香港フェアの主催者であるインフォーマ・マーケッツから公式の来場者数は発表されていないが、展示会場の混雑具合はいくつかの出展者の発言を裏付けていた。今年9月の香港フェアでは売上が低迷し、中国人バイヤーの来場者も少なかったという。通常、このジュエリー&ジェムワールド香港では中国本土からのバイヤーが売上を牽引する。この展示会は9月16日から20日までアジアワールドエキスポ(AWE)で、9月18日から22日まで香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)で開催されたが、いくつかの要因により中国本土からのバイヤーが少なかったと考えられる。
その原因として考えられるのは何だろうか。それらには、進行中の不動産危機、香港フェア開始と重なり上海に直撃した台風による多くのフライトへの影響、AWEの最初の数日と重なった中秋節(中国の祝日)、そして多くの人が仕入れを躊躇した新しい税関規制などがある。
「中国のバイヤーは中国本土に真珠を輸入することに不安を感じ、真珠が手に入らない(輸入できない)かもしれないと恐れて購入をやめた。」とタヒチに拠点を置くタヒチ産真珠の卸売業者、Poe Black Pearlの代表、ロイク・ウィアートは語った。「税関は企業に対して以前よりもずっと厳しい管理を行っている。」と同氏は指摘した。
売上は低調、価格は高騰
テキサス州ヒューストンに拠点を置くSutra Jewelsは、大型のクチュールレベルのジュエリーをこの展示会に持ち込んだ。「アジアは、より上質な宝石や最高品質のものが売れる場所です。」と、妻のアルピタとこのブランドを所有しているディビヤンシュ・ナブラカは説明した。昨年と同じ数の予約を想定していたが、顧客が来てくれるとは確信が持てなかった。「アジアは売りにくい、はるかに難しい市場です。」とナブラカは付け加えた。
同フェアのラボグロウンダイヤモンドセクションでは、Smiling Rocksのキシュワール・メフムードが前向きな経験をしたと語った。Smiling Rocksはラボグロウンダイヤモンドのジュエリーを製造しており、彼女は客足と売り上げが活発であるのを目にしたという。アジア各地から訪れたバイヤーたちは、より大きなサイズ、ファンシーカラーのラボグロウンダイヤモンド、流行に敏感なデザインの選択肢の拡大に前向きだった。ラボグロウンダイヤモンドの価格が下がったことについてそれは要因ではないと語った。「価格はあまり重要ではありませんでした。人々は私たちのデザインに興味を持っていました。」と彼女は語り、「ブランディングもバイヤーにとって重要でした。」と付け加えた。
一方、色石と養殖真珠の価格は高止まりした。A. クライマン アンド カンパニーのアレン・クライマンは、大きくて最高品質のルビーを見つけるのは困難であり、非加熱ルビーとサファイアの価格は依然として驚くほど高いと語った。「非加熱ブルーの価格はすでに異常なほど高く、これ以上上がる余地はありません。」と彼は語った。
養殖真珠では、白南洋真珠とタヒチ真珠の価格が若干下落したが、良質な日本産アコヤ真珠の価格は変動していない。日本での最後のアコヤ真珠のオークションは2024年1月から4月にかけて行われ、AWEで販売されたのはそれらの品々だった。日本のP・J中村インターナショナルのCEO、中村雄一は日本の養殖業者と頻繁に連絡を取り、彼らのコストが上昇していることを知っている。「アコヤ真珠の価格は20%から30%上昇しています。」と同氏は説明した。「昨年はバイヤーがショーで真珠を買っていたが、今年はより慎重になっています。」と付け加えた。
デビアスのプレゼンテーション
今年のJCKラスベガスで行ったように、デビアスの幹部は再び「デビアスにスポットライトを当てる朝食会」を開催した。 これは9月19日に香港コンベンション&エキシビションセンターで開催され、講演者は同社の戦略について洞察をプレゼンテーションしたが、差し迫っている売却に関する情報は明かさなかった。
CEOのアル・クックはラボグロウンダイヤモンドの価格低下について語り、市場が崩壊しつつあると述べ、これらのダイヤモンドをテクノロジーにのみ使用するという同社の決定を強調した。
「LGD(ラボグロウンダイヤモンド)をジュエリーに使うことで損失が出ていました。」とクックは述べ、「これからはテクノロジーのためにLGDを作るつもりです。二度とジュエリーの為にLGDを作ることはないと思います。」と説明した。一部の聴衆からはそれに対して拍手が起こった。
他の講演者もクックの話を支持し、デビアスは探査から小売店までダイヤモンド業界のあらゆる分野に取り組んでいる唯一の天然ダイヤモンド会社であり、カテゴリーマーケティングは引き続き優先事項であると述べた。
「私たちはデビアスのあらゆる部分を改革して付加価値を高めています。」とクックは付け加えた。
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