米国・カリフォルニアを拠点とするラボグロウンダイヤモンド生産者、DIAMOND FOUNDRY(ダイヤモンド・ファウンドリー)は、ドイツのアウクスブルグを拠点とするダイヤモンドウエハー企業であるAudiatecを買収した。
AudiatecとはAugsburg Diamond Technology GmbH(アウスブルグ・ダイヤモンド・テクノロジー)の略称で、2015年にMatthias Schreck博士、Martin Fischer博士、Stefan Gsell博士によって設立された。同社のプロセスでは、CVD(化学気相蒸着)法により単結晶ダイヤモンドを異質基板(ヘテロエピタキシー)に堆積させ、直径100mmまでの円盤状にダイヤモンドを単結晶で合成させる事が可能だという。同社は現在、ドイツのみならず世界トップクラスの大サイズ単結晶ダイヤモンドウエハーの開発生産者となっている。
この買収は、ドイツの有名なコンサルティング会社であるWTS Advisoryによって仲介されたが、買収金額は公開されていない。「Audiatecの買収によって、DIAMOND FOUNDRYは、ウエハーサイズの合成単結晶ダイヤモンドの優れた技術を持つ生産者を買収したことになる」と、WTSはのプレスリリースで述べている。
約7ヶ月前、Stefan Gsell博士はLinkedInで直径81mmのダイヤモンドウエハーを投稿し、業界の注目を集めていた。現在、Audiatecは直径4インチ(101.6mm)を超えるダイヤモンドウエハーを開発しているという。
半導体分野でのウエハーとは「基礎」のようなもので、チップはこの基礎に作られるため基礎は大きさが求められる。現在、シリコンウエハーの直径は12インチ(約300mm)に達しているが、ダイヤモンドウエハーの性能はシリコンウエハーをはるかに上回っている。そのためダイヤモンドウエハーは「究極の半導体材料」と呼ばれるが、ウエハーのサイズを大きくさせることが技術的ボトルネックになっている。半導体産業の発展に力を入れている国や企業は、いずれもこの分野に巨額の投資を行っている。現在、全世界的にダイヤモンドウエハーの分野では、Audiatecのサイズが限界になっている。
今回の買収は、DIAMOND FOUNDRYの半導体産業におけるビジョンを示しているといえる。ドイツのメディアの報道によると、両社は将来の長期発展について合意に達したという。買収完了後、Audiatecの2人のCEOは会社に残り、Matthias Schreck博士は会社を離れる。
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