小売業者のラボグロウンダイヤモンドへの懸念

ラボグロウンダイヤモンドの売上が増加しているにもかかわらず、小売店は依然として在庫を仕入れることに慎重だ。

ラボグロウンダイヤモンドに対する一部の小売店の最初の反応を思い返すと、現在の状態は奇妙に見える。現在ではブライダルジュエリー用のダイヤモンド販売では天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドでほぼ均等に分かれていると米国の多くの小売店が報告している。

しかし一方で、議論はラボグロウンダイヤモンドの価格の下落と市場の過剰飽和という非常に現実的な懸念にも移ってきている。その結果、小売店は顧客の需要に合ったものを用意するか、価格が下がる商品を購入するかの間にいる。

クライアントのアピール

成功している小売業者は常に市場の動向に敏感だ。天然ダイヤモンドよりも大幅に低い小売価格で、より大きなラボグロウンダイヤモンドを購入することは、予算が限られている顧客や、また多くの可処分所得がある顧客にとって魅力的な選択肢だ。

「それはとても簡単なことです。 顧客は、より大きなダイヤモンドを入手できることに本当に喜んでいます。」と、夫のトロイと共にコロラド州ソーントンにあるThollot & Co. Jewelersを共同設立したジョイ・トロイは述べる。「(ダイヤモンドの)再販(価値)について考える人はますます少なくなっています。特に若い婚約中のカップルはそうです。」と付け加える。

彼らの最近のダイヤモンドの販売数では、ラボグロウンが天然を2:1で上回っている。ラボグロウンのセンターダイヤモンドの平均サイズは2〜2.50ctsで、そのサイズは年初以来「数パーセントずつ増加している」と彼女は説明する。

「ラボグロウンは約1年半前に山火事のように普及しました。」と、ニュージャージー州マナラパンにあるゲイリー・マイケルズ・ファイン・ジュエラーズの共同オーナー、マイケル・リットマンは断言する。「ラボグロウンダイヤモンドを購入しないだろうと思っていた顧客でさえ、ラボグロウンダイヤモンドを購入しています。」と同氏は述べる。ラボグロウンダイヤモンドは、数量ベースで彼の店のブライダル用ダイヤモンドの売上の半分を占めているが、これは彼がそれらを宣伝していないにも関わらずだ。彼は15ctsのラボグロウンダイヤモンドを販売したこともある。

ワシントン州バンクーバーのエリック・ラニアン・ジュエラーズでは、「イヤリング、スタッド、ペンダントを含むアクセサリー分野の販売個数のほぼ80%がラボグロウンダイヤモンドのものです。」とオーナーのエリック・ラニアンは述べる。ブライダル用のダイヤモンドの販売個数の比率は、天然とラボグロウンで約50対50だという。同氏はこれらの数字は、ラボグロウンダイヤモンドの低価格と「サイズの違い」の両方によるものであると考えている。

メモ取引

ラボグロウンダイヤモンドの売上が増加しているにもかかわらず、多くの小売業者は天然ダイヤモンドのように在庫としてそれら商品を置いているわけではない。彼らは主にメモ取引(委託販売)でそれらを販売している。トロイは、自分自身をラボグロウンダイヤモンド小売ビジネスの「初期参入者」と表現し、「もしそれらに投資して価格が下落したら、すぐに状況が逆転してしまうだろう」と認識していたという。ラボグロウンダイヤモンドが初めて市場に出たとき、彼女のサプライヤーはすぐにメモ取引の条件に同意したと彼女は回想する。その後、彼女はサプライヤーを変えたが、今でもラボグロウンダイヤモンドをメモ取引だけで購入している。

この規則に対する彼女の1つの例外は、デビアスのライトボックスブランドだ。「彼らの価格はとても安いですが、もっと重要なのは、それがマーケットで宣伝されているブランドだということです。」と彼女は説明する。またラニアンは、「私は早い段階でラボグロウンダイヤモンドを在庫として購入して、それを用意していました。しかし、私の考え方は進化しました。私は、商品の価値がわからない場合には購入に慎重になります。自分が(仕入れに)支払った価格よりも安い価格で販売しなくてはならなくなるものを所有するのは、大きな不安を引き起こします。」と述べる。彼は「これは良い事業計画でも、持続可能な事業計画でもありません。」と述べる。

リットマンは、ラボグロウンダイヤモンドのほぼ99%以上をメモ取引によって購入しており、当初からこの習慣を続けている。「私たちは在庫としてそれらに投資していません。なぜなら、私たちは我々の厳しい基準を満たすラボグロウンダイヤモンドを(メモ取引で)入手できるからです。」と述べる。

価値の問題

メモ取引はある程度、小売業者をラボグロウンダイヤモンドの価格低下から守ることができる。しかし、消費者がより安い価格を期待しているため他店との競争は厳しくなる可能性がある。

「有名なウェブサイトでラボグロウンダイヤモンドの価格設定が公開されているため、クライアントの(期待)価格が決定されており、我々は競争力を維持できるようにする必要があります。」とトロイは述べる。競争力を維持しながら利益を得る唯一の方法は、最新の市場価格を購入時の価格として受け入れてくれるサプライヤーと協力することだと彼女は説明する。なぜなら、(商品を受託してから時間が経過した)商品が売れる頃には、当初の価格よりも(市場)価格が下がっている可能性があるからだ。

店側も顧客に対する懸念を示している。「私は顧客に対して率直に正直に説明しますが、天然ダイヤモンドとは異なり、ラボグロウンダイヤモンドはその時の価値でしか下取りを提案できません。」とラニアンは述べる。

ラボグロウンダイヤモンドの供給が急速に拡大している一方、旺盛な市場の需要により価格は実際よりも安定しているはずだとリットマンは主張する。「価格がそれほど急激に下落する必要はない。顧客は高い水準で購入しているからだ。まるで最低価格への競争のような気分だ。」と述べる。

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