
「消費額と購入サイズが上昇」、高額帯需要は堅調
世界の天然ダイヤモンド市場が長期低迷から回復の兆しを見せ始めている。デビアスは、米国市場では天然ダイヤモンドジュエリーに対する消費額が増加しているほか、購入されるダイヤモンドのサイズも大型化していると報告した。
一方で、ラボグロウンダイヤモンド(LGD)の普及によって市場構造そのものが変化しており、天然ダイヤモンド業界は新たな価値提案を求められている。
平均購入額は増加、大粒化も進行
デビアスが実施した消費者調査によると、米国の婚約指輪購入者における天然ダイヤモンドの平均購入額は上昇傾向にあり、センターストーンのサイズも大型化しているという。
背景には、天然ダイヤモンドを選択する消費者層がより高所得者層へ集中していることがあるとみられる。価格競争が激しいエントリー層ではLGDが急速に浸透する一方、天然ダイヤモンドは高額帯・ラグジュアリー市場へのシフトを進めている。
デビアスは2025年決算においても、「米国市場では高価格帯カテゴリーが堅調に推移し、低価格帯の需要減少を補った」と説明している。
「量」から「質」への市場再編
近年の天然ダイヤモンド市場では、単純な販売数量の拡大よりも、より高品質・高単価の商品への需要集中が進んでいる。
業界データによると、VSクラス以上の高品質天然ダイヤモンドジュエリーの販売比率は2025年も拡大を続けており、消費者の品質志向が強まっている。
また、デビアスは2026年初頭、一部大型原石の価格を引き上げる一方で、小粒石については価格調整を実施した。これは市場需要に応じた選別的な価格戦略とみられている。
LGDの普及が天然市場を二極化
天然ダイヤモンド市場の構造変化を語る上で、LGDの存在は避けて通れない。
米国市場ではLGDが婚約指輪市場で急速に存在感を高めており、価格面で天然ダイヤモンドとの格差は過去最大級となっている。1ctクラスでは、LGDが数百ドルで購入できる一方、同等品質の天然ダイヤモンドは数千ドル以上で取引されるケースが一般的だ。
その結果、予算重視の消費者はLGDへ移行し、天然ダイヤモンドは希少性やストーリー性、資産性、ブランド価値を重視する層へ集中する構図が鮮明になっている。
天然ダイヤモンド業界は「希少性」の再訴求へ
こうした環境変化を受け、デビアスは近年、天然ダイヤモンドの希少性や唯一性を前面に押し出すマーケティング戦略へと舵を切っている。
従来の4C中心の訴求から、産出量の有限性や自然が生み出した唯一無二の存在価値、さらには個性的なカラーやインクルージョンを含めた「一点物としての魅力」を強調する動きが目立つ。
業界関係者の間では、天然ダイヤモンド市場の将来について「市場の縮小ではなく再定義が進んでいる」との見方も強まっている。大量消費市場の一部をLGDに譲る一方で、天然ダイヤモンドはラグジュアリー商品としての位置付けをより鮮明にしていく可能性が高い。
世界の天然ダイヤモンド市場は依然として厳しい環境下にあるものの、高価格帯を中心とした需要の底堅さが確認されつつあり、今後の市場動向が注目される。



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