デビアスのラボグロウン撤退の背後にあるもの、そして果たした役割とは何か

デビアスは、ラボグロウンダイヤモンド事業「Lightbox」を終了すると発表した。業界に衝撃を与えたLightboxの立ち上げから7年、ラボグロウンダイヤモンド黎明期の一つの時代が終わり、市場は新たなステージへと移行しようとしている。

Lightbox事業の終了に伴い、デビアスは在庫を含む特定の資産を売却する予定だ。現時点ではLightboxのウェブサイトはまだ稼働しているが、数ヶ月以内に閉鎖される見込みだという。

昨年開催されたJCKラスベガスにおいて、デビアスCEOのアル・クックは、Lightbox向けダイヤモンドの生産を中止し、オレゴン州ポートランドの工場を、デビアスの技術系子会社であるElement Sixの工業用ダイヤモンド生産に転用すると発表していた。当時、クックはLightboxの将来については明言を避けていたが、数ヶ月後、Lightboxブランドを再始動し、エントリーレベルの価格を1カラット500ドルに引き下げていた。

今回の決定について、クックは「昨年来、ラボグロウンダイヤモンドの価格は急落し続けている。我々の判断は、もはや中核事業ではない部分にしがみつくよりも、事業を積極的に簡素化することだった」と述べている。また、ポートランド工場をElement Sixに引き渡すことで、「最適な場所と国で、産業用途ダイヤモンド製造のための世界最高の施設を手に入れることができた」と付け加えた。

デビアスの声明によると、Lightboxの閉鎖により、「カテゴリーマーケティングを通じて天然ダイヤモンドへの需要を再活性化させるための取り組みに投資を再配分できる」としている。最新の財務諸表によると、Lightboxは2023年に1億130万ドルの損失を計上しており、これは2022年の2230万ドルの損失から増加している。クックは、この増加は工場建設に関連したものの可能性があると述べている。

しかし、クックはデビアスのラボグロウンダイヤモンド事業への参入は概ね成功したと見ている。「Lightboxがラボグロウンダイヤモンド価格に与えた影響を見ると、ラボグロウンと天然ダイヤモンドの違いを示すことに成功した試みだったと言えるだろう。それまで、ラボグロウンの価格は天然ダイヤモンドに連動していたが、Lightbox導入以降、ラボグロウンの価格は90%以上下落した。2018年に戻って前任者たちに(Lightboxが)何を達成したいかその意図を尋ねたとしたら、現在彼らはLightboxがそれを達成したと言うだろう」と述べている。

さらにクックは、昨年発表したダイヤモンド鑑定器「DiamondProof」に言及し、「ラボグロウンと天然ダイヤモンドの違いを指摘するという点で、デビアスが果たすべき重要な役割は依然として存在する」と付け加えた。

2018年にLightboxが設立された当時、1カラット800ドルという衝撃的な価格設定で、デビアスはラボグロウンを大量生産できる数少ない企業の一つだった。経営陣は、ラボグロウンを(婚約指輪ではなく)ファッション製品として位置付ける消費者ブランドを作りたいと考えていた。しかし、批評家たちは、まだ市場の初期段階にあるラボグロウンダイヤモンドを「正当化」することに懸念を抱いており、デビアス自身も、Lightboxを真のビジネスにするのか、それとも単に新興勢力の台頭を抑えるための手段とするのか、確信が持てないままだったようだ。

長年にわたり、Lightboxは消費者よりも業界関係者から多くの関心を集めていた。デビアスは2023年には婚約指輪を試験的に販売したが、業界の反発を受けてすぐに撤退した。

Lightboxの計画に携わったある人物は、今回の閉鎖に驚きはないと述べている。「デビアスの売却の話が出ている中で、これは当然のことだ。最終的にはElement Sixがデビアスから分離する可能性もあるだろう。デビアスに関心を持つ真のダイヤモンド企業は必ずしもElement Sixを求めているわけではないし、Element Sixの工業的可能性に関心を持つ企業は宝飾事業に参入したくないかもしれない」と語っている。

この意味で、デビアスは当初意図してきた目的を果たしたと言えるだろう。一つの時代が終わり、ラボグロウンダイヤモンド市場は新しいステージに移行しようとしている。

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