
米百貨店大手メイシーズは2026年3月発表の決算説明において、ラボグロウンダイヤモンドおよびファインジュエリーが同社の中で「特に好調なカテゴリー(standouts)」として成長を示したと明らかにした。Macy’sのアントニー・スプリングCEOは、香水、ジュエリー、ハンドバッグといった「ホリデー目的型カテゴリー」が予想以上に強い販売実績を示したと説明している。
同社の2025年度第4四半期売上高は76億4,000万ドルで前年同期比1.7%減となったものの、市場予測を上回った。また同期間の純利益は48%増の5億700万ドルに達した。
ジュエリー分野はこうした収益改善の中で重要な役割を果たしており、特にラボグロウンダイヤモンドはアクセサリーカテゴリー全体の回復を牽引する要素の一つとして位置づけられている。
出社回帰と装い需要がジュエリーを押し上げ
今回の決算説明では、婦人服やアクセサリーの回復要因として「職場への回帰」が挙げられている。スプリングCEOは、ドレス需要やテーラード衣料の伸びが顕著であり、それに連動してアクセサリー、とりわけファインジュエリー、ラボグロウンダイヤモンド、時計の売上が伸びたと述べた。
これはジュエリーの需要が婚約用途だけでなく、「日常の装い」や「自己表現」用途として拡張していることを示唆する動きだ。特に百貨店チャネルにおいては、ブライダル中心だったダイヤモンド販売の構造が変化しつつあることが読み取れる。
店舗改革とラグジュアリー強化が販売構造を変える
メイシーズは同時に、125店舗以上の改装や高付加価値商品の導入によるブランド刷新を進めている。こうした施策は単なる売上回復ではなく、顧客単価の向上を目的とした構造改革の一環である。
ジュエリー分野はその中核カテゴリーの一つとして扱われており、従来の中価格帯中心の百貨店ジュエリーから、より高単価・高付加価値領域へのシフトが進行しているとみられる。
ラボグロウンは“ファッションジュエリー中核素材”へ移行
近年の米国市場では、ラボグロウンダイヤモンドはブライダル用途だけでなくファッションジュエリーの主要素材としての役割を強めている。別の業界調査では、2025年時点でダイヤモンドジュエリーの42%にラボグロウンが使用され、婚約指輪では48%に達したと報告されている。
また平均センターストーンサイズも2019年の1.31カラットから2025年には2.45カラットへ拡大しており、大粒化と価格優位性が市場拡大を後押ししている。
こうした傾向は、メイシーズのようなマスラグジュアリー領域の小売において、ラボグロウンが単なる代替素材ではなく売上成長カテゴリーとして機能し始めていることを裏付ける。
百貨店チャネルが示す市場の実態
注目すべきは、今回の成長が専門ジュエラーではなく百貨店チャネルで確認された点だ。百貨店は価格帯、顧客層、用途のいずれにおいても中間市場の指標となる存在であり、ここでラボグロウンが「スタンドアウトカテゴリー」として認識された意味は小さくない。
従来、ラボグロウンダイヤモンドの成長はオンライン直販やブライダル特化ブランドを中心に語られることが多かった。しかし今回のメイシーズの事例は、総合小売の主力カテゴリーとして定着しつつあることを示す。
天然ダイヤモンドとの競合という単純な構図ではなく、ファッション用途の拡張素材として市場を拡大する役割を担い始めている点が、現在のラボグロウン市場の特徴であると言える。



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