
国際的な宝石鑑定機関であるIGI(International Gemological Institute、国際宝石学研究所)は、米国の有力カラーストーン鑑定機関AGL(American Gemological Laboratories)の買収を完了したと発表した。
IGIは1975年にベルギー・アントワープで創立された宝石学の専門機関であり、ダイヤモンド、カラーストーン、ジュエリーの独立した鑑定および評価を提供する世界的な鑑定機関として知られている。現在はインド・ムンバイを拠点に、世界10カ国以上に複数のラボと教育機関を展開しており、ISO認証を取得した鑑定手法と国際的な報告基準によって信頼性の高い鑑定書を発行している。IGIの鑑定書、鑑別書は世界中のメーカー、卸売業者、小売店、エンドユーザーから広く利用されている。
今回の買収は、カラーストーン鑑定における科学的リーダーシップを持つAGLとIGIのグローバルなプラットフォームを統合するものだ。IGIのCEOは「AGLの科学的専門性とIGIのインフラ・市場プレゼンスを融合させることで、規模と科学的整合性を両立した未来志向の鑑定エコシステムを構築し、信頼、透明性、一貫性における新たなグローバルベンチマークを設定する」と述べている。AGLはニューヨークの本社を維持し、既存の技術基準やサービス水準を保ちつつ、両機関が共同で新たなツールや報告書フォーマット、プロヴェナンス(産地)情報サービスの開発に取り組むという。
IGIの動きは、業界全体で第三者鑑定の重要性が高まる中で評価基準の確立と信頼性強化を図るものとして注目される。とりわけカラーストーンやラボグロウンダイヤモンドといった多様な素材に対する精緻な評価は、流通市場における透明性向上と消費者信頼の醸成に直結する。実際、IGIはインドなど主要市場でのラボグロウンダイヤモンド鑑定基盤を強化しており、競合機関が評価方法の見直しや撤退を進めるなかでも従来の4C評価を維持しつつ新たな解析技術を導入するなど独自性を発揮している。
IGIのような国際的に認知された鑑定機関による信頼性の高い鑑定書は、宝石・ジュエリーの価値保証や輸出入取引の根幹を支える重要な基盤だ。本件買収により、IGIは米国最大の高級ジュエリーおよびカラーストーン市場とインドの製造拠点を一体化する戦略的なネットワークを強化し、真贋判定・品質評価のグローバル標準化を一層推進するものと見られる。



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