「環境保護」という2つのイメージを形成している。しかし、卸売価格の引き下げは小売価格の引き下げを決定するものだろうか?また素材の特性によって最終製品の市場での位置付けが決まるのだろうか?
現時点でアストレアロンドンは独自の方法で市場に一定のアイデアを伝えているが、そこには多くの不確実性がある。しかし全体として、アストレアロンドンは、最初の一歩を踏み出した勇敢なラボグロウンダイヤモンドブランドであると言えるだろう。実践的なアクションで独自のポジショニングを確立しており、注目すべき存在だ。
コメント