メタバースのダイヤモンド [RAPAPORT Webinar]

2022年5月3日、RAPAPORTは”Diamonds in the Metaverse (メタバースのダイヤモンド)”というタイトルのウェビナーを開催、ダイヤモンドテクノロジー分野のキープレイヤーをパネリストとして招きラグジュアリー業界における新しい技術の考え方について議論した。(本ウェビナーはFast-Tracking the Futureと題された一連のウェビナーシリーズの第2弾)

RAPAPORTのチーフエディターであるSonia Esther Soltaniがモデレーターを務め、パネリストとしてSarine Technologies CEO David Block、Aura Blockchain Consortiumの事務局長Daniela Ott、同じくAuraの最高技術責任者であるDavid Teruzziが参加した。

メタバースや非代替トークン(NFT)というワードがIT業界だけでなくその他様々な業界においても注目され始めている中で、ジュエリー市場への潜在的なメリットや方向性について説明した。

David Blockは「誇大広告を含むNFTに対しての様々な宣伝が行われている中で、自分自身が理解をする(学ぶ)ことが現時点では最も重要だ。これは新しいパブリックスペースであり、それについて学ばなければならない。それは1日でできることではないので、まず最初の小さな一歩を踏み出すことが重要だ、ただ何かを読むことではない。これは誰にとっても新しいものであり、誰もが学んでいるところだ。」と説明。「インターネットの黎明期と同様、メタバースやNFTがどこに向かうのかを明確に知ることは誰もできない。1年、2年、または5年後には進化して大きな変化をもたらすだろう。ただ、今それを無視することは賢明ではない。」と続けた。

「ブロックチェーンテクノロジーは、過去私が見てきたどのテクノロジーよりも速いスピードで進んでいる。その為にこの新しいスペースに早く慣れること、学ぶことが必要だ。最も大切なことは、その時が来たら準備をすぐにすることだ。」とDavid Teruzziは説明。
また、視聴者からの「メタバースやNFTに関して学ぶのに適した書籍はあるか」との質問に関しては「(紙ベースの)書籍や冊子は書いてから実際に出版されるまでに時間がかかるので、その間にまた情報は更新される。今は情報の流れ方が以前とは完全に異なっているので、(この類の情報のために)書籍や冊子を読むことは推奨できない。最先端の情報は、インターネット、特にYoutubeやTwitterなどのSNSを利用、フォローして常に新しい情報を得るべきだ。」と答えた。

またラグジュアリー商品やジュエリー分野で想定されるNFTの活用例に関してDaniela Ottは「NFTは所有権及び譲渡の証明になるので、その商品がどのような所有者を経てきたのかを示すことが可能だ。例えば高級時計に関して言えば、適切なメンテナンスが定期的に施されてきたかなどの情報を記録して引き継ぐことが可能で、意味を持つようになるだろう。また、NFTは感情的な付加価値を創造できる、例えばハイブランドにオーダーメイドを依頼する際に、デザインプロセスから製造プロセスを全て記録し簡単に確認できるようにすることで新たな価値を生むことが可能だ。」と説明。
David Blockは「ブロックチェーンにトレーサビリティ情報が記録され、ダイヤモンドやジュエリーがデジタルフィンガープリントを持っている場合、小売店は店頭でそれを確認することができる。購入から数年後に顧客が修理、メンテナンス、サイズ直し、また場合によっては下取りなどで来店した際に、デジタル署名によってその商品がどこで(自店で)購入したものか、その後の履歴を瞬時に確認しその商品に対しての責任を明確にすることができる。これは小売店と消費者の間にはるかに高いレベルの信頼を築くための非常に強力なソリューションになるだろう。」と述べた。

このウェビナーで度々説明された通り、NFTを含む新しいデジタルテクノロジーは誰にとっても新しいものであり、誰もが明確なビジョンを知っているわけではない。インターネットが普及し始めた頃にネットで人々が買い物をする未来を想像できなかったように、このテクノロジーがもたらす未来は数年経って初めて明確になることも多いだろう。しかし、それが今後の市場において大きな意味を持つ以上、誰もがそれについて理解するよう努める必要があるだろう。

Sarine Technologiesはイスラエルに本社を持つダイヤモンドテクノロジーの最先端企業であり、ダイヤモンドの原石評価、カットプランニングとプロセス、ダイヤモンド鑑定及び小売店でのデジタルソリューションを提供している。現在世界中で流通するダイヤモンドのほとんどが同社のテクノロジーに触れていると言われる。

Aura Blockchain Consortiumはプラダ・グループ、LVMH、シュモングループ傘下のカルティエによって2021年4月に設立された非営利団体で、世界のラグジュアリーブランドにブロックチェーンソリューションの使用を呼びかけ、顧客に一層の透明性とトレーサビリティを提供することを目的としている。

Sarine TechnologiesとAura Blockchain Consortiumは今年、エコシステムのパートナーシップを発表している。

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