「トレーサビリティはダイヤモンド業界をどう変革するのか」要約 [Sarine x W&J]

6月22日、サリネ・テクノロジー(Sarine Technologies Group)及びW&J Today(時計美術宝飾新聞社)の主催により「トレーサビリティはダイヤモンド業界をどう変革するのか」と題したウェビナーが開催されました。この記事で本ウェビナーの内容を要約してお届けします。

*本ウェビナーを見逃した方、また改めて見直したい方の為に、この記事末尾にウェビナーのアーカイブリンクを掲載しますのでご覧下さい。

パネリスト紹介

サリネ(ダイヤモンドテクノロジー)
Sarine Technologies Group CEO David Block
ダイヤモンド業界を牽引するテクノロジー企業であり、ダイヤモンド原石の評価からカットプランニング、AIグレーディング、小売デジタルソリューションまで包括的に提供している。

ブシュロン(老舗ジュエリーメゾン)
Boucheron プロジェクト ディレクター Florence INUMARU / 犬丸 フローランス
1858年に創業された老舗ジュエリーメゾン。ハイジュラーとして初めてパリのヴァンドーム広場へブティックを構えたことでも知られる。ケリンググループ。

ボナス(ダイヤモンドブローカー)
Antwerp Bonas Group マネージングディレクター Philip Hoymans
ボナスは1880年代以来、140年以上に渡りダイヤモンド業界の最前で最も有名なダイヤモンド仲介およびコンサルタント会社のうちの一社として知られている。

東京真珠(ダイヤモンド輸入卸)
東京真珠株式会社 ダイヤモンド事業本部 商品部部長 原 弘
1959年、あこや真珠の輸出を主業として創業。1994年より海外に自社ダイヤモンドカッティング工場を設立、日本でのダイヤモンド卸事業を展開。

モデレーター紹介

ジャパンプレシャス
ディレクター兼編集長 深澤 裕
1996年創刊のジュエリー業界誌。宝石業界の真実と本質を伝える経営情報誌として、最新の企業事例や独自調査、実践ノウハウなどを発信している。

ウェビナー要約

冒頭ではモデレーターの深澤氏より市場概況として「コロナ禍及びロシアウクライナ戦争は日本を含む世界のジュエリー業界に大きな影響を与えている。小売店からも、すでに消費者から店頭でロシア産のダイヤモンドに関する懸念の声を聞いている。いくつかの小売店はロシア産のダイヤモンドを取り扱わないことに合意しており、業界の様々な業種にとって透明性とトレーサビリティに対する圧力は高まりつつある。」と説明した。

消費者からのトレーサビリティ証明の需要は高まっているか。日本の消費者についてはどうか?

フローランス:ブシュロンは今年の初めからサリネ社によるブシュロン・トレーサビリティレポートを開始しました。開始してすぐに顧客から、革新的でインタラクティブだとの非常に良い反応を得ています。しかし、顧客はトレーサビリティ証明を求めてブシュロンのブティックに訪れているわけではありません。人々は人生の特別な瞬間を祝うためにブティックに訪れるのです。
販売現場からの声として、特に日本では消費者はダイヤモンドのグレードに関しての質問が多いと聞いていますが、サスティナビリティに関して聞かれない場合にそれをどう案内すれば良いのかと言われることが多いです。サスティナビリティについて理解している消費者は、サスティナブルな商品に対して15%から20%のプレミアム価格を支払うことを厭わないことを我々は知っています。しかしブシュロンの顧客がそれについて多くを店頭で質問することがないのは、フランスの老舗ハイジュエリーメゾンとしての我々ブシュロンに対しての信頼があるのだと考えています。しかし、ダイヤモンドや貴金属について我々は消費者に説明する責任があると考えています。
人々の意識は変わりつつあり、例えばヨーロッパでは人々はスーパーマーケットに行くと多くの人はエコ包装された商品を選ぶ傾向があります。日本では多くの人は国産商品を選ぶでしょう、つまり生産者の顔が見える商品を好みます。ジュエリーに関しては多くの人はサスティナビリティに関してどう質問し選択するかを知らない場合が多いので、それを消費者に伝えるのは我々の責任です。
また、トレーサビリティレポートの消費者からの反応は素晴らしいものですが、消費者だけがそれの推進者ではありません。それはまたメディアによっても啓蒙されています。しかし最も重要なことは、サスティナビリティを推進するのは我々の従業員だということです。

消費者はダイヤモンドのトレーサビリティに関心を持っていると思うか?

デイヴィッド:消費者は大きく変わりつつあります。20年前には製品が環境に与える問題について話す人は誰もいませんでした。現在では多くの人々がそれについて語っています。しかしそれが小売店レベルにまで統合されるには多少の時間がかかるでしょう。また国などの場所や状況によっても異なるでしょう。しかし世界全体のトレンドとしてダイヤモンドなどのラグジュアリー商品にとって特にそれが消費者の購買決定にとって重要になりつつあることは間違いありません。

透明性はなぜそんなに重要になっているのか?何が起きているのか?

デイヴィッド:商品の原産地についての開示は世界的にみてトレンドになりつつあります。どのように作られたのか、それらがどのように環境や社会に影響を与えるのかについて知りたいと願っています。ダイヤモンドに関しては、紛争ダイヤモンドなどの歴史の影響もあり透明性への関心は高いと思います。それは原産地や鉱山だけにとどまらず、パイプラインの中でそれらがどのように生産されているのかという全体の工程にも及んでいます。つまり透明性について語るとき、それは原産地だけではなくパイプライン全体に関して言及されているということです。

フィリップ:このトレンドは世界的に見て、ダイヤモンド業界だけではなく他の様々な業界にとっても見てとれる傾向です。10年、15年前の消費者と比べて、SNSやニュースなど、またインターネットによって現在の消費者は非常に教育されています。透明性の重要性については現在の世界中で起きている状況によるものだと考えています。消費者からの透明性に対しての要求はここ数年で増加傾向にあり、これは決して前の状況に戻ることはないでしょう。

ダイヤモンドジャーニーレポートに鉱山情報が入る重要性は何か?

:顧客に対して安心感を与えることが重要です。社会的にサスティナブルソリューションが重要になっていて、この情報を提供することによって消費者に安心感を持ってもらうことが重要です。また、どのようなプロセスで顧客の手元に届くのかを説明するのが重要です。

フローランス:トレーサビリティそれ自体がゴールではないと考えています。全てのサプライチェーンのプレイヤー全てが関係しなくてはいけません。環境や社会に対して影響を与える様々な要素がありますが、その中の大半の要素は我々がコントロールできる範囲の外にあり、その半分以上は鉱山による影響と言えるでしょう。しかし我々は全てのステップを把握する必要があります。鉱山のパートナーと協力することも重要だと考えています。我々はダイヤモンドをマーケティングする際に、それがサスティナブルであると担保する必要があるのです。

鉱山についてのどのような情報が重要か?

フィリップ:ダイヤモンドジャーニーレポートは消費者に対してとても貢献すると思います。我々はダイヤモンドに限らず地中から様々な資源を得ていますが、採掘というものは現代社会ではあまり歓迎されません。それで採掘プロセスに関しての外からの見え方を変えたいといくつかの採掘業社は考えています。採掘業界は地域へ貢献しており、病院や学校などの建設にも貢献しています。その意味でジャーニーレポートは役に立つと考えています。

特定の鉱山に関しての質問が消費者から来た場合、販売員はそれについて回答することができるのか?

フローランス:ダイヤモンドは特定の一つの鉱山からのみ来ているわけではないので、販売員には多くのトレーニングが必要になります。もちろんダイヤモンドに関してのみではなく、他の宝石やコレクション、デザインに関しても同様です。私たちのコレクション「エトワールドゥパリ」について、ダイヤモンドの起源に関するとても美しいストーリーを伝えることができます。これは今年の1月にサリネ社のソリューションによって実現したもので、ナミビア産の海底採掘ダイヤモンドに関しての興味深いストーリーがあります。ナミビアのオペレーション、環境や生態系に関する配慮に関してのそのようなストーリーを会議やウェビナーを通してショップスタッフにもコミュニケーションを取るように我々は努めています。消費者からの質問があった際にはもちろんブシュロンのサスティナビリティチームは詳細な解答をすることができますが、店頭では鉱山についての美しいストーリーを伝えるように努めています。

信頼できるダイヤモンドジャーニーデータはどのように消費者信頼を築くことができるか?

フローランス:ブシュロンは2016年からトレーサビリティに取り組んでおり、様々なソリューションを試してきました。データの信頼性については常にボトルネックになってきました。複雑なサプライチェーンの中でどのように信頼性のあるデータを提供できるか、多くのトレーサビリティーソリューションでは単に国の情報しか提供できないものもあり、鉱山から店頭まで何が起こっているかわからないものでした。もちろんそれは我々にとっては受け入れられません。私たちにとっては信頼性が重要で、それはまず我々のチームがそれについて信頼できるかということが非常に重要でした。スタッフがそれに信頼を持てれば、熱意を持って消費者にそれを伝えることが可能になります。

日本のジュエリー業界にとってトレーサビリティはサスティナビリティの一部としてどのように重要か?

:トレーサビリティがなければサスティナビリティが実現できないので、非常に重要です。サプライチェーンの中でそれを段階的に確認していくことがとても重要だと思います。

デイヴィッド:フローランスが言ったように、トレーサビリティはゴールではなく手段です。基本的なコンセプトとして、このダイヤモンドがどこからきたのか、それがどのようにコミュニティに貢献しているのかを伝えるためにトレーサビリティは非常に重要なツールだと考えています。信頼できるデータを作るために、我々は何年間もの間務めてきました。

トレーサビリティは紛争フリー、エシカルなダイヤモンドを意味しますか?

フィリップ:トレーサビリティそれ自体はプロセスです。現代では消費者が店頭に訪れて様々な質問をします。消費者は信頼性に関して小売店に託しているということです。例えばロシアウクライナ戦争に関して言うと、小売店がロシアのダイヤモンドについて消費者に説明すると多くの人はとても驚きます。多くの人はダイヤモンドが南アフリカから来ていると思っており、ロシアがダイヤモンドの産地だと知らないのです。現代の人々は多くの知識を持っているため、トレーサビリティは非常に重要です。消費者はダイヤモンドパイプラインの中の全ての人々に対して信頼性を託しているからです。数多くあるトレーサビリティプログラムの中でサリネ社のプログラムは非常に優れていると考えています。

ロシアとアンゴラのダイヤモンドは同じ価格で日本で販売されているが、トレーサビリティによって産地によって価格が変わる可能性はあるのか?

:例えば我々はアーガイル産のピンクダイヤモンドが産地によるプレミアムを持っていることを知っています。もちろんそれは特殊な例ですが、今後産地による特別なストーリーによってその可能性が出てくる可能性はあると考えます。

サリネ社のダイヤモンドジャーニーのアドバンテージは何か?

デイヴィッド:現在、鉱山や加工業社などダイヤモンドジャーニーのパートナーは増えつつあります。我々は、どの鉱山、どの加工業者でも可能な包括的なエコシステムを構築していきたいと考えています。トレーサビリティは業界と共に成長するものです。例えば最近では我々は8つの鉱山との関係を持つアントワープボナスグループとのパートナーシップによって更なるダイヤモンドソースを増やすことができました。我々は更にソースを増やすことに注力します。ロシアウクライナ戦争が始まって以降、トレーサビリティへの需要は劇的に高まっています。

人工知能の、システムにおける役割は何か?

デイヴィッド:我々はテクノロジー企業ですが、一方で毎年1億のダイヤモンドが我々のシステムを通過しており、これは非常に膨大なデータになります。これらのデータはトレーサビリティ、AI、機械学習など様々な目的に活用されます。数年前はAIはそれほど使用していませんでしたが、現在では処理するデータの量が増えたことにより、大量のデータを効率的に処理するためにAIは重要になってきています。

ステークホルダーのバランスについてどう考えるか?

デイヴィッド:我々は中立なポジションです。我々は様々な競合企業に対してソリューションを提供します。我々は業界のどの企業に対してもソリューションとサービスを提供すると言うことです。

トレーサビリティは大手企業に対してのみ利益をもたらすものか?

デイヴィッド:これは大小関係なくどの企業にも寄与するものです。我々が鉱山や加工業者にソリューションを提供するとそれにトレーサビリティが作成され、最終的に小規模の小売店に出会ってもサービスが提供できるようになるからです。小規模の小売店であっても業界的には非常に重要であると考えられます。

システムから提供されるデータの信頼性に関してはどう考えるか?

フィリップ:我々は鉱山と確実なパートナーシップを持っており、鉱山からのパイプラインがしっかりと管理されており、サリネ社のシステムにデータをアップロードする際にKPやインボイスを含めて信頼性のあるデータを容易にトレースすることが可能です。全てのパイプラインに関わる全てのプレイヤーに関して証明できるものになっています。

デイヴィッド:信頼が構築されている最初のレイヤーはパイプラインの人々、そして次のレイヤーはデータの信憑性です。データはテクノロジーから直接供給されるため、それは改ざん、操作が不可能であり、非常にパワフルな高い信頼性を提供します。パイプラインに関わる人々、そして改ざん不可なデータが組み合わさることで消費者に信頼を提供できると考えています。

:我々はダイヤモンド加工業者としてバンコク工場でサリネ社のシステムを利用してダイヤモンド生産のそれぞれのステップの検証作業をしています。そしてそれらをサリネ社のクラウドサーバーにアップロードします。我々の役割は原石を加工し小売店などに供給することです。そして鉱山から買い手までのリンクされたデータを提供します。小売店は加工されたダイヤモンドを展示しますが、鉱山、加工業社、そして小売店までがトレーサビリティの役割を果たしそれらがリンクされると言うことです。

将来的には従来のような鑑定書は不要になるのか?

フローランス:我々は今年1月にトレーサビリティプログラムを開始しましたが、このトレーサビリティレポートには鑑定情報が統合されています。これにはサリネ社によるAIグレーディングレポートが入っており、現在どの鑑定書にも比較できない高い信頼性のものとなっています。

トレーサビリティは業界にとって脅威になるか?

フィリップ:これは業界にとって良い機会になると信じています。我々は非常にエモーショナルな商品を扱っています。ダイヤモンドやジュエリーは人々の人生の重要な機会において必要とされます。トレーサビリティはダイヤモンドのストーリーを強化するものです。その意味でトレーサビリティは間違いなく良い機会になると言えます。

:良い機会だと確信しています。日本市場にとってはトレーサビリティの需要は決して新しいものではありません。私が業界に入った30年前から業者は原産地証明のようなものを求めていました。当時それらの需要は小売店から出ており、その主な目的は他店との競争及び差別化のためでした。しかし現在ではその需要は社会から出ています。つまり以前は商品戦略としての目的であったものが、現在では社会的な目的になっているということです。実際に需要は存在しており、それは我々の業界全体にとって良い機会になると思います。

小売店がトレーサビリティを導入し始める時、店頭にはトレーサビリティのない商品が混在することになるが、これは何か問題を引き起こすか?

フローランス:実際に我々の店頭にも両方存在します。トレーサビリティを導入する際に、我々は社内のマインドセットやワークフローを変更させる必要など様々な課題がありました。それで一つのコレクションからスタートすることにしたのです。これによって分離やスタッフのトレーニングが容易になりました。
現在ではGIA付でトレーサビリティのないものと、トレーサビリティ付のエトワールドゥパリがあります。我々は2023年より全てのコレクションにトレーサビリティを導入する予定にしており、これは更なる複雑なマネジメントが予想されます。つまり同じコレクションの中でトレーサビリティ付のものとそうでないものが混在することになるのです。しかしそれを大きく心配はしていません。正しい方向に進むためには課題が存在することを理解しているからです。最も良くないのは何もしないこと、過去の状態のまま留まり続けることです。
我々は自社のダイヤモンドに誇りを持っており、長期に渡って確かな経路のダイヤモンドを取り扱ってきました。ですので、トレーサビリティはあくまで我々にとっては追加の信頼情報を提供するサービスだと位置付けています。

ラボグロウンダイヤモンドは100%サスティナブルを意味するのか?

デイヴィッド:業界全体をまとめて語るのはミスリーディングを引き起こすと思います。天然ダイヤモンドの原産地にも様々あるように、ラボグロウンダイヤモンドの生産者にも様々あります。ある生産者は化石燃料を使用し、ある生産者は太陽光発電を使用します。全てのラボグロウンダイヤモンドがサスティナブルでエシカルと同じように語ることはできないと思います。情報が開示される限り、消費者がそれを選択するようになるはずです。我々がソリューションを提供するのは消費者の選択を助けるためだと信じています。

:ラボグロウンダイヤモンドは天然ダイヤモンドとの対立構造としてスタートしました。現在、何かを批判するのではなく、天然ダイヤモンド自体の購入動機をポジティブなものとして消費者に伝えることが重要だと感じています。

フローランス:ブシュロンはラボグロウンダイヤモンドを天然ダイヤモンドと同じプライスポジションとして位置付けていません。我々は天然ダイヤモンドとしてそれに携わる人々、鉱山や加工の現場でどのようなポジティブな貢献をしているかを強調する必要があると思います。

ラボグロウンダイヤモンドがダイヤモンドジャーニーソリューションに対して有用性があるか?

デイヴィッド:前述したように様々なソースのラボグロウンダイヤモンドが存在する中で、再生可能エネルギーを使用したラボグロウンダイヤモンドをそれら以外のものから差別化するために活用できると思っています。また、アメリカの消費者に対してアメリカ産(地元産)のダイヤモンドを提供できるという利点もあります。その意味でラボグロウンダイヤモンドに対しても有効であると考えます。

ダイヤモンド業界が期待できる新しいイニシアチブとは?

フィリップ:数週間で我々は様々な鉱山からのトレーサビリティプログラムをスタートさせます。人々はトレーサビリティが金融ゲームなのかと感じていますが、それは違います。現在、トレーサビリティ付の原石をそうでないものよりも高い価格で販売することは可能です。将来的にはサスティナブルなダイヤモンドはプレミアムプライスで売ることもできるでしょう。しかし現在金融ゲームではないと言えます。
鉱山は様々なサイズレンジのダイヤモンド原石を生産し、それには小さい原石も含まれます。理想的にはその全ての原石のトレーサビリティを提供したいと思っています。しかし、現実的には大きいサイズの方がトレーサビリティを付加しやすいということがあります。しかしながら、我々はどこかからそれを始めなくてはなりません。将来的にはテクノロジーの進化により小さいものにも対応するようになるでしょう。我々がサリネ社とのパートナーシップを決定した理由は彼らが唯一、科学的な信頼性でそのスケールアップが可能な企業だと信じたからです。

:日本市場でトレーサビリティをスタートする場合、小さいサイズが課題になってくると思います。しかしサリネ社のようなテクノロジーの発展はそのような小さいダイヤモンドに関しても流通を可視化する完全なソリューションを近い将来実現すると信じています。

フローランス:ブシュロンとしてはスケールアップを何よりも目指しています。現在は特定のコレクションにのみトレーサビリティを適用していますが、2025年までには全ての主要素材についてトレーサビリティを100%にする目標があります。ハイジュエリーや大きいサイズのダイヤモンドに対しても同様です。

トレーサビリティにサイズ的な制限はあるのか?

ディヴィッド:トレーサビリティ自体はどのサイズにも求められると思いますが、我々はどこか(できるところ)から始める必要があります。全てのテクノロジーはまず一部のところから始まります。そして拡大するのです。
例えば現在では一般的なダイヤモンドプランニングのテクノロジーは20年前は2ct以上のものからスタートしました。しかし現在では0.01ctの原石にも対応しています。テクノロジーはより小さい石へと追求していくことができるのです。
現在既にトレーサビリティは0.20ctの研磨済ダイヤモンドに対応しています。つまり0.50ct前後の原石に対応するということです。ですので、いずれ全てのサイズのダイヤモンドにこのトレーサビリティソリューションが適用できると考えています。現時点では、全てのサイズには対応していないと答えますが、将来的にはコスト効率的にも全てのダイヤモンドに対応するはずだと思います。

二次流通ダイヤモンドに関して

デイヴィッド:トレーサビリティは原石からスタートする必要があります。ですので既に研磨された状態で市場に存在するダイヤモンドに関して我々はトレーサビリティを提供しません。常に原石から研磨された新しいダイヤモンドにのみトレーサビリティが提供されます。

コストと時間

:供給元によって変わってくると思います。トレーサビリティに対してのコストの考え方は供給元によってポリシーが異なる可能性があるからです。時間に関しては現在、クライアントは特定のサイズやグレードを指定するので提供できるまでに、10週間から3ヶ月くらいの幅があると思います。しかし将来的にトレーサビリティがスタンダードになった場合、工場は継続的に全ての商品に対してトレーサビリティを付加して生産するはずですので、供給は早くなると思います。

アーカイブ(日本語同時通訳バージョン)

アーカイブ(英語オリジナルバージョン)

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Sarine Technologiesについて

イスラエルに本社を持つ、世界最大のダイヤモンドテクノロジー企業です。ダイヤモンドの原石から研磨、鑑定に至るまでのデジタルソリューションを提供し、世界で流通するほぼ全てのダイヤモンドはSarine社の技術を利用していると言われています。最新の技術を使用した原産地証明、AI(人工知能)によるダイヤモンドグレーディングなど、世界のダイヤモンド業界に革命をもたらし続けています。

Website : https://sarine.jp

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