アメリカ WD Lab Grown Diamondsが破産申請を提出

WD Lab Grown Diamondsとして知られるM7Dコーポレーションは、連邦裁判所に(日本の破産法に該当する)チャプター7を申請した。

同社が先週水曜日にデラウェア州連邦破産裁判所に提出した書類の中で、負債総額は4,480万ドルと見積もられているという。

プライベート・エクイティ会社ヒューロン・キャピタルが所有し、ワシントンD.C.を本拠地とするこの会社は、100から199の債権者を抱えており、一方で資産は310万ドル相当だと推定されている。 また同社は、管理費が支払われた後は無担保債権者に資金を提供しないというチェックボックスにチェックを入れている。

チャプター7は米国での破産の一形態であり、債務を免除することができるが、会社は廃業することになるという。同社は、サンフランシスコを拠点とするTree Line Direct Lendingという担保付き債権者と、無担保債権者のいくつかをリストに挙げた。

同社がリストラを試みることさえせず、また購入者がいないという事実は、その提出前の財務状況をはっきりと反映している。

多くの人は同社がラボグロウンダイヤモンドビジネスの変化の犠牲になったと考えている。主に、ラボグロウンダイヤモンドの生産がインドと中国にシフトしており、米国の生産者にとって海外の人件費の低さ(に起因する商品の価格)に対抗するのは非常に難しい。

しかし、インサイダーは主に、投資会社ヒューロンキャピタルによるWDの2019年の購入に起因する他の問題があったと述べる。「ヒューロンキャピタルは、より安定的で、セクシーではないビジネスに慣れていた。」と元従業員は言う。

買収後、ヒューロンはCEOのスー・レヒナーを連れてきた。2020年初頭、WDはワシントンのカーネギー研究所からライセンスされた特許を侵害したと考えられる6つの会社を訴えた。これは同社が長い間望んでいたことであり、ヒューロンキャピタルは訴訟を収益源の可能性と見なしていた。しかし、その時点でそれらの特許には約2年の期間しか残っていなかった。そして、WDが訴えた会社のほとんどが和解してきた中、あくまでこの訴訟と戦い、最終的に勝利した1つの被告、フェニックス・ダイアモンズの意志を過小評価していた。

この特許争いにより、WDは主要資産の1つである評判に傷を負った。ラボグロウンダイヤモンドが市場に出始めた頃、彼らの競合他社はいかがわしいもので、物議を醸しすぎると考える人も多くいた。しかし対照的に、WDに対して人々は好意的な印象を持っていた。

訴訟は多くの善意を吹き飛ばした。「これはビジネスを知らない企業の典型的な例だった。」と訴訟関係者の一人は言う。「WDはブルドッグ的なアプローチ(頑固な姿勢)でインドに来たが、友人は得られなかった。」

WDはシグネットなどの企業に(CVDに関する特許を理由に)懸念を示して自社のダイヤモンドを購入させようとしたが、シグネットはその代わりに、中国でHPHTで生産されたラボグロウンダイヤモンドを購入した。HPHTラボグロウンダイヤモンドはWDの特許を侵害する可能性が非常に低かったためだ。

この訴訟にかかった費用も安くなかった。破産申請によると、WDは依然として知的財産弁護士のパーキンス・コイエに282万ドルの債務を負っているという。

WDのビジネスモデルには、ダイヤモンド原石だけではなく、ポリッシュダイヤモンドの販売が含まれていた。それはインドで加工のための費用を支払う必要があったことを意味し、同社の状況が終わりに近づくにつれて、同社は未払いの支払いをカバーするために製造業者にダイヤモンド原石を渡していたと情報筋は述べた。

よく指摘されるもう一つの間違いは、WDとリッチラインとの関係についてだ。バークシャー・ハサウェイが所有する会社であるリッチラインはWDの最大の顧客の1つだったが、ヒューロンの下の新しい監査はWDがリッチラインとの取引に依存し過ぎていることに心配し、取引を多様化したいと考えていた。結局、リッチラインはWDを他社に置き換えたが、WDがリッチライン分の取引を他社で賄うことができたのかは不明だ。

そしてこれらすべてを悪化させたのは、ラボグロウンダイヤモンドの価格の継続的な下落だった。「(WDのビジネス)アイデアは、ビジネスを取り、それを迅速にスケールアップすることだった。」と別のインサイダーは言う。「しかし価格が下がったとき、それはスケールすることができなかった。」

破産書類でWDはダイヤモンド在庫の1カラットあたりの2つの平均価格をリストしている。市場アナリストのポール・ジムニスキーによると、これらの2つの価格は原石とポリッシュダイヤモンドの2種類を示しており、現在の市況を考えるとこれらの価格は高い可能性がある。

WDは独自のブランドであるLatitudeを立ち上げ、これはオスカー・マッシンとの共同所有であったが、ブランド構築にはコストがかかる上長期的な取り組みが必要で、同社はそのリソースを持っていなかった。昨年WDからは多くの従業員が去ったか、または解雇されていた。CEOを変え、技術アプリケーション(産業分野)に事業をピボットしようとしていたが、支援者の忍耐が最終的に尽きたと見られる。

同社の最大の債務者はツリーラインで、債務額は3600万ドルになるが、その金額はわずか91.8万ドルの担保で支えられていた。

破産申請によると、ツリーラインは10月10日にWDへのローンを差し押さえ、「債務者の現金、知的財産、および機器のすべて、及び実質的に債務者の全ての資産の所有権を取った。」

同業者を含む無担保債権者には約800万ドルの負債がある。申請書には、ラボグロウンダイヤモンド企業の1つであるAether DiamondsがWDに対して70.8万ドルの債務があり、またWDは同社のエーテル濾過装置(大気から炭素を回収する装置)を所有していると記載されている。関係者によると、この件に関しては合意に達したという。

次のステップは裁判所が受託者を任命することだ。しかし、破産投資ファンドであるパイオニア・ファンディング・グループのマネージング・パートナーであるアダム・スタイン・サピアは、債権者が多くの回収を期待すべきではないと言う。「巨額の優先債務があるため、他の債権者が資金を取り戻せる可能性は非常に低い。」と彼は言う。

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