デビアスの原産地公開という変化

これまで「複数の原産地が集約」されたボックスのダイヤモンドの原産地を明記することに消極的だったデビアスが、1.25カラット以上のダイヤモンド原石について原産地情報を提供すると発表した。

ダイヤモンド大手鉱山会社であるデビアスにとって、これは大きな変化だ。デビアスはこれまで、ボツワナ、ナミビア、南アフリカ、カナダ産のダイヤモンドを「DTC」(ダイヤモンド・トレーディング・カンパニー)としてブランド化し、最近では「ボツワナ・ソート」として集約させてきた。しかし今後は、1.25カラット以上の個々のダイヤモンドについて原産国情報を収集し、Tracrダイヤモンド追跡プログラムを通じて公開する。

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TracrのCEOであるウェズリー・タッカーは、ダイヤモンドは「デジタルタグ」で追跡されると説明した。「当社は、今後もダイヤモンドをボックスに集約します。しかし、そのボックスの中で個々のダイヤモンド原石がどの国から来たのかがわかるようになります。それには、原石の集約前のスキャンと集計後の再度スキャン、アルゴリズムによるデータ照合が含まれます。」と説明した。

「その後、Tracrプラットフォームを使用して、その情報を小売業者、鑑定機関、製造業者に渡します。製造業者がそれを再スキャンすると、そのダイヤモンド原石の原産国がわかります。」

タッカーは、Tracr ユーザーはその情報を好きなように使用でると付け加えた。

「ブランドの場合、原産国を表示することはしたくないが、保証システムには表示したいと考えるかもしれません。また、小売業者でボツワナ産のダイヤモンド専用のプログラムを作成したい場合は、ボツワナ産のダイヤモンドをすべてそのプログラムに組み込むことができます。」と述べる。

これにより「より豊かなストーリーテリングが可能になる」と同氏は説明した。「『このダイヤモンドはこの国から来た』と言う方が、『4つの原産国のうちのどれか』と言うより(ストーリーテリングとして)ずっと簡単です。」と同氏は指摘する。

それぞれのダイヤモンド原石の原産地を特定することは「かなり複雑な問題」であることが証明されており、解決には何年もかかったとタッカーは述べた。

「私たちはそれを行うためにさまざまな選択肢に取り組んできました。物理的に何かに印を付けるというアイデアがありますが、そこには鉱山企業が毎日扱うダイヤモンド原石の量が膨大すぎるという問題があります。個別にタグ付けするには数が多すぎるのです。ナノダストやあらゆる種類の奇妙で革新的なアイデアを検討してきましたが、物理的にそれぞれに印を付けるのは非常に困難です。私たちが決定したもう1つの選択肢は、光学スキャンと呼ばれるものです。これは基本的にダイヤモンドの外観の光学的なシルエットを作成するものです。内包物(の特徴)は使用せず、外観(的な特徴)のみを使用します。これは今後2年から5年有効な技術です。」と説明した。

また、「今後は、(新しい)テクノロジーを利用して内部(の特徴)や内包物を利用することになるかもしれません。しかし、私たちがやろうとしていることを考えるとこれで十分だと思います。統計的に、ダイヤモンド原石同士のすり替えは非常に困難です。そのダイヤモンド原石とまったく同じ外観の(別の)ダイヤモンドを見つける必要があるからです。」と述べた。

現在、このプログラムは1.25カラット以上のダイヤモンド原石に限定されているが、来年1月以降は1カラット以上のダイヤモンド原石にまでこの範囲が拡大される。

Tracrはデビアスが所有するトレーサビリティサービスだが、昨年業界全体にこのサービスを開放している。「サイトホルダー以外の企業もすでにプラットフォームに参加しています。」とタッカーは言う。「デビアス以外の生産者も参加しています。しかし課題は(鉱山での)ダイヤモンド原石スキャンです。これはダイヤモンドを追跡するより効果的な方法ですが、生産者としてTracrに参加するにはこのスキャン機器に投資する必要があり、そのため導入に少し時間がかかりました。そのため、他の生産者を参加させることは重要ですが、1月以降はおそらく3、4社の大手生産者が参加することになると思います。」と同氏は説明した。

業界関係者の中には、Tracrの情報にアクセスできないというデビアスの主張に警戒感を抱いている者もいる。デビアスはTracrが最終的には独立することを長い間約束しており、タッカーもそれを約束すると述べた。

「独立は段階的なプロセスだと常に言ってきました。」と同氏は言う。「まず、Tracrは独立して運営できるのか?という課題がありましたが、追跡がうまくいっている今、これについて安心しています。」と同氏は述べた。

タッカーは、デビアスのCEOであるアル・クックについて言及し、「(クックが)Tracrにおけるデビアスの持ち分を下げたいと述べており、実際にそのプロセスを開始しています。おそらく数か月以内にその最新情報を提供できるでしょう。これは必要なプロセスにすぎません。」と付け加えた。

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