
世界的鉱山会社Rio Tintoは、同社にとって最後となるファンシーカラーダイヤモンドの入札会「Beyond Rare Tender」を開催すると発表した。2020年に閉山した伝説的なアーガイル鉱山のピンク、レッド、ヴァイオレットダイヤモンドの最終在庫を含む歴史的なコレクションが出品されるため、世界のジュエリー業界から熱い視線が注がれている。
アーガイル鉱山が生んだ奇跡の遺産
かつてオーストラリア西部に位置したアーガイル鉱山は、世界の天然ピンクダイヤモンド産出量の90%以上を占める唯一無二の供給源であった。その紫がかった独特の美しいピンクの色合いは世界中のコレクターを魅了したが、2020年11月、資源枯渇により37年の歴史に幕を下ろした。閉山以降、アーガイル産ピンクダイヤモンドの希少価値は劇的に高騰しており、今回のテンダーは、その公式な供給ルートからまとまった量が市場に出る最後の機会となる。
ファンシーカラーダイヤモンドの絶対的価値
ダイヤモンドの価値は無色透明(Dカラー、フローレスなど)が最高とされる評価軸とは別に、ファンシーカラーダイヤモンドは色の希少性と美しさによってその価値が決定される。中でも、レッド、ヴァイオレット、ピンク、ブルーといった色は産出が極めて稀であり、投資対象やコレクターズアイテムとして別格の扱いを受ける。特にアーガイル産のピンクやレッドダイヤモンドは、その供給が完全に途絶えた今、宝飾史上においても特別な存在としてその価値を確固たるものにしている。
歴史的コレクション「Into the Light」
今回出品されるコレクション「Into the Light」は、アーガイル鉱山の最終在庫と、2026年に閉山予定のカナダ・ダイアヴィック鉱山産のダイヤモンドを合わせた合計52ロット、総計45.44カラットで構成される。
コレクションのハイライトは、両鉱山の生産の頂点を象徴する6つの「マスターピース」と呼ばれるダイヤモンドセットである。さらに、アーガイル鉱山からは、世界中の注目が集まるであろう1石のファンシーレッドダイヤモンド、極めて希少な12石のファンシーヴァイオレット、そして76石のファンシーピンクおよびパープリッシュピンクダイヤモンドが出品される。
一方、ダイアヴィック鉱山からは、同じ原石からカットされた5.11カラットのエメラルドカットと3.02カラットのペアシェイプのDカラー・フローレス品質のホワイトダイヤモンド、そして6.12カラットのファンシーヴィヴィッドイエローダイヤモンドが、その存在感を放つ。
リオ・ティントのダイヤモンド事業でセールス&マーケティング担当GMを務めるパトリック・コッペンス氏は、「この最終コレクションの重要性は計り知れない。これほど絶妙な色、形、サイズのダイヤモンドコレクションを管理する鉱山会社は、世界中のどこにも存在しない」と、その歴史的価値を強調した。
市場への影響と今後の展望
このテンダーは、アーガイル鉱山という一つの時代が完全に幕を閉じる象徴的なイベントである。落札結果は、今後の天然ピンクダイヤモンド、ひいてはファンシーカラーダイヤモンド市場全体の価格形成における重要なベンチマークとなることは必至だ。供給源の閉山が続く中、天然ファンシーカラーダイヤモンドの資産価値が今後さらに高まることは確実視されており、今回の歴史的な入札会の動向から目が離せない。
出品されるダイヤモンドは、香港、オーストラリア、アントワープで展示された後、入札が10月20日に締め切られる。
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