ラボグロウンダイヤモンド、インドの輸出量で天然ダイヤに並ぶ

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インドのジュエリー業界紙は、ラボグロウンダイヤモンドの輸出量が急増し、天然ダイヤモンドと肩を並べる規模に達したと報じた。この変化は、世界のダイヤモンド市場における勢力図を塗り替える可能性を秘めている。

GJEPC(インド宝石宝飾品輸出促進協議会)の元会長であるヴィプル・シャーは、過去5年間の世界のダイヤモンド市場の構造変化について注目すべき発言をしている。シャーによると、現在、インドのダイヤモンド総輸出量に占めるラボグロウンダイヤモンドの割合はカラットベースで約50%に達しており、5年前の10%から大幅に増加しているという。

この情報は2月末に国際的なメディアで報じられ、その後、様々な議論を巻き起こしている。報道では、2024年度のインドの天然ダイヤモンド輸出額は1,596億ドルで、2019年度の2,382億ドルから約33%減少したことが示されている。一方、ラボグロウンダイヤモンドの2024年度の輸出額は14億200万ドルで、2019年度の2億2,400万ドルから約5.25倍に急増している。

これらのデータから、インドにおけるラボグロウンダイヤモンドの存在感が急速に高まっていることが見て取れる。

インドのメディアは、ダイヤモンド業界の現状について、以下の3点を指摘している。

  1. 主要消費市場である米国では、天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドでそれぞれ明確な顧客層が形成されている。ミドルクラスや若い世代は、ラボグロウンダイヤモンドを手軽な装飾品として購入する傾向がある。一方、富裕層は、希少性を重視し、投資目的も込めて天然ダイヤモンドを購入する傾向がある。
  2. ラボグロウンダイヤモンドの価格は、天然ダイヤモンドの15%~40%程度である。この価格差を背景に、ラボグロウンダイヤモンドはジュエリー市場、天然ダイヤモンドは投資やブライダル市場といったように、両者は異なる方向へ進化を遂げている。
  3. ダイヤモンド業界は透明性向上に向けて動き出している。各機関によるこれら2種類のダイヤモンドの識別強化や、デビアスが最近小売市場に投入したDiamondProof装置などがその兆候である。

インドの一部メディアは、ラボグロウンダイヤモンドの台頭を「技術の民主化」の表れと解釈する一方で、価格変動が市場の不確実性を招く可能性も指摘している。ラボグロウンダイヤモンドを天然ダイヤモンドの代替品と捉えるか、それとも従来のダイヤモンド産業の技術革新と位置付けるかは、今後の市場動向を見極める必要がある。

将来的には、市場メカニズムの成熟と技術革新の進展に伴い、ダイヤモンド業界はより包容的なエコシステムを構築していくと考えられる。天然ダイヤモンドは希少性を背景に情緒的な価値を維持し、ラボグロウンダイヤモンドは技術的な優位性を活かして新たな市場を開拓していく。両者は差別化された競争を通じて、共にダイヤモンド業界の境界線を押し広げていくことが期待される。

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