デビアスとボツワナが新しい合意に到達できないのは何故か?

コロナは現在においては合意を延長する正当な理由に見えないため、何か別の問題によってデビアスとボツワナ政府の新しい販売契約の合意を妨げているのではないかと業界では疑いが広まっている。

2021年12月までにデビアスは、新しい販売契約に関してのボツワナ政府との会談が繰り返される理由としてコロナを挙げていた。以前の契約は2020年末で期限切れになるはずだったが、デビアスとボツワナ政府は既存の取り決めを1年間延長している。その後、パンデミックによる物流上の課題が残っているとして両者は契約をさらに6ヶ月再延長した。

デビアスはもはや、コロナを新契約の合意を延長している説明として使用していない。今年6月29日、デビアスは更に2023年6月までの現契約の延長を発表した。同社は上半期の新しい取引の「前向きな進歩」にのみ言及し、1年間の延期によって「進行中の議論の最終決定が可能になる」と述べている。

パネミックによる遅延の説明は実際はただの弁明に過ぎなかった可能性が高い。ある情報筋によると、合意のいくつかの部分は確かに対面での交渉が必要であり、旅行制限がかかっている期間中にはそれは不可能だった。しかし、デビアス幹部のいるイギリスと、ボツワナ首都であるハボローネ間のフライトは再開されている。

その情報筋は匿名を条件に「明らかに、今やコロナが更新遅延の理由にはならない。しかし、それが交渉の進捗を非常に遅らせた可能性はある。その結果として両者は更に多くの時間が必要になったのかもしれない。」と話した。

考えられる障害

ボツワナはデビアスの15%を所有しており、残りの85%を鉱業コングロマリットであるアングロアメリカンが所有している。しかしながら、ボツワナ政府はこの交渉に大きな影響力を持っている。デビアスはボツワナのダイヤモンド原石を必要としており、またボツワナの地域に貢献することを掲げている。デビアスは10年前の以前の合意で、原石販売事業全体をロンドンからボツワナのハボローネに移転させている。

業界では、契約更新の遅延の原因が署名にあるのではないかと推測している。しかし、遅延を発生させているのは物流的な要因であるとも見られている。交渉チームは大勢であり忙しい人々で構成されている、とある情報筋は指摘した。

「12人全員が一堂に会することが問題になっている。」と情報筋は言う。「デビアスCEOであるブルース・クリーバーがその一員だとすれば、彼は来月に予定されている会議に出席ができず、進展はほとんど見込めないだろう。」

契約の当事者がこの将来の関係に反対しているのではないかと疑う人もいる。ボツワナのモグウィーツィ・マシシ大統領はアントワープを訪問し、4月にルカラダイヤモンド社とHBアントワープの間で合意された販売モデルに似たものを望んでいると言われいる。この販売モデルは、10.8cts以上の原石に関して、最終的に研磨されたダイヤモンドの価値推定に応じて価格を決定し、鉱山からベルギーのメーカーに販売されるというものだ。このモデルはデビアスのダイヤモンド原石販売方法に大きな変化を与える可能性がある。

もう1つの要因は、例えばオカバンゴ・ダイヤモンドカンパニー(ODC)などを通じてボツワナが販売できるダイヤモンド原石の割合だ。政府が所有する取引業者は現在、デビアスとボツワナの50:50の合弁会社であるデブスワナの鉱山生産品の15%にアクセスできるが、市場インサイダーはこれが増加すると予想している。

鉱業はコストがかかるために外部投資を必要とするが、「原石販売はそれほど難しいことではない。」と別の情報筋は述べる。「ボツワナは自分達でもダイヤモンドを販売したいと考えているようです。現在のダイヤモンド原石の商流の観点から鉱山から直接購入しようとする小売店も多く、またボツワナは売りたいと思っています。…大まかな流れの観点から鉱山労働者と直接行く小売業者もたくさんいます、そしてボツワナはこの領域で小売店と提携することが可能でしょう。」

現地製造

ボツワナはただの鉱業を超えて多様化することを熱望している。2021年4月に施行されたデビアスの最新のサイトホルダー契約では、より多くの商品、特に大きな原石を南部アフリカ諸国で加工するよう求めていた。またボツワナに工場を持つサイトホルダーはより良い商品配分を受けることが可能となっている。このインセンティブはうまく機能し、ボツワナ国内にカッティング工場を持つ企業の数は近年倍増し30社以上になっている。

市場参加者は、新しい政府協定により、より大きな割合の商品(より小さく、価値の低いもの)が地元の製造業者に割り当てられることを期待しているが、インドに対してボツワナのコストが大きく、価値の高いダイヤモンド原石以外を研磨するのはコストが合わない可能性があるため、収益性に関する疑問が提起されている。

サイトホルダーへの影響

新しい合意締結に関する不確実性は、現在サイトホルダーによるものだけではない。米国のダイヤモンド原石供給不足と消費者支出の弱体化、そして中国の継続的な低迷は大きな懸念事項となっている。

デビアスは7月にハボローネで行われた最近のサイトで価格を安定させたように見える。流通市場のプレミアム(サイトホルダーがデビアスの商品を転売することで得られる利益)は、市場の低迷が進んだため、ここ数週間下落している。

しかし、ボツワナの人々にとってはより良い内容であることがほぼ確実な修正合意は、業界に疑問を投げかけている。サイトホルダーは原石を入手するためのコストを増加させる必要があるのか?ボツワナのダイヤモンド原石を購入するための新しいシステムに慣れる必要があるのか?貿易に疑問を投げかけています。サイトホルダーはラフを入手するためにコストを増やす必要がありますか?彼らはボツワナの商品を購入する新しい方法に慣れる必要がありますか? ODCは市場で強力なプレーヤーとして成長するだろうか?

現在、デビアスとボツワナ政府関係者以外にこれらの質問に対する答えを持っている人はほとんどいない。しかし、ひとつ確かなことは、デビアスとボツワナ政府どちらも、これらの協議がこれほど長引くとは思っていなかったということだ。

コメント

  1. Mark より:

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