デビアスは天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドの関係についてどのような見解を持っているのか?

2022年9月15日、AWDCのファセット2022カンファレンスに、デビアスのCEOであるブルース・クリーバーと、ボツワナの鉱物エネルギー大臣であるレフォコ・モアギが、業界アナリストであるエダン・ゴランの公開インタビューに応じた。

インタビューの内容はボツワナとデビアスの契約に関して、ボツワナでの持続可能な開発、天然ダイヤモンドに対するデビアスの姿勢、鉱業が生産地に与えるポジティブな影響、KPを含む業界の透明性の取り組みなどが含まれていた。

インタビュー詳細はこちらから閲覧が可能。

この記事では特にデビアスがラボグロウンダイヤモンドをどのように位置付けているかについて語られた部分を取り上げたい。

2つの異なるカテゴリー

ブルース・クリーバーは、ラボグロウンダイヤモンドに対するデビアスの基本的な理解と見解として、ラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンドはどちらも”ダイヤモンド”であるが、これら2つは異なるカテゴリーに属していると述べた。デビアスは長年にわたる研究とリサーチによって、ラボグロウンダイヤモンドは必ずマーケットを形成すると考えているが、天然ダイヤモンドとは全く異なる2つのマーケットを形成すると考えている。またクリーバーは、今後5年間で100億〜110億ドルを天然ダイヤモンド業界に投資するということも強調した。

持続可能性に関して

天然ダイヤモンド、ラボグロウンダイヤモンドどちらも持続可能な産業だが、世論レベルでのこの2つのダイヤモンドの対立に関して、クリーバーは以下の2つの観点を述べた。

  1. 天然ダイヤモンドを持続可能性がないとして軽視するのは間違っており、これは天然ダイヤモンド業界が持続可能性について実質的に数多く取り組んでいることを無視するものだ。
  2. ラボグロウンダイヤモンドの生産者が実際に持続可能な生産基準に合致するものかどうか、どのようなエネルギーを使用しているのかは議論に値する。

また、持続可能な開発という観点において、ラボグロウンダイヤモンド業界は少なくとも現時点においては、天然ダイヤモンドがボツワナにもたらしたポジティブな変化のような社会貢献をすることはできないだろう、と述べた。

天然ダイヤモンドの代わりになるのか

これら二つのダイヤモンドが異なるカテゴリーに属するという理解は、長期的に見てもラボグロウンダイヤモンドが天然ダイヤモンドに取って代わるものになるわけではない、との見解をクリーバーは述べた。また、ラボグロウンダイヤモンドの消費者が将来的に天然ダイヤモンドを購入することもあるとの見解を示した。つまりラボグロウンダイヤモンドは入門製品となり、経済力が足りない時にはラボグロウンダイヤモンドを購入し、将来裕福になった際には天然ダイヤモンドを購入する可能性がある。

天然ダイヤモンドの採掘に関しては採掘技術が向上しており、現在では採掘が難しい部分の採掘が行われる可能性がある。今後10年、15年、20年、25年で天然ダイヤモンドの供給危機には直面しないように思われるとクリーバーは述べた。

デビアスは「天然ダイヤモンド鉱山企業」としての意見を述べているが、市場が全てデビアスの基準や意思に従って動いているわけではなく、市場はもっと複雑な消費者の動向を元に形成されていることを理解する必要がある。実際、2018年のLIGHT BOXの市場投入から現在に至るまで、市場やラボグロウンダイヤモンド業界は全てデビアスの思惑通りには動いているわけではない。デビアスの意見は参考になるが、様々な観点や情報を今後も注意深く見る必要があるだろう。

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