ボツワナのカロウェ鉱山を所有するルカラ・ダイアモンドは、「HBによる財務的約束の重大な違反」を理由に、大きいサイズのダイヤモンド原石をHBアントワープに専属的に売却する契約を終了した。
ルカラは声明の中で、「ルカラ社は、カロウェ鉱山のダイヤモンド原石を販売するために、確立された仕組みを引き続き利用していく。」と述べ、「つまり、クララ・ダイヤモンド販売プラットフォーム、伝統的なオークション、またダイヤモンドのその他の付加価値メカニズムを通じて販売する。」と補足した。
ルカラとHBアントワープの契約は、元ルカラCEOであるエイラ・トーマスの在任中である2020年に締結された。その11月にその契約は10年間に延長されている。しかし、トーマスが８月に辞任し、その契約の将来を危ぶむ声があった。
トーマスの辞任後にCEOに就任したウィリアム・ラムはルカラの声明の中で、「当社はダイヤモンド原石の価値を最大化するため、革新的な販売メカニズムを検討し続ける。」と述べた。
ルカラとHBの取引は珍しい構造をしていた。HBは10.8ctsを超えるすべてのカロウェのダイヤモンド原石を購入することを約束し、ダイヤモンドがポリッシュされた後の価値の一部を割合でルカラに支払うというものだ。
しかし、この取引形態に疑問を呈する声もあった。特に、この取引モデルによってボツワナ政府へのロイヤルティが40%増加したというHBの主張に疑問を呈する人もいた。元デビアス幹部であったリチャード・チェトワードは、”bne IntelliNews”５月の解説で、「ダイヤモンド業界には、世界で最も聡明で鋭いトレーダーが数多く存在する。そのほとんどは、カミソリのように鋭いトレーダーだ。ダイヤモンド取引業社はポリッシュダイヤモンドに対して、他の企業よりも40～45%も高い金額を１つの企業に支払うことはない。つもりはありません。現実に目を向けるべきだ。」と述べた。
また、業界アナリストのポール・ジムニスキーは「パンデミックによってマーケットが凍結されたとき、この取引は理にかなっているように見えた。それはルカラに一貫したキャッシュフローを提供するものになっただろう。しかし、10年間更新することは意味がなかっただろう。」と述べた。
ルカラとHBとの提携終了は、ルカラだけでなく、ルイ・ヴィトン、マイクロソフト、ボツワナ政府とも関係を築き、2020年の設立以来大きな注目を集めてきたHBにとって打撃となると考えられる。
９月初め、HBは共同創設者であるオデッド・マンソリが不特定の「戦略的ビジョンとビジネスへのアプローチの違い」を理由に取締役会から解任されると発表した。 マンソリはこれに対して法的措置を取ると述べた。
ボツワナが首都ハボローネに大規模なダイヤモンド工場を開設した後、ボツワナ政府が３月にHB株の24％を取得するという計画を発表したが、これが何を意味するのかは定かではない。
ボツワナのモクウェツィ・マシシ大統領は記者会見で、ボツワナとHBは「大筋合意」を結んだだけだと述べた。同氏は、HBとの契約は９月末に署名される予定だったが、それまでわずか数日であると述べた。
マシシ大統領は「今後の行動方針を決めるのはわれわれだ。」と語った。「HBとの契約はない。」と述べ、ボツワナとデビアスとの新たな契約も単なる「原則合意」に過ぎないと指摘した。
マシシ大統領は、ボツワナ政府は川下のマーケットをより深く理解するためにHBへの投資を望んでおり、HBは当初、ボツワナ政府による24％未満の株式取得を望んでいたと述べた。「我々は深く話し合い、我々は重要なステークホールディングを望んでいた。」と述べた。
「ダイヤモンド（事業）に投資する場合、それはダイヤモンドだけに投資することを意味するわけではなく、マーケティングアルゴリズム、テクノロジー、マーケティングにおけるアソシエイトなど、付加価値に伴うすべての知的資本を意味する。私たちそれら全てを購入しており、倫理的経済的に意味のあることだった。」と述べた。
「ビジネスの世界では、さまざまなことが起こる。」とマシシ大統領は付け加えた。「HBの所有権に突然の違いが現れたが、私たちは驚いてはいない。私たちは大人で、何が起こっているかを知っている。そして、ルカラのリーダーシップの交代が起こった。」と述べた。
マシシ大統領は、HBに何が起こっても、「我々が付加価値分野に参加しないことは決してない、我々を止められるものは何もない。」と述べた。マシシ大統領は「我々のゲームをプレイするために私たちに任せてもらいたい、我々はあなたのためにうまく演奏する。」と締め括った。
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