『デビアス・ブルー』が香港サザビーズで5,750万ドルで落札

競売大手サザビーズ(Sotheby’s)は、15.10ctsのブルーダイヤモンド「デビアス・ブルー(De Beers Blue)」を、4月27日に香港で開催されたオークションに出品した。15カラット以上のブルーダイヤモンドが競売に掛けられたのは初となる。

De Beers Blue 15.10ct / IF / Fancy Vivid Blue

このブルーダイヤモンドは元々「デビアス・カリナン・ブルー」と呼ばれており、南アフリカのカリナン鉱山で発見されたもので、原石重量は39.34cts。デビアス グループと、世界的なダイヤモンド会社であるDiacoreが2021年に4,018万ドルで共同購入した。

デビアス・カリナン・ブルー原石 39.34cts

カリナン鉱山は世界的に数々の有名なダイヤモンドを産出したことで知られ、世界最大のダイヤモンド原石「カリナン」(3,106cts)もこのカリナン鉱山から産出している。また、同鉱山はブルーダイヤモンドの重要な供給源としても世界的に知られている。カリナン鉱山はもともとデビアスの所有であったが、2007年にペトラダイヤモンドに売却されている。

この原石を研磨し、最終的に15.10cts, Internally flawless, Fancy Vivid Blue, Step-Cut (GIA)として仕上げたのが今回出品された「デビアス・ブルー」だ。(このオークションに先立ち、デビアスはブランディングとして”カリナン”の名前を削除した。)

サザビーズは当初、落札価格を4,800万ドル長と予測していた。
実際にオークションが始まると、約8分間に渡る4人の入札者の争いの結果、匿名のバイヤーにより5,750万ドルで落札された。

この金額は、2016年5月にクリスティーズオークションで落札されたブルーダイヤモンド「オッペンハイマー・ブルー(Oppenheimer Blue)」(14.62ct)とほぼ同額で、ブルーダイヤモンドの落札価格としては最高額タイとなる。(ダイヤモンドとしての落札最高額は2017年4月に記録された7,120万ドル、59cts, Pink Srar)

天然ファンシーブルーダイヤモンドは非常に希少性が高いものとして知られており、10ctsを超えるサイズのものは5点しか出品されておらず、15ctsを超えたものは今回の「デビアス・ブルー」が初となる。

サザビーズアジアの会長であるパティ・ウォンはこのオークションに先立ち、「どのようなブルーダイヤモンドでも市場では希少ですが、これはその中でも最も希少です。似たサイズのものは近年オークションに登場していません。何億年もの時を経た、この比類ないブルーダイヤモンドは確かに自然の最高傑作です。今、世界で最も熟練したカッターの手によってまばゆいばかりの命を吹き込まれ、非常に偉大な芸術作品と同じくらい希少で素晴らしい究極の傑作になりました。最高級の世界クラスのカラーダイヤモンドに対する需要がかつてなく高まっている時代に、私たちは、世界で最も有名な宝石のひとつになることが確実なものを市場に紹介できることを非常に嬉しく思います。」とコメントした。

実際、天然ファンシーブルーダイヤモンドは数々のファンシーカラーダイヤモンドの中でも希少性が最も高いものの一つだ。この美しいブルーは、地中奥深くで成長する際に結晶格子内に微量の希少ホウ素が混入することによって引き起こされる。これは自然の気まぐれで起こる現象で、特に大きいサイズのダイヤモンドでブルーに成長するものは極めて稀である。ホウ素を内包したダイヤモンドは一般的にTypeⅡbに分類される。

ブルーは歴史的にも高貴さや希少さを表す色として好まれてきており、いつの時代もその神秘的なブルーは人々の心を惹きつけてきた。この極めて希少性の高い「デビアス・ブルー」が今後どのような人々を魅了し、どのような歴史を刻むのかを想像すると非常に興味深い。

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