2022年前半はデビアス及び米国のジュエリー業界全体にとって非常に好調な時期となったが、デビアスのCEOであるブルース・クリーバーは「デビアスは今年後半について慎重に考えている」と、上半期決算発表後の金曜日に、JCKのインタビューに対して語った。
「アメリカの(上半期の)需要がいかに堅調であったかに驚き、感銘を受けました。しかし、動きが少し遅くなっていることに疑問の余地はありません。今後の6ヶ月で多くの紆余曲折があると確信しています。我々の組織に対しての私のメッセージは、コストと生産性に本当に焦点を合わせる必要があるということです。」とクリーバーは語っている。
彼は「下半期は上半期よりも競争が激しくなるだろう」と指摘する。
それでも、これまでの18ヶ月に業界が歴史的な業績を記録したことを考慮すると「業界にポジティブな要素が多い」ことを念頭に置くよう促す。「今こそ、マーケティングにもっと投資する時です。新しい消費者を獲得するには、さらに多くのことをする必要があります。」と彼は言う。
デビアスはここのところダイヤモンド原石の価格を引き上げており、一部のサイトホルダーは不満を示している。
「我々は、生産されるポリッシュダイヤモンドに見合うダイヤモンドの価格設定に懸命に取り組んでいます。上半期にポリッシュダイヤモンドの価格が上昇したことは間違いありません。我々は引き続き責任を持ってそれに取り組みます。サイトホルダーが適切な利益を得られることを確実にしたいと考えています。」とクリーバーは説明する。
また彼は、ロシア産のダイヤモンドに対する制裁が、特に米国において「希少性の錯覚」に繋がったと述べた。
ロシアによるウクライナ侵攻はまた、デビアスのトレーサビリティプログラム、Tracrの導入を後押ししたと彼は言う。
「2022年、我々はTracrを強化しました。(ダイヤモンドの)起源が問題視されなくなることは決してなく、それは常に問題視されます。」Tracrで検証されたダイヤモンドの起源(情報)を利用することは現在ではサイトホルダーにとって(必須ではなく)選択肢であり、そしてサイトホルダーの過半数が採用しているとクリーバーは述べる。
JCKでは、この(トレーサビリティ)プログラムに対する2つの反対意見を聞いているという。
ひとつは、デビアスのクライアントやその販売先の企業は、自分よりも下流の業者に対して、自分の仕入れソースを開示したくないというものだ。なぜなら、それら下流の業者がダイヤモンドのソースを辿って(自分を飛ばして)直接仕入れをすることを恐れているからだ。
「その(上流業者の)データを非表示にできるプライバシー設定があります。」とクリーバーはそれに対して説明する。「ダイヤモンドの所有者が移り変わったことが(Tracr上で)確認できる。」が、ユーザーはそのダイヤモンドを販売した会社の名前の表示有無については決定することができるという。
別の意見として、Tracrを使用しない商品の価値が最終的に下がるのではないかという懸念がある。
「我々が考慮すべき事柄はいくつかありますが、それらがこれをしない理由にはならないと思います。透明性が高くなると問題が発生するというような議論は、キンバリープロセスが始まる前にも多くの人々が述べました。しかし、これは世界が進む方向なのです。」とクリーバーは述べる。
現在、このプログラムは1ct以上の原石に利用できる。それより小さな石にトレーサビリティをつけることは「もう一つの挑戦」だと彼は言う。
デビアスは最近、ボツワナとの現契約の延長にサインした。ボツワナのマシシ大統領は、鉱山会社であるルカラと、ベルギーのHBアントワープ社が締結した取引モデル(ダイヤモンド原石はクレジットで取引され、鉱山側がそれによって生み出された最終的な収益の一部を受け取る)をデビアスとの新しい契約モデルとして示唆していると言われている。
「我々はボツワナに恩恵をもたらすために途方もない量の事柄をしました。」とクリーバーは言う。「現在、ボツワナには32のダイヤモンドカッティング工場がありますが、数年前には6つしかありませんでした。これは、ボツワナで可能な限り多くの商品を生産するために必要な進展であり、ボツワナ政府もそれに非常に満足しています。我々はこの取り組みに非常に満足しており、ボツワナ政府も同様です。我々(デビアスとボツワナ政府)は、一部の人々が考えるよりも遥かに連携しています。」
デビアスフォーエバーマークブランドがルースダイヤモンドの卸売りを引き継ぐ計画(小売業者やサイトホルダーには不評だと言われている)に関しては、クリーバーはそれがまだ確定していないと述べた。「我々は様々なプランを試験的に導入しています。 何がうまくいくかを精査し、クライアントからフィードバックを得るようにしています。」
ラボグロウンダイヤモンドについて彼は、「興味深い1年半でした。天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドの両方の分野で素晴らしい成長がありました。特にそれら両者の価格差が大きくなるにつれて、すべてのラボグロウンダイヤモンドが天然ダイヤモンドのシェアを奪っているわけではないという証拠が増えています。トレンドは、我々が思っていたより広範囲に広がっています。ラボグロウンダイヤモンドの生産はさらに拡大し、私の見解では、生産が増加するにつれてより多くの商品の価格が下がっていくと思います。」と語った。
クリーバーは、この秋にSHOWTIMEで公開予定のドキュメンタリー「Nothing Lasts Forever(永遠に続くものはない)」(ジェイソン・コーンによって製作されたダイヤモンド産業についてのドキュメンタリー。デビアスやダイヤモンド業界に対する批判的な内容を含む。)を見ていないというが、デビアスは「不正確な情報」を修正するように求めると言う。
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