その希少が強調される理由は、40年近く全世界の9割を超えるピンクダイヤモンドの生産シェアを持っていたオーストラリア・アーガイル鉱山が2020年11月に正式に閉鎖されたためだ。
アメリカのハイジュエラーであるティファニー(Tiffany & Co.)は今年、ピンクダイヤモンドの生産地として有名な西オーストラリア、アーガイル鉱山(Argyle Diamond Mine)から貴重な35石のピンクダイヤモンドコレクションを購入したと発表した。発表によると、これらのピンクダイヤモンドは2年以上前に閉鎖されたアーガイル鉱山の最後のピンクダイヤモンドとして希少性が強調されている。
この35石のピンクダイヤモンドには様々な色味のものが含まれている。ファンシー ヴィヴィッド ピンク、ファンシー インテンス パープリッシュ ピンク、ディープ ピンク、特に希少価値の高いファンシー レッド ダイヤモンドも含まれるという。
ティファニーのチーフ ジェモロジストであるヴィクトリア・ワース・レイノルズはニューヨーク・タイムズに、「(このピンクダイヤモンド)は希少度、美観度などすべての基準を満たしている。」と述べた。
このピンクダイヤモンドは、アーガイル鉱山の最後の採掘期間に発見され、ティファニーは取引を数ヶ月前に成立させたと述べた。その希少性は、世界のほぼ全てのピンクダイヤモンドの原産地であったアーガイル鉱山が2020年11月に永遠に閉ざされたことによって、より際立っている。
アーガイル鉱山は西オーストラリア州のキンバリー地方東部に位置し、多国籍鉱山企業であるリオ・ティントグループが所有していた。開鉱は1985年で、その37年間の運営中に全世界の9割を超えるピンクダイヤモンドを採掘した。採掘規模は8.6億カラットに達し、最盛期には、ポリッシュピンクダイヤモンドの年間生産量は高品質なものも含めて1万カラットに達していた。
しかし、この鉱山が閉鎖される数年前からピンクダイヤモンドの採掘量が大幅に下落し始め、資源枯渇の危機がますます顕著になった。リオ・ティントグループの2020年と2019年の財務報告によると、同グループのダイヤモンド生産量はそれぞれ14%と10%下落し、2019年のアーガイル鉱山だけのダイヤモンド生産量は13%下落していた。
2020年末にアーガイル鉱山を閉鎖した後、リオ・ティントグループはカナダやジンバブエの鉱山を含む世界の他の地域のダイヤモンド採掘を強化した。2022年7月にはオーストラリアを拠点とする鉱山会社、ルカパ・ダイヤモンド・カンパニーは、アンゴラにあるルロ鉱山から170ctsの史上最大級のピンクダイヤモンド原石を発掘したと発表するなど、全世界の他の鉱山でもピンクダイヤモンドが生産されているが、世界で最も高品質なピンクダイヤモンドがアーガイル産であることから、アーガイル鉱山の閉鎖は、世界のピンクダイヤモンドの短期的な供給に依然として影響を与えており、高品質なピンクダイヤモンドの希少性がさらに高まっている。
サザビーズ・アジア・ジュエリー&ウォッチの責任者、ウェンハオ・ユーはメディアに対して「アーガイル鉱山の閉鎖、需要と供給のギャップ拡大により、5cts以上の上質なピンクダイヤモンドの価格は過去10年間で指数関数的に上昇した。」と述べている。
2022年10月5日、サザビーズ香港はオークションで11.15cts、クッションシェイプ、ファンシーヴィヴィッドピンク、インタナリーフローレスの「ウィリアムソン・ピンクスター ダイヤモンド」を5,770万ドルで販売、史上一位のカラット単価を達成した。
今回ティファニーが購入した35石のアーガイルピンクダイヤモンドのうち、3石は1ctを超えており非常に希少なものになる。2022年初め、アーガイルはティファニーに接触を図り、この見事なダイヤモンドのユニークなコレクションをティファニーだけにオファーした。ティファニーがこれらのピンクダイヤモンドを購入することに同意した後、このピンクダイヤモンドのコレクションはティファニーブランドにちなんで名付けられた。ピンクダイヤモンドシリーズをこのように命名したのは、アーガイル鉱山の歴史の中で初めてだという。
ティファニーはこの購入費用を公開していないが、アンソニー・レドルCEOはその費用について「今後5年、10年後の評価額と比べて恐らく安価だろう」と述べている。
ティファニーは公式プレスリリースで、これらのピンクダイヤモンドが2023年早春のジュエリーイベントで特定の顧客に期間限定で展示すると明かしている。また今後新しくリリースされる「ティファニーブルーブック」にもこのピンクダイヤモンドが登場する可能性がある。
このピンクダイアモンドジュエリーには、ティファニーダイヤモンド証明書(Tiffany Diamond Certificate)と、アーガイルピンクダイヤモンド証明書(Argyle Pink Diamonds Certificate)の両方が添付される。いずれにしても、これらのピンクダイヤモンドを使用したジュエリーはかなりの金額になるだろう。
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