ラボグロウンダイヤモンドの可能性と中国市場について – 豫園ジュエリー

上海豫園ジュエリー&ファッショングループ(Yuyuan Jewelry and Fashion Group)は、中国市場におけるジュエリー小売トップ企業のうちの一つだ。同社は昨年より、ラボグロウンダイヤモンド専門ブランド「LUSANT」を立ち上げ、展開している。

同社のインキュベーションプロジェクト管理部門ゼネラルマネージャーであるウェイン・ワンに対してのインタビューがRough & Polishedに掲載された。

同氏は2014年5月から2019年5月まで、中華地域のHRDアントワープのマネージングディレクターを務めており、それ以前は、Zbird Diamond社のVIP営業部門購買ディレクターを2年間務めている。

LUSANTについて、また、親会社である上海豫園ジュエリー&ファッショングループについて詳細を教えてください。

豫園ジュエリー&ファッショングループは現在中国のジュエリー小売市場でトップの企業の一つであり、傘下に2つの大きなクラシックゴールドジュエリーブランド「Laomiao(老庙)」と「Asia One」を有しています。年間売上高は200億元(3600億〜4000億円)を超えています。2020年3月、フランスのデザイナージュエリーブランド「DJULA」を買収することで、当社は若い世代が好むファッションジュエリーカテゴリーを推進し始めました。2020年7月にはイタリアのダミアーニグループと中国に合弁会社を設立し、中華市場でのダミアーニの独占販売権及び高級ジュエリーブランド「SALVINI」の独占販売権を取得しました。これによって当社のブランディングポートフォリオは強化されました。2021年8月、豫園ジュエリー&ファッショングループからラボグロウンダイヤモンドブランド「LUSANT」が正式に立ち上げられました。「LUSANT」は、若いファッション愛好家から注目され、また現代の独立した女性を自信を持って輝かせることを目指しています。

中国でラボグロウンダイヤモンドジュエリーを購入する年齢層について、また現在のジュエリー市場全体におけるラボグロウンダイヤモンドジュエリーの割合を教えて下さい。

ラボグロウンダイヤモンドジュエリーの主要な消費者は、インターネット普及の下で成長し、スマートフォンに慣れ親しみ、Eコマースを普段から利用して生活しているZ世代であると考えられます。私たちは、消費行動が、社会的地位の象徴から、個性を表現することへとますますシフトしている顧客層に焦点を当てています。

ラボグロウンダイヤモンドジュエリーの市場シェアに関しては、我々のLUSANTは新しいブランドであり、最初の旗艦店は2022年7月にオープンする予定であるため、現時点でこの質問に答えることはできません。また、ラボグロウンダイヤモンドジュエリー市場は発展途上にあるため、総ジュエリー市場シェアと比較してラボグロウンダイヤモンドジュエリー市場シェアを推定することは重要ではありません。

現在中国のラボグロウンダイヤモンドジュエリー市場の成長可能性について、そして今後数年間でどのような機会が生まれるかについての意見はありますか?

ほとんどの人は、ラボグロウンダイヤモンドジュエリー市場の成長に大きな可能性を見出しています。今後ますます多くの新しいラボグロウンダイヤモンドジュエリーブランドが市場に参入し、そして多くの消費者はSNSを介して、率先してラボグロウンダイヤモンドの情報と知識を入手しています。また、友人、同僚、親戚、そしてもちろんインターネット、特にSNSを介して口コミでラボグロウンダイヤモンドの情報を得ています。

またラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンドの価格設定の問題とは別に、ラボグロウンダイヤモンドジュエリーが様々なファイシーシェイプ、ファンシーカラーを使用することによってファッションカテゴリーではるかに幅広いデザインの制作を可能にし、またハイテクの感覚を提供することが新しい機会となります。

天然ダイヤモンド業界との競争以外に、ラボグロウンダイヤモンド業界が将来直面する可能性のある他の課題は何だと思いますか?

実際のところ、ラボグロウンダイヤモンドは天然ダイヤモンドの競合相手ではなく、消費者の異なる需要を満たす異なる商品カテゴリになる可能性があります。各アイテムにはそれぞれの価値があります。
大きな課題は、クライアントと業界全体を1つの組織として機能させ、市場が論理的、持続可能性、透明性を持ち、かつ合法的に運営されるようにする方法にあります。

カラージェム(色石)は最近のジュエリー愛好家を捉えています。このジャンルにおけるラボグロウンダイヤモンドジュエリーに関しての意見をお聞かせください。

カラージェムはその色合いにより、天然のダイヤモンドジュエリーやパールジュエリーと比較して、より幅広いジュエリーデザインを提供しています。これに関して、確かにラボグロウンダイヤモンドはテクノロジーによってピンク、ブルー、グリーン、イエローなどのファンシーカラーダイヤモンドを生産できます。また、天然ダイヤモンドの生産コストと比較して安価で提供することができ、またさまざまなファンシーシェイプのダイヤモンドを生産することができます。これらはすべて、カラージェムのように、ジュエリーデザインの想像力を捉えて、これまでに見たり考えたりしたことのない、よりファッショナブルなジュエリー、ギフト、さまざまなカラーのラボグロウンダイヤモンドをセットした装飾品などの製作を可能にします。

ラボグロウンダイヤモンドの競争環境はかなり明白ですが、今後どのような傾向が予測できますか?

ラボグロウンダイヤモンドのギフト、装飾品、ファッションアクセサリーなど、これまで見られなかった商品カテゴリーがますます増えると思います。 市場では、ラボグロウンダイヤモンド市場でクロスカテゴリー現象が見られると思います。そしてそれはまた、市場の規模が絶えず成長することを意味します。市場はラボグロウンダイヤモンドジュエリーの受け入れが増えるでしょう。

LUSANTはジュエリーを輸出する予定がありますか?ラボグロウンダイヤモンドジュエリーに対して、世界のどの消費者市場が需要が高いと思いますか?

世界で最も成熟したラボグロウンダイヤモンド市場の1つである北米市場に参入する計画があります。 中国のラボグロウンダイヤモンド生産能力、特にHPHTでの競争優位性、高品質のCVD、中国の強力なジュエリー生産能力、そして巨大な市場規模には多くのチャンスがあると思います。

ラボグロウンダイヤモンドジュエリーは天然ダイヤモンドとどのように競争すると思いますか?またこの傾向は今後数年間でどのように広がると思いますか?

天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドの間に本当の競争はないと思います。それは別のカテゴリーの商品だからです。ただし、その化学的および物理的同一性のために、業界全体が消費者への情報開示に勤める必要があると思います。

近年、世界的にラボグロウンダイヤモンドの生産量が急増しています。この分野はさらに成長すると思いますか?商品の過剰生産によりラボグロウンダイヤモンドの価格が下がったの報告もありますが、中国での価格シナリオをどう考えますか?

はい、ラボグロウンダイヤモンドの生産、特にHPHTの生産が増加し、またますます多くの人がCVD分野に投資または投資を計画しており、この2年間でCVD生産者の数は絶えず増加しています。

ただし、ラボグロウンダイヤモンドの生産、特にCVDの生産には、依然として非常に高い技術的またはノウハウの参入障壁があります。したがって今後数年間、高品質のHPHT、CVD、またはピンク、ブルー、イエローのファンシーカラーラボグロウンダイヤモンドの不足は続くとみられ、価格に大きな影響はないと考えられます。通常および低品質のラボグロウンダイヤモンド、つまり通常のラウンド1ctサイズの価格は、生産コストの限界に達するまでさらに下がる可能性があると思います。

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