ポリッシュダイヤモンドの取引は低迷気味だが、大手ジュエリーブランドに対する供給業者は好調の傾向。6月8日から13日までのラスベガスJCKショーへの期待が高まっており、米国市場の発展が業界の成長を刺激することを業界は期待している。
中国小売市場は伸び悩んでおり、中国のバイヤーには慎重さが窺える。高インフレ、ロシアからの供給制限、中国でのコロナ禍による封鎖や制限が業界の不確実性を強めている。ロシアAlrosaからの供給の不足によりメレサイズダイヤモンドは高騰している。
4月のインドポリッシュダイヤモンドの輸出額は-3%で約22億ドル、ダイヤモンド原石の輸入額-23%の約13億ドルとなっている。
カルティエ、ヴァンクリーフ&アーペル、IWCなどを所有するリシュモンの年度会計ではジュエリーと時計の収益は約117億ドルとなり、前年度より49%の増加となった。営業利益は+ 65%の40億となっている。
香港クリスティーズ(オークション会社)はの売上高は約5,630万ドルで、その中には約490万ドルで落札された3.06ct Fancy Vivid Blue IF レクタンギュラ、ファンシービビッドブルー、IF、ダイヤモンドリングが含まれている。
ファンシーシェイプダイヤモンド
マーケットは減速傾向にあり、供給の不足が価格を支持している。1.20〜3.99ct、F-J、VS-SIが最もホットなカテゴリーになっている。オーバルが最も需要があり、エメラルドカット、ペアシェイプ、クッション、マーキスの順に続いている。消費者が様々なシェイプを求めているので小売店はより幅広いシェイプを取り扱い始めている。ファンシーシェイプダイヤモンドを使用したエンゲージメントリングへの関心が高まっている。大きなサイズのファンシーシェイプに関しては通常よりも高い価格で取引されており、エクセレントカットのファンシーシェイプにはプレミアム価格が設定されている。中国でのファンシーシェイプの需要は市場全体を助けている。カットの優れないファンシーシェイプは依然として販売が困難。
アメリカ
業者はラスベガスでのJCKショーの準備に集中しているため、取引自体は比較的緩やか。メレサイズの供給不足と価格高騰のため高品質のメレサイズダイヤモンドの注文に対応するのが難しくなってきている。1〜2ct、G-J、VS-SIのメモ取引(委託取引)は安定した需要がある。より多くの商品が増えるにつれて製造業者は割引を多く提供している。小売市場は好調な中、小売業者の感情は様々。インフレの影響への懸念が高まっており、ブライダル分野での好調が市場を牽引している。
ベルギー
大手取引業者は米国からの注文に対応するため追われている。中小企業はラスベガスJCKショーに期待を持っており活動を強めている。シングルストーンバイヤーは市場が減速しているため慎重になっている。原石の供給不足は小さいサイズのダイヤやモンドの不足を招いている。ロシアからの原石供給がないので、セカンダリーマーケットでは強い需要が見られる。
イスラエル
市場感情は複雑。ロシアの供給制限、米国経済の状況、および中国市場の減速などによる不確実性に慎重な姿勢を見せている。一方米国や欧州の小売ブランドへ共有している大手サプライヤーは好調。トップ品質のダイヤモンドは数が少なく、人気のない低いグレードのダイヤモンドは在庫が豊富でメモ(委託)で取引されている。シングルストーンバイヤーは購入の緊急性がないため現在の価格での仕入れに対しては慎重な姿勢。
インド
休暇時期から人々が徐々に戻りつつあるが、取引と生産は比較的緩やか。ダイヤモンド原石の供給不足はメレサイズポリッシュダイヤモンドの不足を引き起こしている。一部のカッティング工場では工場を稼働させるためにラボグロウンダイヤモンドによってそのギャップを埋めようとしている。DOSSIER付ダイヤモンドの需要は弱め。1~2ct、D-J、VS-SI、3Xの需要は安定している。 ルピー(インド通貨)の為替的不利は不確実性をもたらしているが、輸出業者にとっては好材料。
中国・香港
香港ではコロナウイルスの感染が減少するにつれて、ビジネスは改善傾向にある。0.30〜0.80 ct、D-I、VVS-SI2、また1ct、D-H、VS-SI2の需要が現地市場で安定している。ジュエリー小売市場は好転しているが、消費者はより低い価格帯の商品に関心を持ち始めている。小売業者の在庫は一般的に少なく、供給も厳しい状況。中国本土ではパンデミックにより封鎖が続いており慎重な状況で、消費者の心理にも影響を与えている。
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