英アングロ・アメリカン、デビアスの再上場に向け銀行と協議開始

ダイヤモンド大手デビアスの親会社である英資源大手アングロ・アメリカンは、デビアスの株式新規公開(IPO)に向け、複数の銀行と協議を開始したとブルームバーグが報じた。

アングロ・アメリカンは昨年、成長促進と中核事業への集中を目的とした事業再編計画を発表。デビアスを含む複数の部門の売却を表明しており、今回の動きもその一環だ。

ブルームバーグによると、アングロ・アメリカンはデビアス売却に向け、買い手探しと並行してIPOの準備を進める「デュアルトラック」方式を採用している。苦戦が続くデビアス事業の売却が困難な場合に備え、IPOによる資金調達を検討している模様だ。

アングロ・アメリカンはこれまでに、石炭、ニッケル、プラチナの資産を売却済みで、デビアスは売却対象として残された最後の部門となっている。

ダンカン・ワンブラッドCEOは2月に開催された鉱業投資会議で、デビアスを2025年末までに分離する意向を表明。「デビアスがアングロ・アメリカンの業績の足を引っ張ることのないよう、完全に独立した事業として体制を整える」と述べている。

ロイター通信によると、デビアスは最近、ボツワナ政府との間で新たな10年間の販売契約を締結した。ボツワナ政府はデビアスの株式15%を保有しており、出資比率の引き上げを目指しているという。

しかし、デビアスの売却は容易ではない可能性もある。世界経済の不透明感が漂う中、ダイヤモンド市場は低迷しており、香港や中国といった高級品市場では、ダイヤモンドから金へのシフトが鮮明化している。アングロ・アメリカンは2月、デビアスの資産価値を28億8000万ドル減損処理し、企業価値を41億ドルに引き下げた。2023年にも15億6000万ドルの減損処理を実施しており、2年連続の大幅な減損処理となった。

2月に発表されたデビアスの2024年決算は、売上高が前年比23%減の32億9000万ドル、純損益は2億8800万ドルの赤字だった。

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