Rapaportは4月14日に「Lab-Grown Margins Might Be High, but Profits Aren’t(ラボグロウンの利益率は高いかもしれないが、利益(額)はそうではない」という記事を公開、これは業界に議論を引き起こしている。
ラボグロウンダイヤモンドの卸売価格は下降しており、一方で小売価格の下降は相対的に緩やかなため結果的に利益率は上昇する。しかし単価(利益額)は下がるため、これが多くの小売業者をラボグロウンダイヤモンドビジネスから離脱させるのではないか、とRapaportは主張している。
多くの小売店にとって利益率は重要だが、実際にいくらの現金を得ることができるのかはより重要だ。「大企業でもない限り、家族経営のような小規模小売店にとってラボグロウンダイヤモンドで利益を作るのは難しいでしょう。天然ダイヤモンドのリングを2,3点販売して得る利益を取るためには、おそらくラボグロウンダイヤモンドのリング15点ほどを販売する必要があるでしょう。」と、天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンド両方を扱うニューヨークの宝石商、キャサリン・アンギエルは語った。
記事中でRapaportは他に以下の点を指摘した。
1) ラボグロウンダイヤモンド市場が飽和し、競争が激化する。
2) 小売業者は消費者に啓蒙するためにより多くの時間と資源を投入する必要がある。
3) 大手チェーン小売会社に対して、独立小売店はラボグロウンダイヤモンドの販売で一定の規模の経済効果を達成することが難しく、販売は難しくなる。
4) ラボグロウンダイヤモンドの長期的見通しには依然として多くの不確実性がある。
5) 現在、ラボグロウンダイヤモンドの小売利益率は依然として高く、将来的にある程度圧縮が求められる可能性がある。
一方で、新しいマーケットに直面した時に、それはさまざまな角度から考察する必要がある。この問題に関して国際的なSNSやで発信された意見や業界関係者の意見を要約すると、異なる見解が見えてくる。
- 価格変動はラボグロウンダイヤモンド市場にとって重要な要素の一つだが、価格変動はマーケット発展(特に新興マーケット発展)の過程から見ると自然な現象と考えられる。
一定の規模から考えると、価格の下降は市場成熟を象徴する事象であり、値下げはラボグロウンダイヤモンドをより民主化し、潜在消費者のグループを拡大し、市場需要の成長を促す。
一部の小売業者では利益額が減少している可能性があるが、一方で販売量を拡大し、回転を早めることで利益を拡大できる。 - 市場競争の激化は市場活動を反映しており、製品の品質向上と革新的なサービスの出現を促進するのに役立つ。一般的に、絶え間ない競争の中で業界は苦しみを経験した後、健全に発展する。
- 現在、消費者のラボグロウンダイヤモンドに対する認知度は依然として低く、これには拡大のためのプロセスを必要とする。多くの小売業者やブランドの努力により、ラボグロウンダイヤモンドに対する認知度と受容度が向上し続けており、また過去の懸念が払拭されている。しかしこれに関してはまだ時間を要する。
- 見通しに不確実性があるのは、見通しが暗いという意味ではない。現在の世界的な経済不確実性の中で多くの業界の見通しは不確実性に満ちており、それには天然ダイヤモンドも含まれる。
ラボグロウンダイヤモンドに限らず、日本を含め多くのジュエリー企業の業績悪化が取り上げられ、将来的な不確実性が指摘されている。しかしそれらは決してジュエリー業界全体を否定するものではない。
異なる視点で物事を見ると色々な傾向の方向性を見出すことができる。実際、ラボグロウンダイヤモンドは挑戦に満ちた産業で、一部の人を怖がらせたり混乱させたりする。しかし、新興市場の発展は歴史を見ても混乱と興奮が常に付きまとう。
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