RAPAPORTの著名なダイヤモンド業界アナリストであるアヴィ・クラヴィッツは6月2日にRAPAPORTウェビナーを実施、ロシアウクライナ戦争によるダイヤモンド市場の世界的な変化についての検討を述べた。ここで重要と思われるポイントを共有したい。
ロシアウクライナ戦争の勃発後、RapNetの在庫量は瞬間的に低下したがその後すぐに回復を見せ、現在の状態では戦争発生以前と比較しても大きな変化はなく180万ピース前後を維持している。
インドのダイヤモンド原石輸入量には4月頃に変化が現れ、それに伴い特に小さいサイズのダイヤモンドに明らかな価格上昇が見られた。
インドの第1四半期のポリッシュダイヤモンドの輸出量は相対的に安定しているが、昨年の同時期と比較すると縮小傾向が見られる。
鉱山企業では第1四半期に一定の原石在庫を積み上げており、昨年のような不足は見られない。
ロシアウクライナ戦争が発生した後にセカンダリーマーケットでのダイヤモンド原石の価格が大幅に上昇しており、特に小さなサイズのダイヤモンドほど価格上昇が顕著である。
第2四半期に入ってロシア産のダイヤモンド輸出が規制されたため、世界的にダイヤモンド原石の供給量が大幅に低下した。現時点での戦争の影響はダイヤモンド原石の領域に及んでいるが、今後6月以降にはポリッシュダイヤモンドの供給に影響を及ぼすことが予想される。最近の傾向では0.25、0.30、0.50ctのポリッシュダイヤモンドの在庫量が低下している。
これと同時に、ロシア産のダイヤモンドの生産中流国(インドのような)への原石の流れを止めることは困難な側面も存在する。生産中流国(つまりダイヤモンド原石を輸入し、研磨したものを他国に輸出している国)では様々な手段でロシア産のダイヤモンド原石の輸入を試みており、これは公然の秘密とも言える。ロシア産の原石は小サイズ、ハイカラー、スクエア系のダイヤモンドの生産に適しており、特にこれらの種類のダイヤモンドに対しては流通透明性への不安が高まっている。
ダイヤモンド原石供給低下によるリスクは、需要低下によって一時的に相殺されている。現在、戦争、インフレ、パンデミックなどの影響により一時的にダイヤモンド業界は緩やかな時期であり、素材の仕入れに慎重になったり、ストックを積む企業が出始めている。今後のポリッシュダイヤモンド市場の課題になる可能性がある。
現在、ラボグロウンダイヤモンドはロシアからのダイヤモンド供給による消費市場の供給を埋めるのには十分ではない。天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドの消費者は必ずしも同一ではなく、これらは並行発展の関係にあると考えられる。ただ、ダイヤモンド研磨国では工場の稼働を維持するためにラボグロウンダイヤモンドの加工を採用する企業がより増えることが予想され、ラボグロウンダイヤモンド業界としては消費市場の開発が今後のポイントになるだろう。
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