10月29日、中国で開催されたXiaomi(シャオミ)のローンチイベントにおいて、同社の最新フラグシップスマートフォン『Xiaomi 15シリーズ』が正式発表された。Xiaomi 15には「Xiaomi 15 Diamond Limited Edition」と呼ばれる特別モデルが用意されているが、これにはラボグロウンダイヤモンドが埋め込まれている。
Xiaomi 15 Diamond Limited Editionの価格は5,999元(約129,000円)だ。このモデルにはスマートフォン側面に0.6ctのラウンドブリリアントカット・ラボグロウンダイヤモンドが美しく埋め込まれている。
このニュースはほぼ瞬時に中国のジュエリー業界全体に広がった。一部の人は、シャオミがラボグロウンダイヤモンドを採用したことはラボグロウンダイヤモンドの取引が増えただけではなく、ラボグロウンダイヤモンドの社会認知を促進したと考えている。ラボグロウンダイヤモンド分野にとってこれは一つの象徴的なイベントだ。
このシャオミによるスマートフォンへの採用は、3年前のパンドラ、2年前のタグ・ホイヤーによるラボグロウンダイヤモンドの採用とは異なる意味がある。この製品の発売により、人々がラボグロウンダイヤモンドの新な活用を知ることができ、また多くの人が実際に手にすることが可能になる。またこれを基盤として、ジュエリーを越えた新な分野での活用が期待されている。
一方で、中国国内のメディアや人々の反応は複雑で、極端でもある。あえてこれを軽視したい人々はこれはダイヤモンドではないという姿勢をとり、またこの製品を評価する人々の中には「余裕のない人は買えない」など辛辣なコメントをする人もいた。その議論は支持する派と反対する派で相容れない。
また、依然として「ラボグロウンダイヤモンドは安い」という概念が広く存在しており、プロダクトデザインにおけるラボグロウンダイヤモンドの強力な付加価値が十分に認識されていない可能性がある。それだけでなく、「モアサナイト、キュービックジルコニア」と「ラボグロウンダイヤモンド」の違いがわからないという人も珍しくない。これは、ラボグロウンダイヤモンド業界の一般消費者に対するマーケティングが(世界第二位の消費国である中国であっても)不十分であることを示している。
したがって、このシャオミの新型スマートフォンはラボグロウンダイヤモンド業界に大きな追い風をもたらしたが、その上で一つの問題を明確に理解する必要がある。それは、実際に市場での需要を促進できるのは「toB」のマーケティングだけではなく、「toC」へのマーケティングによる消費者の意識への影響だということだ。
現時点でこの限定版のダイヤモンド入りスマートフォンが実際にどのくらい販売されるか、消費者がこのデザインに魅力を感じプレミア価格を払うかどうかまだわからない。
そのため、ラボグロウンダイヤモンド業界にとって、この「シャオミイベント」がただの自己満足ではなく、真の「新たな出発点」となり得るかどうかは、主に2つの側面にかかっている。
1つ目は、これらの企業やブランドが今後もラボグロウンダイヤモンド業界と協力していくために、Bサイドでの用途をより適切に拡大し、より大きな価値(デザイン価値、ブランド価値など)を提供することだ。
2つ目は、より多くの消費者がラボグロウンダイヤモンドの素材を安心して閲覧できるよう、Cサイドのマーケティング活動を強化し、より親しみやすいプロモーションコンテンツを提供することだ。
「Xiaomi 15 Diamond Limited Edition」の発売は湖に投げ込まれた小石のようなものだ。それは大きな波を引き起こしたが、その波が押し寄せ続けることができるかどうかは、ラボグロウンダイヤモンド業界がどのようにこの機会と向き合うかにかかっている。
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