ジョン・ハーディ、ビリー・アイリッシュとフィニアスとの新作 ラボグロウンダイヤの価値をデザインで訴求

ジョン・ハーディ(John Hardy)が、ビリー・アイリッシュと兄のフィニアスとの共同制作によるジュエリーコレクションを発表した。「ワイルドフラワー(Wildflower)」と「スクリューボール(Screwball)」という対照的な2シリーズを通じて、アーティストの感性とブランドの手仕事を結びつける。再生シルバーやラボグロウンダイヤモンドの採用に加え、価格設定と販売チャネルにも、顧客との接点を広げるための工夫が見える。

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アンバサダーから共同制作へ、約2年をかけた開発

今回の新作は、2人とジョン・ハーディの関係を、広告出演から商品づくりへと発展させるものだ。2人は2025年にブランド初のセレブリティアンバサダーに就任。新作では、クリエイティブチェアマンのリード・クラコフとともにデザインに取り組んだ。構想から制作まで約2年をかけ、2人がアトリエとともに造形やサイズ、プロポーションを検討したという。ニューヨークのデザインチームと職人の工房が参加し、スケッチ、ワックス原型、鋳造、仕上げへと制作を進めた。装着テストでは、着け心地と肌に触れた際の軽やかさも重視した。

知名度を商品に添えるだけでなく、本人たちの好みを、実際に身に着けるジュエリーの形や使い勝手へと落とし込んだ開発だ。

日常とステージ、異なる装いを映す2つのデザイン

ワイルドフラワーは、アイリッシュの同名楽曲に着想を得たシリーズだ。手彫りによる花のモチーフを中心に、繊細で有機的な表情を持たせた。

ブランドが公開したコメントでアイリッシュは、ジュエリーを自己表現や人生のある時期を映す存在と捉えていると説明。日常では華奢なものを、ツアーでは厚みのある大ぶりなものを好むとし、今回のコレクションで両方のスタイルを形にできたことに言及している。

一方のスクリューボールは、ボディピアスを発想源とする、インダストリアルな造形が特徴だ。シルバーのリンクや球状のパーツが、ワイルドフラワーの柔らかな花の表情と対をなす。フィニアスは公式コメントで、成長とともに2人の好みがよりミニマルになり、シンプルなシルエットに魅力を感じるようになったと説明している。

両シリーズは、組み合わせや重ね着けも想定している。異なるテイストを一つのコレクションに収めることで、日常の装いからステージを思わせる大胆なスタイリングまで、選択の幅を持たせた構成だ。

195ドルから展開、素材とボリュームで価格に幅

公式オンラインストアの掲載価格は195〜2,400ドルだ。ワイルドフラワーでは、シルバーのスタッドイヤリングが195ドル、ラボグロウンダイヤモンドを配した3本組のリングが550ドル、ダイヤモンド総重量0.1カラットのペンダントネックレスが695ドルとなる。

スクリューボールは、オープンリングが295ドル。リンクネックレスは幅5ミリが1,150ドル、幅8.3ミリが2,400ドルで、同じシリーズでもボリュームによって価格に違いを設けている。
ジョン・ハーディ公式コレクションページ

シルバーのみのアイテムからダイヤモンドを添えたデザインまでそろえることで、購入予算と装いの好みに応じて選べる構成だ。ラボグロウンダイヤモンドを使用した商品だけでシリーズを組み立てていない点も、価格とデザインの幅につながっている。

再生素材の採用と、ラボグロウンの独自価値

素材面では、ブランドによると、新作に用いるスターリングシルバーは再生原料の比率が99%を超える。一部のデザインにはラボグロウンダイヤモンドを採用し、手作業で制作する。

こうした素材選択は、ブランド全体の取り組みともつながる。同社は、ジュエリーに使用する金と銀について再生原料の比率が99%を超えると説明しており、製造中に生じる貴金属の端材も回収し、以後の制作に再利用する方針だ。今回の協業では、2人と共有するサステナビリティへの関心を、具体的な素材選択として示している。

ラボグロウンダイヤモンドについても、同社は独自の価値づくりを進めている。プレジデントのマット・テッパー氏は、価格や石の大きさを訴求するだけでなく、新たな創作素材として扱う考えを示す。その一例が、ラボグロウン専用に開発した独自の「JHラブストラック・カット」だ。なお、同社は天然ダイヤモンドも一部で継続して扱っている。

注目すべき点は、素材の選択を、ブランド固有のデザイン表現へどう結びつけるかという発想だ。価格面の魅力に加え、造形や仕上げ、着用体験を通じて選ぶ理由をつくる姿勢がうかがえる。

直販を軸に、商品の世界観を顧客へ届ける

販売では、自社オンラインストアと直営店を中心とするD2Cを主軸とし、卸売ではノードストロームが独占的に取り扱う。卸売が事業の大部分を占めるジョン・ハーディにとって、今回の新作は直販に重点を置く展開だ。

ビジュアルでは、スーパー8フィルムを使ったキャンペーンを展開する。花や移ろう光、影の中に2人を配し、粒子感のある映像でコレクションの世界観を表現した。繊細さと力強さが共存する商品と、手仕事を感じさせる映像の質感を重ねる演出だ。

アーティストへの関心を、商品の造形や素材、着け心地への理解につなげられるか。今回の協業は、セレブリティとの共同制作を、商品開発と販売の両面から組み立てる事例だ。新規顧客の獲得や継続購入への効果は今後の検証を待つが、ジュエリーそのものの魅力を伝えるための設計に注目したい。

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