トレーサビリティの可能性をめぐる議論が激化する中、EUとG7加盟国は来月(2024年1月)からロシア産ダイヤモンドの禁止を実施する。
この発表は、ウクライナとの戦争が続いているロシア政府に制裁を課すというG7首脳らの最近の声明に基づくものだ。
EUは「ロシアで採掘、加工、生産された非工業用ダイヤモンド」を段階的に禁止し、1月1日までに直接禁止を発効すると、執行機関である欧州委員会は月曜日に発表した。
EUの立法機関である欧州連合理事会は、同日の別の声明で、この禁止措置は「ロシアからのダイヤモンドの輸入、購入、譲渡」に適用されると明らかにした。 1月1日からの直接禁止には、ラボグロウンダイヤモンドとダイヤモンドジュエリーも含まれると同報告書は指摘している。
委員会の宣言は、3月1日から第三国で研磨されたロシア産ダイヤモンドの禁止を求めるG7の12月6日の声明と一致している。
同委員会は9月1日までに、間接制裁はラボグロウンダイヤモンド、ジュエリー、ダイヤモンドを使用した時計にも拡大されると発表したが、この詳細はG7声明には盛り込まれていなかった。
「この間接輸入禁止の段階的導入は、効果的な執行措置を可能にし、EU市場への混乱を最小限に抑えるトレーサビリティメカニズムを展開する必要性によって正当化される」と理事会は述べた。「ロシア産ダイヤモンドの禁止は、ロシアからこの重要な収入源を奪うことを目的とした、国際的に連携したダイヤモンド禁止策を策定するG7の取り組みの一環である。」と述べている。
ベルギーを含むEUは、2022年2月にウクライナ戦争が始まって以来、ロシア産ダイヤモンドに対するいかなる禁止も導入していなかった。アントワープ・ワールド・ダイヤモンド・センター(AWDC)は、制裁によってダイヤモンドがドバイやムンバイなど他の取引拠点に行き着くだけだとこの数か月間主張してきた。
委員会の推定によると、ダイヤモンド貿易はロシアに年間40億ユーロ(43億8000万ドル)の収入をもたらしている。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「本日、第12次制裁パッケージを承認してくれた欧州連合のパートナー諸国に感謝したい」と述べ、 「重要なのは、ロシア産ダイヤモンドが初めて禁止されたことだ。」と続けた。
一方、G7声明を受けてカナダ、英国、日本はいずれも禁止を発表した。
輸入制限を導入する権限はG7全体ではなく、各国にある。もう一つのG7メンバーである米国はすでにロシア産ダイヤモンドの直接輸入を禁止しているが、追加の禁止は発表していない。
しかし、サプライチェーンを通じてダイヤモンドを追跡するという課題を考慮すると、各国が間接禁止をどのように実施するかについては不確実性が残る。
世界ダイヤモンド取引所連盟(WFDB)は、G7諸国が「ダイヤモンド原石の登録と検査のために、G7内での単一のエントリーポイント」を検討していると批判したが、これは明らかにベルギー・アントワープ経由ですべてのダイヤモンドを管理するというベルギーの提案のことを指している。この計画は貿易にコストがかかりすぎること、またベルギーの都市であるアントワープに不当な利益を与えるとして反対を受けている。
「私たちが理解している、この提案されたメカニズムは、生産国から消費者に至るまでのパイプライン全体を通じて、世界中のダイヤモンド産業に悪影響を与えるだろう」とWFDB会長のヨラム・ドヴァシュは月曜の声明で述べた。
より効率的かつ効果的な仕組みとしては、イスラエル、ムンバイ、ドバイなどのダイヤモンド原石取引の中心地や、アフリカなどの生産国が自ら検査と登録を実施することになるだろうとドヴァシュは付け加えた。
10月、アフリカダイヤモンド生産者協会(ADPA)は、アフリカ大陸の国々への事前の相談がなかったとして西側諸国を非難し、計画の一部は会員や零細鉱山企業に損害を与えるものだと主張した。またこれはベルギーを通じてダイヤモンドを流通するという計画も指しているとみられる。
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